異世界宇宙SFの建艦記 ――最強の宇宙戦艦を建造せよ――

黒鯛の刺身♪

文字の大きさ
9 / 55

第九話……初勝利

しおりを挟む
 新造艦は間もなく完成した。
 晴信とディーは喜ぶ。

 しかし、問題は艦名であった。
 なんでもいいという訳にはいかない。


「ねぇ、なんにしよう?」

 晴信はディーに尋ねる。

「んー、丈夫がウリな船ですよね。昔に盾が要らないほど丈夫な鎧があったらしいですよ」

 ディーが情報端末をもとに応える。

「よし! 盾がいらないほどなら【タテナシ】にしようか?」

「いいですね!」

 こうして新造艦はタテナシと命名されたのだった。



☆★☆★☆

「タテナシ、発進!」

「了解!」

 タテナシの艦長は晴信。
 ディーは副長兼なんでも係だ。
 とくにカッコいい名称はない。

 晴信は宇宙海賊相手にリベンジを仕掛けた。
 今回も同じように任務は商船の護衛。
 宇宙ステーション【タイタン】のギルド員に頼みこんでの任務だった。


「みんな頼んだよ!」

「「「マカセロ、マカセロ!」」」

 晴信は、戦闘員たるお掃除ロボットたちに声を掛ける。

 ……が、しかし。
 彼等、お掃除ロボットの言語能力はあまり高くなかった。

 タテナシは、宇宙ステーション【タイタン】を出航後、最初のワープから、僅か6時間で会敵した。
 それは、再びの敵。
 晴信が建造した船であった。



☆★☆★☆

『敵発見、左舷方向に距離8.6光秒』

『砲撃戦用意!』

 タテナシと同じく、護衛任務に就いていた宇宙警察の船が反転。
 次々に宇宙海賊に挑んでいく。

 ……が、今回は相手も複数だった。
 きっと成果に乗じて仲間が集まったのだろう。

 宇宙警察の船はあっという間に追い散らされた。


「砲撃戦用意!」

 宇宙警察が逃げ散った後に、のんびりと交戦準備に入るタテナシ。
 判断が遅いのは、晴信の判断が遅かっただけという切ない事情なのであるが……。


『敵砲撃来マス!』

 タテナシの音声AIが晴信に危険を知らせる。
 と、同時に数条のレーザー光がタテナシを襲う。

――ドシュ。

 鈍い音はするが、タテナシに損害があるようではなかった。

『敵砲撃、艦首ノ液体金属層ガ吸収。吸収率99.998%』

 タテナシのAIの報告によると、艦首の液体金属層がレーザーを吸収、又は反射したようであった。


「シールド用バリア展開! ミサイル迎撃用意!」

 敵の攻撃に応じて、晴信の指示も早くなる。
 その命令に従い、迎撃を準備するのはお掃除ロボットたちだった。

『対空VLS良シ! 迎撃開始シマス!』

 攻撃力に関しては未知数だが、タテナシの防御力は超一流であった。
 流石は、どちらかと言えば臆病な晴信が、力を入れただけはあった。

 宇宙海賊側からのレーザー砲はバリアにはじき返され、実弾兵器は液体金属に吸収。
 ミサイル攻撃も過剰な数の迎撃ミサイルによって叩き落とされた。

 このような攻防戦が2時間も続く。
 タテナシは守っていただけだったが、宇宙海賊側は弾切れやエネルギー切れとなり、弾幕はみるみる間に薄くなっていった。


「ハルノブ、そろそろ乗り移る!?」

「そうだね! 敵に接舷開始! 乗り移れ!」

 ディーの問いに返事をした形で、晴信は艦内のお掃除ロボットたちに近接戦闘を命じた。
 以前に晴信が作った海賊船に、タテナシは突っ込み、強引に敵船に接舷した。

 強行接舷した後に、高出力溶解カッターで敵船に穴をあけ、その穴からお掃除ロボットたちが雪崩れ込んでいった。



☆★☆★☆

 晴信は怖いので艦橋のモニターから観戦。
 お掃除ロボットたちの奮闘を応援した。


「逮捕スル! 手ヲ挙ゲロ!」

「五月蠅い! 死ね!」

 敵船内の宇宙海賊たちは、予想に反して虫型の生命体であった。
 わかりやすく言えば、頭が虫型の直立歩行民族である。

 宇宙海賊たちはレーザー銃などで応戦。
 しかし、お掃除ロボットたちは、電磁防壁を施した盾などで攻撃を無力化した。

 流石は古の人間たちが作った警備兼、お掃除ロボットたち。
 あっという間に、宇宙海賊たちを取り押さえていったのだった。


「「「エイエイヲー!!」」」

 すぐに敵族長が捕縛され、機械音の勝鬨があがった。

 この戦いで、晴信は敵船6隻を拿捕。
 海賊664名の逮捕に成功したのだった。



☆★☆★☆

「いやいや、晴信君だったね、流石というほかない。君にお願いしてよかったよ!」

「有難うございます!」

 宇宙ステーション【タイタン】の惑星間ギルドの所長は、先日と打って変わって晴信を大いに持ち上げた。
 どうやら、この地域の宇宙警察の惨状から、敵宇宙海賊への評価があがってのことであったらしい……。


「いやいや、それでね。君の造船技術に頼って、一隻ほど宇宙船が欲しいんだ」

「……はぁ、新造すればよろしいんで!?」

「それには及ばん! 君が作った船を譲ってくれ!」

 所長の言葉に、一瞬あせった晴信。
 しかし、その対象の船は、以前に晴信が作り、先ほど拿捕した宇宙海賊の船だった。


「どうぞどうぞ!」

「おお! 有難い!」

 所長は顔を綻ばせる。
 あの船は宇宙警察の船を34隻沈めた名艦になっていたらしかった。


「……でだ、船代と成功報酬はこれだけで良いかな?」

「はい、よろしゅうございます!」

 お礼の段になって、ディーが口を挟んで受け取った。
 晴信にこの世界のことはよくわからないためだ。

 晴信が後でディーに聞くところによると、報酬はタテナシの燃料代約64か月分相当のエネルギーだった。

 ……なにはともあれ、晴信の初勝利であった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

銀河太平記

武者走走九郎or大橋むつお
SF
 いまから二百年の未来。  前世紀から移住の始まった火星は地球のしがらみから離れようとしていた。火星の中緯度カルディア平原の大半を領域とする扶桑公国は国民の大半が日本からの移民で構成されていて、臣籍降下した扶桑宮が征夷大将軍として幕府を開いていた。  その扶桑幕府も代を重ねて五代目になろうとしている。  折しも地球では二千年紀に入って三度目のグローバリズムが破綻して、東アジア発の動乱期に入ろうとしている。  火星と地球を舞台として、銀河規模の争乱の時代が始まろうとしている。

航空自衛隊奮闘記

北条戦壱
SF
百年後の世界でロシアや中国が自衛隊に対して戦争を挑み,,, 第三次世界大戦勃発100年後の世界はどうなっているのだろうか ※本小説は仮想の話となっています

蒼穹の裏方

Flight_kj
SF
日本海軍のエンジンを中心とする航空技術開発のやり直し 未来の知識を有する主人公が、海軍機の開発のメッカ、空技廠でエンジンを中心として、武装や防弾にも口出しして航空機の開発をやり直す。性能の良いエンジンができれば、必然的に航空機も優れた機体となる。加えて、日本が遅れていた電子機器も知識を生かして開発を加速してゆく。それらを利用して如何に海軍は戦ってゆくのか?未来の知識を基にして、どのような戦いが可能になるのか?航空機に関連する開発を中心とした物語。カクヨムにも投稿しています。

メトロポリス社へようこそ! ~「役立たずだ」とクビにされたおっさんの就職先は大企業の宇宙船を守る護衛官でした~

アンジェロ岩井
SF
「えっ、クビですか?」 中企業アナハイニム社の事務課に勤める大津修也(おおつしゅうや)は会社の都合によってクビを切られてしまう。 ろくなスキルも身に付けていない修也にとって再転職は絶望的だと思われたが、大企業『メトロポリス』からの使者が現れた。 『メトロポリス』からの使者によれば自身の商品を宇宙の植民星に運ぶ際に宇宙生物に襲われるという事態が幾度も発生しており、そのための護衛役として会社の顧問役である人工頭脳『マリア』が護衛役を務める適任者として選び出したのだという。 宇宙生物との戦いに用いるロトワングというパワードスーツには適性があり、その適性が見出されたのが大津修也だ。 大津にとっては他に就職の選択肢がなかったので『メトロポリス』からの選択肢を受けざるを得なかった。 『メトロポリス』の宇宙船に乗り込み、宇宙生物との戦いに明け暮れる中で、彼は護衛アンドロイドであるシュウジとサヤカと共に過ごし、絆を育んでいくうちに地球上にてアンドロイドが使用人としての扱いしか受けていないことを思い出す。 修也は戦いの中でアンドロイドと人間が対等な関係を築き、共存を行うことができればいいと考えたが、『メトロポリス』では修也とは対照的に人類との共存ではなく支配という名目で動き出そうとしていた。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

処理中です...