オメガ判定されました日記~俺を支えてくれた大切な人~

伊織

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最終章

22

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※このページは陽がいじめにあっている時の記録です。
注意してお読みください。
辛い方は読み飛ばして頂いても大丈夫です。

次のページは、「いじめが解決した後」の陽の様子から始まります。










○月✖日
ヒート明け、教室に入るといつもと雰囲気が違った。
青木と福田はいつも通りだったけど。
いつも話してたオメガの子が、少し離れた所から、俺を見て何か言ってた。
青木が「御門が同じタイミングで休んだから、
ヒートの相手じゃないかって疑ってんだよ」と教えてくれた。
「気にすんなよ」と言ってくれたけど、実際はそうだ。

体育の授業で、ぶつかられたり、足を踏まれたりした。
教室でも、机にぶつかられたりした。

今日1日、ずっと怖かった。



○月✖日
最近、物がよくなくなる。
ただのうっかりかもしれないけど、ペンとか、教科書とか。
どこに置いたか忘れたのかと思ってたら、
しばらくして机の中とか、カバンの奥とかから出てくる。
気のせいだと思いたいけど

女子やオメガの視線も、まだ変わらない。
ペンも教科書も無かったら、他の人に借りることは出来るけど。
不安がまとわりついて離れない
教室を出て、戻ってきたら、また何かなくなってるかもしれない。
そんなふうに、考えてしまう。


○月✖日
教科書を開いたら、あるページがペンで塗りつぶされてた。
文字が、何も読めないくらいに。
そのページを開いた瞬間、俺の方を見て笑ってる子たちがいた。
ひとりじゃなくて、数人。
たぶん、偶然なんかじゃない。
怖かった。息をするのも、ちょっとしんどかった。

今日、蓮に相談しようと思ってたんだ。
でも、先に「次のヒートは大会と重なりそうだから抑制剤を使って欲しい」って言われて。
そうだよな、大事な大会だもんな。それに、蓮は期待されてる。
だけど俺、抑制剤はどれを飲んでも吐いちゃって、
それがすごく辛くて……本当はもう、飲みたくないんだ。

抑制剤のこと、言ってなかった俺が悪い。
でも、今それを言ったら困らせるだけだと思って。
言えなかった。

そうだなって、答えるしかなかった。
蓮の顔は、見れなかった。
泣かないようにするのに、必死で。

蓮を困らせたくない。
そう、自分に言い聞かせたけど
なんか、少しだけ遠くなった気がして、苦しかった。


○月✖日
席に着いたら、筆箱がなかった。
探してるうちに、先生が教室に入ってきて、そのままテストが始まった。
何も書けなかった。

なんで、テストでって思ったら涙が出そうになって、机に突っ伏して寝たふりをした。
2限目のテスト前には、青木に筆記用具を借りた。
青木には「筆箱忘れてた」と言ったら、呆れてた顔をされた。

筆箱は、放課後、ゴミ箱の中で見つけた。


○月✖日
今日は、蓮との勉強の日だった。
そして、テストの結果を見せる日でもあった。

筆記用具が無くて白紙で出したテストは、当然、0点で。
蓮には、お腹が痛くなって解けなかったと、そう嘘をついた。
苦しくなって泣いた。

本当のことを言えない自分が嫌で。
丁寧に教えてくれた蓮にも、申し訳なくて。
こんなふうに、嫌がらせされる自分が恥ずかしくて。


○月✖日
今年も体育祭の練習が始まった。
今年はリレーに立候補する勇気は出なかった。
できれば、目立ちたくない。
でも、全員、何種目かは出なきゃいけなくて。

体育の時間に、体育祭の「台風の目」の練習をすることになった。
1本の長い棒を5人で持って走り、カラーコーンでUターンして戻ってきて、
次の5人に棒を渡す競技だ。

走りだそうとした時、誰かに足を引っかけられて、転んだ。
うまく立ち上がれなくて俺のチームは大幅に遅れて、結局負けた。

陰口が、背中越しに聞こえた。
何て言ってたかは、思い出したくない。

その後は、転んだ怪我を理由に見学させてもらった。
怪我の手当を保健室でしてもらった。
保健の先生にも、何も言えなかった。

泥で茶色くなった体操服を、水道でこすった。
母さんに「何でこんな汚れているのか」って聞かれたくなかったから。

でも、水道で洗ってたら、蓮に会った。
明るく声をかけてくれた蓮に、こんなこと言えなくて。
移動教室だったみたいだから、遅れるからもう行けよって言った。


○月✖日
蓮といるのを見られたくなくて、一緒に帰るのはできるだけ避けてた。
去年も「クラスの奴と帰る」って言ったことあるし、
蓮にはきっと気付かれてないはず。

ひとりで、帰ってた。

帰り道で後ろから誰かに突き飛ばされた。
男の人だったと思う。
近くにいた大人が助けてくれて、警察も呼んでくれた。

犯人に心当たりはないか聞かれたけど、なかった。
俺は、ただびっくりしすぎて、頭の中が真っ白で、何も考えられなかった。

病院で手当をしてもらって、親に迎えに来てもらった。
家に帰ったら、蓮が家に来て、「守れなくてごめん」って俺に謝ってきた。
蓮は、悪くない。
悪いのは俺の方だ。ひとりで帰ってたのに、
クラスのやつと一緒って、嘘ついてたから。

「明日からは、俺と一緒に帰ろう」
そう言って、蓮は譲らなかった。
親も「その方が安心だ」って言って。

でも、一緒に帰るって言ってくれて良かったかも。
帰り道の、暗闇の向こうが怖い。
後ろからも、誰かが近寄ってきてそうで、怖かった。


○月✖日
青木たちは心配してくれてる。
怪我は知らない人に突き飛ばされたと話した。

怪我を理由に、体育祭の練習も休めた。
でも「嘘つき」と聞こえるように言われて、
でも、俺は何も言い返せなくて、ただ、うつむいてた。


○月✖日
ロッカーに入れてた体操服が、汚れてた。
気持ち悪い。ベタベタして。
多分、誰かの体液みたいだった。
手を怪我してたから、洗えなくて、
とりあえずビニールに包んでカバンに入れた。
親が帰ってくる前に、洗った。
なんで、こんなこと。

俺、やばいかも。
最近、家に帰ると涙が出る。
止めようとしても、勝手に落ちてくる。
怖い。
どうしていいか、わからない。


○月✖日
今日も体操服が汚されてた。
ロッカーには紙も入ってた。
「御門君から離れて」「臭い」「消えて」他にも数枚あった。
授業中も涙が出そうになった。
昼休みに、蓮に体操服を洗ってる所を見られた。
辛い。蓮に辛いって言いたい。でも、言えないよ。
こんなことされてるって知られるのが、恥ずかしくて。
こんな俺を知って、蓮が離れて行かないか不安だった。


○月✖日
今日、学校に行けなかった。
朝から涙が出た。

行きたくなくて、また行ったら何かがありそうで。
俺がいなくなれば良いのか?
考えるほど苦しくて涙が出た。

親にはお腹が痛いと言った。
あまり休む方ではなかったので、心配してくれた。
学校にも休む連絡をしてくれて。
「仕事休めなくて、ごめんね」って言って、出てった。

蓮にも「お腹痛いから今日は休む」ってメッセージを送った。
すぐ既読になって「お大事に」って返事が来た。

今日は何も起こらない日だ。
そう思えただけで、少し安心した。
明日のことは。考えたくない。
学校、行きたくないな。


○月✖日
あれから学校に行ってない。
腹痛は病院に行ったら、本当に胃炎だった。
それから、少し経って、両親は「ズル休みは良くない」って言ってきた。
でも、それでも行かない俺を見て、母さんが仕事を休むようになった。
俺が学校に行けないのが心配で「行けるようになるまで、一緒にいる」って言ってた。

無駄だよ。俺だって何もなければ行ったよ。
でも、もう無理なんだ。
蓮からも連絡が来るが、行けない、としか返事をしていない。
蓮が来たけど、親には蓮にも会いたくないって伝えた。
「蓮が原因なのか」と聞かれたけど、違うって答えた。
今は誰とも会いたくないって言った。
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