18 / 140
幼少期
18 クルトとの修練
しおりを挟む
この世界はゲームがもとになっているが、れっきとした現実の世界でもあるから、剣術だろうと知識だろうと相応の努力をしなければ身につかない。
というわけで、剣術の練習を始めたんだが、やっぱり前世の記憶というのは意味があるようで、それなりに動ける。
というのも、前世ではド田舎に住んでいて、武術だの剣術だの近所のじーさんが強制的に教えてくるようなところだったから、ある程度の護身術は幼なじみ連中全員で身につけさせられていた。
前世では刀が基準の剣術だったし、この世界でも少数ながら刀が存在するが、俺は使う気はない。
なんでかっていうと、そもそも俺が刀を十全に使えないというのがあるし、この世界の刀はアーティファクトで特定のダンジョンのレアドロップに指定されているからだ。
小器用でありながら雑な性格の俺には、切り裂く刀よりも押し切るロングソードの方が使い勝手がいいし、刀以外にろくに戦利品のないダンジョンにわざわざ潜る気がないんだ。
ダンジョン攻略は攻略特典で疾風の指輪が貰える昆虫系魔物の蔓延るダンジョンと、マナの指輪が貰えるトロールが蔓延るダンジョンのみで十分だ。
もちろん、その2つは終盤にならないと行けないゲルハルディ領にあるダンジョンで、ゲルハルディ領に住んでいる俺にとっては行きやすいダンジョンだ。
現在はまだ未発見のダンジョンのはずで、ダンジョンは発見者に優先攻略権が与えられるから、7歳になったらこの2つは率先してクリアしないとな。
疾風の指輪は1ターンに2回行動できるアクセサリーで、マナの指輪は毎ターンMPが回復するアクセサリー。
どちらも主人公にとられたら面倒くさいことになるし、他の装備は取られてもこの2つだけは取られちゃいけないものだ。
この世界での効果がどうなっているかは、入手してみないとわからないが、最強武器や最強防具よりも優先順位が高いアイテムなんだよな。
「マックス様、本当に剣術を習っていなかったんですか?」
「6歳児に何言ってるのさ。剣術どころか、ショートソードだって持ったことなかったよ」
「その割には様になっていますけど」
「クルトの教え方が良いんじゃない? 言われた通りに構えて、言われた通りに振ってるだけだよ」
「その、言われた通りに、というのが難しいのですよ」
「そうかな?」
「それよりも、本当に騎士団長や領主様に習わなくてもいいのですか? 恨みがましそうな目で見られていますが」
「いいのいいの。そもそも6歳児にハルバードやロングソードを持たせようとする人たちだよ? 自分たちの基準は普通じゃないって知る良い機会だよ」
「それは確かに普通じゃないですね」
「そうそう。それよりもクルトも、もっと砕けた口調でいいよ? 家族とか友人相手にもそんな感じじゃないでしょ?」
「? わたしは友人相手にもこんな感じですよ。さすがに家族には砕けた口調で話しますが、主家の嫡男にそのような言葉遣いはできませんし」
おっと、クルトは思っていたよりもまじめな性格のようだな。
確かに、前世でも友人だろうが取引先だろうが、丁寧語で話すという人は一定数いたし、そンな感じかな。
「そっかそっか。まあ、軽口が言い合えるくらいの関係の方がこれから楽なんだけど、クルトにとってそれが楽ならそれでいいよ」
「これから……ですか?」
「そうそう。今は平の団員かもしれないけど、俺が領主になるころには小隊長とか中隊長……少なくとも今よりは権限が上がっているでしょ?」
「そうなれればと思ってはいますが」
「真面目に怪我なく勤めていればなれるって。今の騎士団長やベテラン団員のほとんどは退団しているはずだし、クルトたちの時代が来るはずだよ」
「そう……なんですかね。あまり、現実味がないですが」
「だって、俺が領主になるのは10年後か20年後だよ。そうなってもらわないと困るよ。騎士団長なんて40とか50だよ? ま、そんな時に軽口を言える人間が騎士団にいてくれるっていうのは、領を守る領主にとっては心強いってことだよ」
「……精進します」
「うんうん、ぜひとも精進して強くなってね。俺は父上のように一騎当千、率先して戦いに出るなんてできないんだから、騎士団が強くなってもらわないとね」
「マックス様も強くあらねばなりませんよ」
「それは次期領主として当然。自分の身は自分で守る、領民のために戦う、これが基本だけど、領民の守り方は人それぞれだからね。俺は人を上手に使ってみんなを守るよ」
前世の俺には守るものは両親や幼なじみくらいだったけど、この世界ではそうも言っていられない。
自分の周囲を守れればそれでいいなんて、貴族に生まれて税金で生きている人間がほざいていい理論じゃない。
自分に能力があろうがなかろうが、自分のできる手段で領民全員を守る覚悟が必要になるんだ。
というわけで、剣術の練習を始めたんだが、やっぱり前世の記憶というのは意味があるようで、それなりに動ける。
というのも、前世ではド田舎に住んでいて、武術だの剣術だの近所のじーさんが強制的に教えてくるようなところだったから、ある程度の護身術は幼なじみ連中全員で身につけさせられていた。
前世では刀が基準の剣術だったし、この世界でも少数ながら刀が存在するが、俺は使う気はない。
なんでかっていうと、そもそも俺が刀を十全に使えないというのがあるし、この世界の刀はアーティファクトで特定のダンジョンのレアドロップに指定されているからだ。
小器用でありながら雑な性格の俺には、切り裂く刀よりも押し切るロングソードの方が使い勝手がいいし、刀以外にろくに戦利品のないダンジョンにわざわざ潜る気がないんだ。
ダンジョン攻略は攻略特典で疾風の指輪が貰える昆虫系魔物の蔓延るダンジョンと、マナの指輪が貰えるトロールが蔓延るダンジョンのみで十分だ。
もちろん、その2つは終盤にならないと行けないゲルハルディ領にあるダンジョンで、ゲルハルディ領に住んでいる俺にとっては行きやすいダンジョンだ。
現在はまだ未発見のダンジョンのはずで、ダンジョンは発見者に優先攻略権が与えられるから、7歳になったらこの2つは率先してクリアしないとな。
疾風の指輪は1ターンに2回行動できるアクセサリーで、マナの指輪は毎ターンMPが回復するアクセサリー。
どちらも主人公にとられたら面倒くさいことになるし、他の装備は取られてもこの2つだけは取られちゃいけないものだ。
この世界での効果がどうなっているかは、入手してみないとわからないが、最強武器や最強防具よりも優先順位が高いアイテムなんだよな。
「マックス様、本当に剣術を習っていなかったんですか?」
「6歳児に何言ってるのさ。剣術どころか、ショートソードだって持ったことなかったよ」
「その割には様になっていますけど」
「クルトの教え方が良いんじゃない? 言われた通りに構えて、言われた通りに振ってるだけだよ」
「その、言われた通りに、というのが難しいのですよ」
「そうかな?」
「それよりも、本当に騎士団長や領主様に習わなくてもいいのですか? 恨みがましそうな目で見られていますが」
「いいのいいの。そもそも6歳児にハルバードやロングソードを持たせようとする人たちだよ? 自分たちの基準は普通じゃないって知る良い機会だよ」
「それは確かに普通じゃないですね」
「そうそう。それよりもクルトも、もっと砕けた口調でいいよ? 家族とか友人相手にもそんな感じじゃないでしょ?」
「? わたしは友人相手にもこんな感じですよ。さすがに家族には砕けた口調で話しますが、主家の嫡男にそのような言葉遣いはできませんし」
おっと、クルトは思っていたよりもまじめな性格のようだな。
確かに、前世でも友人だろうが取引先だろうが、丁寧語で話すという人は一定数いたし、そンな感じかな。
「そっかそっか。まあ、軽口が言い合えるくらいの関係の方がこれから楽なんだけど、クルトにとってそれが楽ならそれでいいよ」
「これから……ですか?」
「そうそう。今は平の団員かもしれないけど、俺が領主になるころには小隊長とか中隊長……少なくとも今よりは権限が上がっているでしょ?」
「そうなれればと思ってはいますが」
「真面目に怪我なく勤めていればなれるって。今の騎士団長やベテラン団員のほとんどは退団しているはずだし、クルトたちの時代が来るはずだよ」
「そう……なんですかね。あまり、現実味がないですが」
「だって、俺が領主になるのは10年後か20年後だよ。そうなってもらわないと困るよ。騎士団長なんて40とか50だよ? ま、そんな時に軽口を言える人間が騎士団にいてくれるっていうのは、領を守る領主にとっては心強いってことだよ」
「……精進します」
「うんうん、ぜひとも精進して強くなってね。俺は父上のように一騎当千、率先して戦いに出るなんてできないんだから、騎士団が強くなってもらわないとね」
「マックス様も強くあらねばなりませんよ」
「それは次期領主として当然。自分の身は自分で守る、領民のために戦う、これが基本だけど、領民の守り方は人それぞれだからね。俺は人を上手に使ってみんなを守るよ」
前世の俺には守るものは両親や幼なじみくらいだったけど、この世界ではそうも言っていられない。
自分の周囲を守れればそれでいいなんて、貴族に生まれて税金で生きている人間がほざいていい理論じゃない。
自分に能力があろうがなかろうが、自分のできる手段で領民全員を守る覚悟が必要になるんだ。
193
あなたにおすすめの小説
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【完結】魅了の魔法にかけられて全てを失った俺は、最強の魔法剣士になり時を巻き戻す
金峯蓮華
ファンタジー
戦に負け、国が滅び、俺ひとりだけ生き残った。愛する女を失い、俺は死に場所を求め、傭兵となり各地を漂っていた。そんな時、ある男に声をかけられた。
「よぉ、にいちゃん。お前、魅了魔法がかかってるぜ。それも強烈に強いヤツだ。解いてやろうか?」
魅了魔法? なんだそれは?
その男との出会いが俺の人生を変えた。俺は時間をもどし、未来を変える。
R15は死のシーンがあるための保険です。
独自の異世界の物語です。
兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?
志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。
そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄?
え、なにをやってんの兄よ!?
…‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。
今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。
※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。
悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!
水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。
ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。
しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。
★ファンタジー小説大賞エントリー中です。
※完結しました!
悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
悪徳領主の息子に転生しました
アルト
ファンタジー
悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。
領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。
そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。
「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」
こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。
一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。
これなんて無理ゲー??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる