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呪いの皇子と森の片隅のお花屋さん
皇子の元へ
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皇太子が赤い実をゆっくりと口に含むと、ゼーレが立ち上がり、片手で額を拭った。
「……さて、エリオット殿下のところに向かいましょう。アルデバラン殿下、ご無理はなさらずに」
アルデバランは、先ほどまでの疲労が嘘のように消えたことに驚き、思わず戸惑った。
だがすぐに、頭を切り替える。
自分と妻、そして帝国にとって何よりも大切な存在――息子のエリオットが、いま苦しんでいる。
一刻も早く助けたい。ただ、それだけだった。
「問題ない、行くぞ……」
重々しい気配をまとったまま、ゼーレが扉を押し開ける。
その後に続いて、オルガ、マッシモ、レオニダス、ルーカスが順に部屋を出た。
先頭を歩くオルガとゼーレの背を見つめながら、アルデバランは胸の内に湧き上がる驚きを噛みしめていた。
さっき口にした赤い実――ありふれた見た目の中に、信じがたいほどの力が宿っていた。
「ギルド長。なぜあのような存在を、これまで報告しなかった?」
その問いに続くように、ルーカスが口を開いた。
「確かにな。オルガ嬢がいれば、騎士団の底上げにもなる」
それに対し、マッシモが肩をすくめて返す。
「彼女の両親に、命に代えても守るってそう誓ったんだ。なんでわざわざ、獅子の巣に放り込むような真似をしなきゃならない」
一瞬、足音だけが響く。
その沈黙を破ったのは、レオニダスだった。
「……彼女の、ご両親は今どちらに?」
マッシモは立ち止まり、ほんのわずかだけ顔を曇らせた。
「さあな、二人とも、五年前に失踪した。」
その言葉に、後ろを歩いていたルーカスの足がわずかに止まった。
彼の視線が、一瞬だけ床ではなく、過去を見つめるように揺れる。
「五年前、か。ライラがいなくなったのも、その年だな」
マッシモがちらりと振り返る。だが何も言わない。
風のない廊下に、しばし沈黙が落ちた。
「……さて、エリオット殿下のところに向かいましょう。アルデバラン殿下、ご無理はなさらずに」
アルデバランは、先ほどまでの疲労が嘘のように消えたことに驚き、思わず戸惑った。
だがすぐに、頭を切り替える。
自分と妻、そして帝国にとって何よりも大切な存在――息子のエリオットが、いま苦しんでいる。
一刻も早く助けたい。ただ、それだけだった。
「問題ない、行くぞ……」
重々しい気配をまとったまま、ゼーレが扉を押し開ける。
その後に続いて、オルガ、マッシモ、レオニダス、ルーカスが順に部屋を出た。
先頭を歩くオルガとゼーレの背を見つめながら、アルデバランは胸の内に湧き上がる驚きを噛みしめていた。
さっき口にした赤い実――ありふれた見た目の中に、信じがたいほどの力が宿っていた。
「ギルド長。なぜあのような存在を、これまで報告しなかった?」
その問いに続くように、ルーカスが口を開いた。
「確かにな。オルガ嬢がいれば、騎士団の底上げにもなる」
それに対し、マッシモが肩をすくめて返す。
「彼女の両親に、命に代えても守るってそう誓ったんだ。なんでわざわざ、獅子の巣に放り込むような真似をしなきゃならない」
一瞬、足音だけが響く。
その沈黙を破ったのは、レオニダスだった。
「……彼女の、ご両親は今どちらに?」
マッシモは立ち止まり、ほんのわずかだけ顔を曇らせた。
「さあな、二人とも、五年前に失踪した。」
その言葉に、後ろを歩いていたルーカスの足がわずかに止まった。
彼の視線が、一瞬だけ床ではなく、過去を見つめるように揺れる。
「五年前、か。ライラがいなくなったのも、その年だな」
マッシモがちらりと振り返る。だが何も言わない。
風のない廊下に、しばし沈黙が落ちた。
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