氷雨と猫と君〖完結〗

カシューナッツ

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〖第80話〗

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 グラスを合わせる。甲高い綺麗な音がした。シードルは甘酸っぱい林檎。金色の林檎。

いただきます。何故か手を合わせてしまう。

「真波、パスタどうかな、食べてみて?」

「うん、美味しい。コンソメがいいね。あ、トマトのマリネも美味しい!酸味でさっぱりする」

「良かった!」

 私は少し得意気になる。真波はグルメだ。鼻と舌が良い。

「美雨さん、ポテトのミートグラタンも熱いうちに食べてみて」

 私の一口を真波が神妙な面持ちで見ている。

「おいしい! ミートソースに玉葱のみじん切り足して正解ね。とけるチーズ最高! 真波って味の細かいところに気づくね。すごい!」

「良かった。『おいしい!』って聞くまでドキドキするよ」

 コンソメスープと、サンドイッチは、チーズも加わりほぼおつまみ状態。オクラと豆腐のサラダはスプーンで食べて正解だった。今日はかなり食べた。自分のお腹が良く入ると呆れる。チキンは手を油でベトベトにしながら食べて笑い合った。ウエットティッシュで手を拭いたあと、小さめのアイスケーキを食べた。

 チョコケーキみたいにまろやかで美味しいアイスケーキ。上にかかっているココアパウダーの苦味が良い。お腹いっぱい、真波も嬉しそうだ。

「真波、ありがとう。こんなに楽しいクリスマスは初めて。私から小さいけどプレゼント」

 食器棚の引き出しに隠しておいたプレゼント。お洒落な包装の箱。知り合いのデザイナーのデザインしてもらったカフスボタンとネクタイピン。真波の誕生石はオパールだ。カフスとネクタイピンの同じデザインの場所にオパールがあしらってある。真波は箱を開けて見る中身に、

「すごく贅沢。きらきらして星空みたいだ。ありがとう、美雨さん。俺も幸せ。あのさ、まだ酔っぱらっていないうちに、いや、充分酔っぱらってるから、俺からも、しょぼいけど………プレゼント」

 真波が部屋に戻り、ダイニングで待つの私に差し出したのは綺麗な布に包まれた額装された絵だった。

「開けていい?」

 照れ臭そうに、真波は頷いた。私の長い髪がアップで纏めて、鼈甲ベッコウのバレッタでとめられ、後れ毛が跳ね、光る透明な氷雨が降る中、お気に入りのワンピースを着ておはぎとだいふくと遊んでいるという絵だった。光の風のような舞う小さな雨が綺麗だ。でも確かに透明な明るさの中、紺碧の寒さは感じる。

「綺麗ね。本当にありがとう」

「あと、これ。流石に鼈甲は無理だったんだ」
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