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幼少期
58 泥濘魔法
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「合成魔法:泥濘」
使用する魔法の名を唱えると、頭の中に魔法のイメージが入り込み自然と魔力が込められていく。
魔力が体外に排出される感覚を覚えると、自然と口からは詠唱が唱えられる。
これはゲーム内でも同様で、魔法を選択したキャラクターはどれほど素早さが高くても行動順番が最後に回る。
物理攻撃のキャラクターが動き回っている間、詠唱をしているのだから当然だけど、魔法がこの世界の戦闘においてそこまで重要視されていない理由でもある。
ま、純属性が使えるレベル10の魔法はそれを差し置いても高威力、広範囲の魔法だから、貴族になる条件に魔法が使える事って条件もあるわけだが。
「マッドグランド!」
およそ1分ほどの詠唱の果てに作り出された光景は、前方120度100mの範囲の地面がぬかるみに変わり、その地面に生えていた植物が地中に飲み込まれていく姿だった。
反面、俺の中からはごっそりと魔力……数値にすると5,000ほど……の魔力が減り、軽い疲労も覚える。
「マックス様!?」
「うーん、こうなるのか。知られていなければ有効だけど、詠唱時間も考えると避けられやすいかな」
「マ、マックス様! いったい今のなんですか!?」
「あ~、必殺技?」
「適当なことをおっしゃらないでください!」
「わかったわかった。……ええと、魔法の合成を試してみたんだよ」
「魔法の……合成?」
「そう……昔の賢人が残した手記にあったんだけど、2種類の属性の魔法を同時に行使することによって莫大な威力の魔法が使える可能性がある、と」
これ自体は嘘じゃない。確かにその手の手記は山ほどあるのだが、成功例はなく眉唾なものとして捨て置かれている。
そもそも複数属性の魔法レベルを5以上にしていなければ合成魔法は使えないし、大戦以前のダンジョン攻略が盛んだった時代ならともかく、現在では合成魔法を使えるほどに高レベルの魔法使いがいない。
「……2種類の属性魔法」
「ま、俺は属性だけは多いからな。とりあえず試してみようと思ったんだけど……この威力だと下手に使うわけにもいかないし封印かな」
「使わないのですか?」
「モンスターの大量発生でも起きれば別だけど、領内の見回りでこんな魔法を使ったら領内がぐちゃぐちゃになっちゃうよ」
ゲーム内なら魔法を使っても周囲に影響はないようになっているけれど、現実世界ではそうはいかない。
現に泥濘魔法は効果を終了しているものの、土に埋まった木はそのままだし、地面もぬかるんだままだ。
他にも合成魔法はあるが、どれもこれも地形に影響を与える可能性の高いものばかりなので、本当に緊急時にしか合成魔法は使わないだろうなぁ。
「マックス様……私はマックス様に必要ですか?」
「? 何言ってるんだ? 必要に決まってるだろ」
「でも、私はマックス様のように強くはありません」
ああ、レナは……ゲーム内のサブヒロインであるレナは自身の強化以外に魔法が使えず、さりとて直接戦闘の能力が高いわけでもない。
だからこそのサブヒロインであり、ゲーム内ではスチルも立ち絵もなく、ただ淡々とダンジョン内のマッピングを行うためだけの装置になっていたのだ。
現実世界でも能力は変わらず、淑女教育は順調に進んでいるものの、戦場に立てるほどの魔法使いというわけではない。
「レナ、父上は陸上戦闘では一騎当千、ゲルハルディの歴代当主の中でも随一だが、伯爵としては未熟で領を守るために何かを切り捨てるのが苦手だ」
「はい」
「逆に母上は領内統治、切り捨てるべきものを切り捨て、守るものを守る、その判断は素晴らしいが、5属性持ちで魔法使いで戦闘はからっきしだ」
「そう……ですね」
「だからさ、良いんじゃないか? 別に戦闘面で役に立てなくても。俺は十分レナに助けられているし、これまで努力してこれたのは傍にレナが居てくれたからだと思っているよ」
「本当……ですか?」
「もちろん! レナが居なかったら多分、王都から戻ってきても怠惰に過ごしてたんじゃないかなぁ。で、父上と母上にこってり叱られてさ……まあそんなことなくても、俺がレナにそばにいてほしいと思ってる、それだけじゃ足りないか?」
「……いいえ、それだけで十分です」
「淑女教育も大変だったし、俺もあちこちに行ってたもんな。不安定になるのは仕方ないよ」
「すみません。マックス様の隣に立つのに相応しいか。そればかり考えてしまって」
「これだけは覚えておいてくれよ。ダンジョン攻略者になったのも、ゲルハルディ伯爵を目指しているのも、レナの傍にいたいからだ。レナが嫌だというなら商店の主になってもいいし、諸国をめぐる冒険者になってもいいんだ」
「ふふっ。マックス様、絶対にお義母様やお義父様の前では言わないでくださいね」
「わかってるって。そんな覚悟で領民が背負えるかっ! って言われるのがオチだからな」
使用する魔法の名を唱えると、頭の中に魔法のイメージが入り込み自然と魔力が込められていく。
魔力が体外に排出される感覚を覚えると、自然と口からは詠唱が唱えられる。
これはゲーム内でも同様で、魔法を選択したキャラクターはどれほど素早さが高くても行動順番が最後に回る。
物理攻撃のキャラクターが動き回っている間、詠唱をしているのだから当然だけど、魔法がこの世界の戦闘においてそこまで重要視されていない理由でもある。
ま、純属性が使えるレベル10の魔法はそれを差し置いても高威力、広範囲の魔法だから、貴族になる条件に魔法が使える事って条件もあるわけだが。
「マッドグランド!」
およそ1分ほどの詠唱の果てに作り出された光景は、前方120度100mの範囲の地面がぬかるみに変わり、その地面に生えていた植物が地中に飲み込まれていく姿だった。
反面、俺の中からはごっそりと魔力……数値にすると5,000ほど……の魔力が減り、軽い疲労も覚える。
「マックス様!?」
「うーん、こうなるのか。知られていなければ有効だけど、詠唱時間も考えると避けられやすいかな」
「マ、マックス様! いったい今のなんですか!?」
「あ~、必殺技?」
「適当なことをおっしゃらないでください!」
「わかったわかった。……ええと、魔法の合成を試してみたんだよ」
「魔法の……合成?」
「そう……昔の賢人が残した手記にあったんだけど、2種類の属性の魔法を同時に行使することによって莫大な威力の魔法が使える可能性がある、と」
これ自体は嘘じゃない。確かにその手の手記は山ほどあるのだが、成功例はなく眉唾なものとして捨て置かれている。
そもそも複数属性の魔法レベルを5以上にしていなければ合成魔法は使えないし、大戦以前のダンジョン攻略が盛んだった時代ならともかく、現在では合成魔法を使えるほどに高レベルの魔法使いがいない。
「……2種類の属性魔法」
「ま、俺は属性だけは多いからな。とりあえず試してみようと思ったんだけど……この威力だと下手に使うわけにもいかないし封印かな」
「使わないのですか?」
「モンスターの大量発生でも起きれば別だけど、領内の見回りでこんな魔法を使ったら領内がぐちゃぐちゃになっちゃうよ」
ゲーム内なら魔法を使っても周囲に影響はないようになっているけれど、現実世界ではそうはいかない。
現に泥濘魔法は効果を終了しているものの、土に埋まった木はそのままだし、地面もぬかるんだままだ。
他にも合成魔法はあるが、どれもこれも地形に影響を与える可能性の高いものばかりなので、本当に緊急時にしか合成魔法は使わないだろうなぁ。
「マックス様……私はマックス様に必要ですか?」
「? 何言ってるんだ? 必要に決まってるだろ」
「でも、私はマックス様のように強くはありません」
ああ、レナは……ゲーム内のサブヒロインであるレナは自身の強化以外に魔法が使えず、さりとて直接戦闘の能力が高いわけでもない。
だからこそのサブヒロインであり、ゲーム内ではスチルも立ち絵もなく、ただ淡々とダンジョン内のマッピングを行うためだけの装置になっていたのだ。
現実世界でも能力は変わらず、淑女教育は順調に進んでいるものの、戦場に立てるほどの魔法使いというわけではない。
「レナ、父上は陸上戦闘では一騎当千、ゲルハルディの歴代当主の中でも随一だが、伯爵としては未熟で領を守るために何かを切り捨てるのが苦手だ」
「はい」
「逆に母上は領内統治、切り捨てるべきものを切り捨て、守るものを守る、その判断は素晴らしいが、5属性持ちで魔法使いで戦闘はからっきしだ」
「そう……ですね」
「だからさ、良いんじゃないか? 別に戦闘面で役に立てなくても。俺は十分レナに助けられているし、これまで努力してこれたのは傍にレナが居てくれたからだと思っているよ」
「本当……ですか?」
「もちろん! レナが居なかったら多分、王都から戻ってきても怠惰に過ごしてたんじゃないかなぁ。で、父上と母上にこってり叱られてさ……まあそんなことなくても、俺がレナにそばにいてほしいと思ってる、それだけじゃ足りないか?」
「……いいえ、それだけで十分です」
「淑女教育も大変だったし、俺もあちこちに行ってたもんな。不安定になるのは仕方ないよ」
「すみません。マックス様の隣に立つのに相応しいか。そればかり考えてしまって」
「これだけは覚えておいてくれよ。ダンジョン攻略者になったのも、ゲルハルディ伯爵を目指しているのも、レナの傍にいたいからだ。レナが嫌だというなら商店の主になってもいいし、諸国をめぐる冒険者になってもいいんだ」
「ふふっ。マックス様、絶対にお義母様やお義父様の前では言わないでくださいね」
「わかってるって。そんな覚悟で領民が背負えるかっ! って言われるのがオチだからな」
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