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〖第68話〗
しおりを挟む「美雨さんの可愛い涙袋から悔し涙いっぱいながしてきてきたんだね。これ以上ないくらいお洒落な格好して見返してやろうよ! ………って言っても見返したい人、あそこのコンビニにいないし。代りに美味しいもの、いっぱい買って、贅沢しちゃお?どうだ!私はお大尽だぞって」
お大尽なんて、何処で覚えたのかしら。真波はクシャっと笑った。真波は、人をこき下ろしたりしない。悪口を言わない。にこにこ笑う真波が、私を見つめた。そして、不意に私を抱きしめた。
「よく頑張ってきたね。本部長さんなんて、すごいよ。そんな格好よくて、綺麗な美雨さんを描ける俺ってついてる。美雨さんに出会ってから色々あったね。俺のせいで美雨さん痩せたね。悲しませてごめんね。ごめんね。手なんか、こんなに。小さい手だね。やさしい手だね。早く、判別しよう。終わらせて、コンビニに夕食買いに行こう」
真波は私の知らない世界へ私をつれていく。ずっとやってみたいことだった。そして思いつきもしないことだった。
フリマアプリも、コンビニを生きる上で足らないもの買う高い店ではなく、贅沢の対象とすることも。
クローゼットの中にある荷物。これでも、荷物は増やさないようにしていた。一つ増やしたら、一つ手放すように。けれど『一生使う物』しか買わないつもりが、貰ったり、誘惑に負けたりして、一年も経つと徐々にクローゼットが膨れていく。
昔、家には寝に帰るような多忙な時は毎日が、終い仕度のような気がしていた。物は最低限。その代わり足りないものはないように。
判別は、物質だけとは限らなくて、記憶のメモリにもある。今の私にとって、記憶のメモリに書き込む事柄のほとんどが真波がになった。沢山の記憶。香り、感触、声、温度、吐息まで。真波に附随するものが私を満たして、記憶のメモリは幸せな記憶にアップデートしていく。真波は私に情熱も、穏やかな安らぎもくれる。
真波の節くれた手が私のスマートフォンを手早く操作し、色々な文字をタップしていく。私はそれを見て覚える。靴、服、バッグ、未使用の化粧品、売り方、値段交渉。私は微笑んだ。立派なビジネスだわ。と。
人気のブランドで、値段設定も欲を張らないけれど、粗悪品には思えない値段の高さ。要はブランド性は残しつつ、高いけれどこの状態で、このブランドなら安い範囲と言う好条件。写真をアップしては売れていく。真波の商才は怖いくらいだ。
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