【完結】花咲く手には、秘密がある 〜エルバの手と森の記憶〜

ソニエッタ

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呪いの皇子と森の片隅のお花屋さん

種を作るには

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再び一人きりになった店内。

オルガは椅子に座ったまま、少しだけ目を閉じて息を整える。

 

「……セレンの言うとおり、呪いって気持ちが重たいんだよね。たぶん、そこの理解が足りてなかった」



「……うーん、やっぱり実践はちがうわ。うん、ほんと、ちがう」

 

 言葉に出してみて、ようやく腑に落ちる。

 生成本に書かれた文字も、配列も、力の注ぎ方も、たしかに大事。けれど、それだけじゃ駄目だった。

 

「もういっかいやってみよ。今度は、ちゃんと気持ちをこめて」

 

 ぽつりと漏れた言葉に、誰も返す者はいない。

 

 呪いを解く花。芽吹きかけて止まったあの一輪を思い返しながら、指先で生成本のページをそっと撫でる。

オルガは再びページをめくり、あの呪い花の項を開いた。

 構成は間違っていない。呪文の配列も、力の配分も。
でも、どこか“表面的”だったのかもしれない。植物は正直だ。


オルガはそっと両手をかざし、気配を沈め、種を織るための術式を結び始めた。

 言葉は、ささやくように。力は、押しつけるのではなく、染み込ませるように。

 

 

 手の中で、小さな粒が形を取りはじめる。

 前よりも淡い色。でも、どこか温かい。ほわりとした気配が、指のすきまに漂った。

 

「……うん。たぶん、これでいい」

 

 そう呟いた瞬間、机の上の小皿に、ころん、と淡金の種が転がった。





 






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