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王宮の毒花と森の片隅のお花屋さん
術者と協力者2
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オルガが慄いているところに、呑気な足取りで騎士団長ルーカスが部屋に現れた。
「いいねぇ、女の子がいるって。いつもむさ苦しい筋肉と微動だにしない堅物の顔ばっか見てたから、癒されるわ~」
「……。」
レオニダスはルーカスを一瞥しただけで何も言わず、淡々とまとめた書類を手渡す。
「ここに記載されている者たちが、オルガ嬢が“呪いの匂い”を感知した者です。皇子が呪われた際、術者に協力していた可能性があります」
ルーカスはオルガにちらりと目をやり、苦笑まじりに眉を下げてから書類を受け取った。
「それと騎士団長。先ほどの発言は部下への中傷と受け取れます。帝法第124条“職場内における上司のあり方”に違反しています」
「オルガちゃん、この部下怖い。助けて~」
茶番を繰り広げる二人の騎士を前に、オルガは「何この茶番……もう帰っていいかな」と心の中でぼやいた。
そこに、控えめなノックと共に、入室の許可を求める声が聞こえる。
「どうぞ~」
ルーカスのゆるい返事に応えて、若い騎士がひとり入ってきた。
「報告いたします。今朝、魔法師の不審な遺体が発見されました。こちら、報告書です」
「お、ありがとう。魔法師団長を呼んできてくれる? 体調がよさそうならでいいけど」
騎士が部屋を出ると、ルーカスとレオニダスは書類を読み始め——次の瞬間、二人して顔を引きつらせた。
「ねぇオルガちゃん。術者に呪いがそのまま返るって言ってたよね?」
「うん、言ったねぇ」
興味なさそうに返事をするオルガ。すでに頭の中では「いつ森に帰ろうか」しか考えていない。
そんな彼女の様子には構わず、レオニダスが続ける。
「エリオット殿下にかけられていた呪いは、“深い眠りから覚めず、徐々に肉体が衰えていく”というものだった。しかし……術者はそれ以上の苦しみを味わったようだ。呪いを返されたその日のうちに死亡している」
「えー? そうなの? 実践は初めてだったから、勉強になるねぇ」
ルーカスとレオニダスは、まるで未知の生き物でも見るかのようにオルガを見つめた。
「いいねぇ、女の子がいるって。いつもむさ苦しい筋肉と微動だにしない堅物の顔ばっか見てたから、癒されるわ~」
「……。」
レオニダスはルーカスを一瞥しただけで何も言わず、淡々とまとめた書類を手渡す。
「ここに記載されている者たちが、オルガ嬢が“呪いの匂い”を感知した者です。皇子が呪われた際、術者に協力していた可能性があります」
ルーカスはオルガにちらりと目をやり、苦笑まじりに眉を下げてから書類を受け取った。
「それと騎士団長。先ほどの発言は部下への中傷と受け取れます。帝法第124条“職場内における上司のあり方”に違反しています」
「オルガちゃん、この部下怖い。助けて~」
茶番を繰り広げる二人の騎士を前に、オルガは「何この茶番……もう帰っていいかな」と心の中でぼやいた。
そこに、控えめなノックと共に、入室の許可を求める声が聞こえる。
「どうぞ~」
ルーカスのゆるい返事に応えて、若い騎士がひとり入ってきた。
「報告いたします。今朝、魔法師の不審な遺体が発見されました。こちら、報告書です」
「お、ありがとう。魔法師団長を呼んできてくれる? 体調がよさそうならでいいけど」
騎士が部屋を出ると、ルーカスとレオニダスは書類を読み始め——次の瞬間、二人して顔を引きつらせた。
「ねぇオルガちゃん。術者に呪いがそのまま返るって言ってたよね?」
「うん、言ったねぇ」
興味なさそうに返事をするオルガ。すでに頭の中では「いつ森に帰ろうか」しか考えていない。
そんな彼女の様子には構わず、レオニダスが続ける。
「エリオット殿下にかけられていた呪いは、“深い眠りから覚めず、徐々に肉体が衰えていく”というものだった。しかし……術者はそれ以上の苦しみを味わったようだ。呪いを返されたその日のうちに死亡している」
「えー? そうなの? 実践は初めてだったから、勉強になるねぇ」
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