11 / 103
呪いの皇子と森の片隅のお花屋さん
たくらみ
しおりを挟む
王宮・東の塔、奥まった部屋。
重たく垂れた緋のカーテンと、光を遮る香の煙。
その中で、ひとりの女が椅子に座っていた。
薄く紅を引いた唇が、ゆっくりと綻ぶ。
「……“エルバの手”に助けを求めたの?」
問いかける声に、控えていた侍女がこくりと頷いた。
「はい。失敗に終わったようですが、またいらっしゃるようです。」
「へえ、こりないわね」
女――ラウエル帝国皇帝ヘンドリックの側妃エメリナは、細く白い指を組む。
鏡越しに映る自分の姿を見つめながら、その声は飄々としていたが、目の奥は冷たい光を宿していた。
しばし沈黙。やがて彼女は、鏡の向こうに笑みを投げた。
「——念のため、“あの方”を呼んでおきなさい。念には念を、ね」
侍女が静かに部屋を下がっていく。
部屋に再び沈黙が戻ると、エメリナは指先で香炉の蓋をなぞった。
「私の望みはすべて叶えるべきなの…あの女に譲るなんてありえないわ?皇太子、皇子共に亡き者にしてやる…」
緋色の香が、ゆらりと天井へ昇った。
重たく垂れた緋のカーテンと、光を遮る香の煙。
その中で、ひとりの女が椅子に座っていた。
薄く紅を引いた唇が、ゆっくりと綻ぶ。
「……“エルバの手”に助けを求めたの?」
問いかける声に、控えていた侍女がこくりと頷いた。
「はい。失敗に終わったようですが、またいらっしゃるようです。」
「へえ、こりないわね」
女――ラウエル帝国皇帝ヘンドリックの側妃エメリナは、細く白い指を組む。
鏡越しに映る自分の姿を見つめながら、その声は飄々としていたが、目の奥は冷たい光を宿していた。
しばし沈黙。やがて彼女は、鏡の向こうに笑みを投げた。
「——念のため、“あの方”を呼んでおきなさい。念には念を、ね」
侍女が静かに部屋を下がっていく。
部屋に再び沈黙が戻ると、エメリナは指先で香炉の蓋をなぞった。
「私の望みはすべて叶えるべきなの…あの女に譲るなんてありえないわ?皇太子、皇子共に亡き者にしてやる…」
緋色の香が、ゆらりと天井へ昇った。
16
あなたにおすすめの小説
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜
ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。
死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。
魔法使いとして頑張りますわ!
まるねこ
恋愛
母が亡くなってすぐに伯爵家へと来た愛人とその娘。
そこからは家族ごっこの毎日。
私が継ぐはずだった伯爵家。
花畑の住人の義妹が私の婚約者と仲良くなってしまったし、もういいよね?
これからは母方の方で養女となり、魔法使いとなるよう頑張っていきますわ。
2025年に改編しました。
いつも通り、ふんわり設定です。
ブックマークに入れて頂けると私のテンションが成層圏を超えて月まで行ける気がします。m(._.)m
Copyright©︎2020-まるねこ
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡
サクラ近衛将監
ファンタジー
女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。
シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。
シルヴィの将来や如何に?
毎週木曜日午後10時に投稿予定です。
モブで可哀相? いえ、幸せです!
みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。
“あんたはモブで可哀相”。
お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる