異世界宇宙SFの建艦記 ――最強の宇宙戦艦を建造せよ――

黒鯛の刺身♪

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第十八話……シリウスの雷神

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「降下用意!」

「OK!」

 本隊とは別に、晴信の乗るゴーレムは気圏輸送機により降下作戦に従事していた。
 ゴーレムと共に機動歩兵たちが次々に落下傘で降下する。

 降下する先は、目標のダムの制御基地であった。
 ここに降下することによって、敵をかく乱することが任務であり、本隊の作戦を擁護するのも任務であった。

 降下する部隊に敵の砲火が集中。
 しかし、多大な被害を出すも、降下自体は成功した。
 ……よって、各地から敵の耳目を引き付ける。


「散開、建物の陰へ!」

「了解!」

 二足歩行の巨人たるゴーレムと、それに比べたら小人である装甲歩兵たちが、建物陰などに隠れ敵と交戦。
 激しい銃撃戦へと移っていく。

 装甲歩兵とは、簡素な複合セラミック装甲の鎧を着た歩兵であり、この世界の主力部隊であった。
 また、この装甲服を纏わない歩兵は民兵と呼ばれ、正規兵とは区別されていた。

 装甲歩兵たちは、紫色の光線を放つビームライフを手に敵と応戦。
 それに対し、ゴーレムは大口径のレーザーキャノン砲で敵を吹き飛ばした。

 敵戦車のレールガンがゴーレムに次々襲い掛かるも、重力フィールドによって跳弾。
 ゴーレムは無傷で戦場に留まり続ける。

 戦場の死神ともよばれるゴーレム。
 彼等は太古の人間たちの産み落とした機械製の魔神であった。


『飯富中佐、ダム制御室を占拠せよ!』

「了解!」

 晴信率いるゴーレム隊は激しい抵抗に遭うものの、装甲歩兵を援護しつつ、ダムの制御室の占拠に成功。
 それに対し、敵は制御室の奪回を試みて、猛反撃にでた。

『ナハル少尉機、擱座!』
『ミハイル中尉機、大破!』

 激しい敵の反撃を受け、戦場の死神と揶揄されるゴーレムにも流石に被害が出てきた。
 敵の反撃はなおも厳しく、晴信たちは徐々に追い詰められていった。

「ディー、どうしたらいいと思う?」

『えー、私はタテナシでお留守番中ですよ!』

 晴信は戦線打開の方策をディーに尋ねるも、ディーは戦場よりかなり離れた【タテナシ】にて留守番中であった。
 遥か昔からの協定により、宇宙船は惑星地上戦には参加できない。


「……あ?」

 晴信の乗るゴーレムに敵弾が集中してくる。
 周囲の建物を胸壁とするも、あまりにも敵弾が多く、無傷ではいられなかったのだ。

――その時。

『……もしかして貴方は人間ですか?』

 ゴーレムの制御コンピューターが晴信に話しかけてきた。

「内緒だけど、そうだよ!」

『確認させて頂きます! 嘘なら貴方を殺します!』

「……え?」

 ゴーレムの操縦席から針のような端子が伸び、晴信のこめかみに突き刺した。

『遺伝子照合完了! 人間と認めます! これよりゴーレムは真の主の為に全力を尽くします!』

「……え!?」

 ……晴信は驚く。
 いままでのゴーレムは真の力を発揮していないと言っているのも同じだったのだ。
 今までのゴーレムは、真の主が乗らないときのスペックであって、今からこそがゴーレムの本来の力だということであった。

『機動力200%向上! 防御力200%向上! 攻撃力……』

 晴信の目の前のモニターが、恐ろしいまでの自機のスペック向上を告げて来る。
 その内容は、もはやこの世界ではオーバースペックと呼ぶにふさわしい値であった。


 パワーアップを果たした晴信の乗るゴーレムは次々に敵をなぎ倒す。
 過剰威力ともいえる増幅されたレーザーキャノン砲が次々に敵を葬り、敵弾は晴信機をかすらせることする不可能だった。

 とくに、足の遅い重戦車は晴信の格好の餌となった。
 重戦車は次々に側面に回り込まれ、装甲の薄い横っ腹に弾丸を叩きこまれた。

 この後に晴信たちは、一気に攻勢に転じて、ダムの制御室の完全確保に成功した。


『敵が撤退していきます!』

「了解!」


 その日の晴信の鬼神の如き活躍は、ゲルマー王国においてもスラー帝国においても語り継がれるほどの戦果を生み出した。
 その活躍により、晴信は【シリウスの雷神】との二つ名で呼ばれることになるのであった……。



☆★☆★☆

 晴信たちの奮戦により、ダムの制御室を奪ったゲルマー王国軍は勢いを得て、次々に各所を占拠していく。
 予め塹壕を掘っていたスラー帝国軍陣地を、ゲルマー王国軍の戦車が楔形陣形を組んだまま突進して突き破る。

 スラー帝国軍の防空施設が地上軍の攻勢によって殲滅されると、ゲルマー王国軍の気圏戦闘機が次々に地上爆撃に参加した。
 航空支援の得たゲルマー王国軍は更に攻勢を続け、作戦開始の24時間後にはダム防衛の指令本部を占領。
 その後、残敵掃討に移った。


 ゲルマー帝国軍の予想外の戦果としては、作戦目標のダムを無傷で占領できてしまったことだ。
 一応、作戦目的はダムの破壊であったが、確保できたというのはその上を行く戦果であった……。

 このことにより、惑星シリウスの戦線はゲルマー王国優勢へと変化を遂げていく。
 この戦いはその分水嶺といってものであった。


――後日。
 この作戦目標の上を行く戦果を、ゲルマー王国参謀本部は大いに評価した。

 晴信はこの戦いにおいて、勲功第一として、ゲルマー王国の騎士爵の爵位を賜り、ダイヤモンドで出来た第一級の勲章も授与されたのだった。

 さらに晴信は昇進。
 非正規ながらも、大佐という地位へと昇進したのだった。
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