異世界宇宙SFの建艦記 ――最強の宇宙戦艦を建造せよ――

黒鯛の刺身♪

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第十七話……グエン大佐

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「将軍、どうなさいましたか?」

 晴信は取り急ぎ将軍の安否を尋ねた。
 アルキメデス中将は負傷し、頭に包帯を巻いた姿であった。

「実はな、飯富中佐に取り急ぎやってもらいたいことがある……」

「なんでしょうか?」

 中佐と呼ばれているが、晴信は軍組織の人間ではない。
 つまり、半ば名誉称号として、形式的に中佐という階級が与えられていたのだ。


「スラー帝国の勢力圏である惑星シリウスの味方に、至急物資を届けてほしい。なにしろ制宙権を取られていて、我が王国の普通の輸送船では無理なのだ。その点、君の船は違う。褒章は弾むので是非やってほしい……」

「わかりました!」

 晴信は通信モニターにむかって丁寧に敬礼。
 慎重な彼にしては、即決は珍しい判断であった。
 そこには、アルキメデス中将へのほのかな友愛の気持ちがあったのかもしれない。


「タテナシ出撃用意!」

「了解です!」

 晴信は麾下のお掃除ロボットたちに次々に指示。
 必要物資を積み込み、装甲艦【タテナシ】の発進準備を整えていった。



☆★☆★☆

「……装甲艦タテナシの入港を認めます!」

「感謝する!」

 晴信の乗る装甲艦【タテナシ】は、宇宙ステーション【タイタン】に入港。
 ここで運ぶべき物資を積む予定だった。


「飯富中佐殿かな?」

「はい、そうですが……」

 【タイタン】の宇宙港で、晴信はとある男に話しかけられた。
 褐色系の中年を思わせる獣人で、ゲルマー王国軍の制服を着ていることから士官と思われた。

「私は、グエン大佐という者だ。今回の補給任務への協力嬉しく思う」

「いえいえ、御礼も頂けますしね……」

 晴信はにっこりと応じる。
 晴信としては、アルキメデスからの個人的な依頼だったが、ゲルマー王国軍人からすれば、軍への真摯な協力ということになるのだろう。


「……。惑星シリウスの位置はですね……」

「……はい」

 晴信はグエンという男に、今回の輸送作戦について教わった。
 物資輸送とはいうものの、戦車や気圏戦闘機などの兵器も運ぶ任務でもあった。


「オーライ! オーライ!」

「ストップ!」

 全長600mを超える【タテナシ】に次々と物資が積み込まれる。
 惑星シリウスは水も乏しいため、飲料水も重要な輸送品目であった。


「作戦物資、積み終わりました!」

「よし発進!」

 【タテナシ】は新たにグエン大佐も乗せ、一路惑星シリウスへと向かったのだった……。

☆★☆★☆

――惑星シリウス。
 そこは不毛な砂漠が広がる赤茶けた大地。
 水は一滴もなくといっても過言ではなく、川という存在も極めて少ない。

 【タテナシ】はスラー帝国が支配する惑星シリウスのゲルマー王国の前線基地に着陸した。


「輸送任務お疲れ様でした!」

「いえいえ、困ったときはお互い様です!」

 晴信はグエン大佐にそう返す。
 惑星シリウス衛星軌道上で、簡易防衛衛星との交戦があったが、それは歴戦の【タテナシ】の敵ではなく、比較的すんなりと輸送任務に成功したのだった。

 巨大な【タテナシ】の艦体からタラップが降ろされ、主力戦車40両、トラック80台、ゴーレム4体、各種物資が運び出された。

 特に甘味や酒、水は現地の兵卒を喜ばせた。
 それは戦士がつねに勇士であることができないことを意味していた。


「……実は、甘えついでにお願いがあるのですが……」

「なんでしょう?」

 グエン大佐は晴信に依頼をしてきた。
 それは……、


「晴信殿は優秀な戦術巨兵であるゴーレムを持っているとの事。是非この地で我々と戦ってほしいのです……」

「……」

 晴信は困った。
 いままで戦ってきたのは主に防衛作戦や輸送任務。
 侵攻作戦に手を貸すのは、気が進まなかったのだ。


「……このとおりです! 王国の一億の民の為なのです……」

「わかりました……」

 結局、拝み倒された晴信は助勢を決意。
 グエン大佐が指揮する戦列に加わることになった。



☆★☆★☆

――二週間後。
 ゲルマー王国の惑星シリウス作戦ミーティングルーム。
 作戦概要図が大型モニターに映し出されていた。

「……次の我々の作戦はダムの破壊である!」

(……ダムの破壊?)

 晴信は顔をしかめた。
 この地の水は極めて貴重だ。
 その水の運用を行うダムの破壊はどうかとおもったのだ。

「このダムは、敵の電力の貴重な資源となっている。また、このダムにおいて下流の農村が水不足になっている。破壊するのはこの星の民の為でもある!」

 グエン大佐は、こぶしに力を込めてそう言った。

 ……この星の民の為になる。
 この言葉は、晴信のみではなく、多くの将兵の士気を向上させた。

「不当な支配者、スラー帝国を打倒せよ!」

「「「おー!」」」

 作戦会議は一決。
 スラー帝国が保持するダム攻撃作戦が決定された。
 又、下流域への放水についてだが、今の時期は乾季であり、洪水を起こすだけの貯水量はないとのことだった。

 この作戦に参加するのは、晴信のゴーレム以外に、

〇戦術巨兵ゴーレム16機。
〇気圏戦闘機40機。
〇主力戦車100両。
〇装甲歩兵4000名。
〇工兵及び整備兵500名。

――諸々5000名の動員だった。


「作戦開始!」

「「「了解!」」」

 赤茶けた惑星シリウス最大のダム破壊作戦が、いままさに開始されようとしていたのだった。
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