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幼少期
73 マックス様の支え方(レナ視点)
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ローズマリー様と、その侍女ロッテ様とのお茶会で言われていたことをずっと考えていました。
マックス様のために私が出来ることは何なのだろう……と。
影としての教育を受けていた私は、マックス様を守ることにおいては誰にも負けない自信はあります。
ですが、マックス様の隣に立って戦うには不十分なのです。
次期領主としてのマックス様の隣になら努力を重ねれば立つことは出来ます。
でも、商売のこと、そして戦闘となれば私はマックス様の足を引っ張ることしかできない。
だからでしょうか、トーマス様がフィッシャー商会のお嬢様を連れてきたという話を聞いたときに、会ってみたいと思ったのは。
次期領主夫人としての教育でフィッシャー商会のことも調べていて、それなりの力を持つ商会であり、三姉妹はそれぞれが商売に聡い令嬢だということは知っていました。
ですが、応接室の隣室……側仕えが準備をする部屋で話し合いを盗み聞きしていた時に思ったのです、マックス様を支えるためにこの方が欲しいと。
「フィッシャー様、私とお友達になりませんか?」
「レナ、それはさっきも聞いたが、どういうことだ?」
「マックス様、私がお友達を増やすのは反対ですか?」
「いや、そうではないけど……」
「マックス様、フィッシャー商会との話し合い、急な訪問への叱責は済んだのでしょう? それなら、私はフィッシャー様をお茶会に誘いたいのですが?」
「…………はぁ。わかった、レナの好きにするといい。フィッシャー嬢、一応もう一度言っておくがアポなしの訪問はもうしないように」
私が折れることはないとわかったマックス様が、反対に折れてくださいました。……ふふ、こういう優しいところもマックス様のかわいいところですね。
改めてマックス様とトーマス様にお礼を申し上げて、私とフィッシャー様は客間へと移動することにしました。
流石に初見の人を私室に通すわけにはまいりませんし、ゲルハルディ家には来客を招くためのお部屋もあるのでそちらを利用させていただく形ですね。
「急に声をかけてしまって申し訳なかったわね。もう一度紹介させて。私はマックス様の婚約者でレナ・フォン・バルディ。……あなたは?」
「わ……わたしはアイリーン・フィッシャーと申します」
うん、まずは自己紹介。小さいころからマックス様の影として、その後も次期領主夫人としての教育を受けていた私は常識がないけれど、自己紹介が大事なのはわかっています。
でも、フィッシャー様……多分、これが通常の対応ではないわよね。
「さっきも言ったけれど、私はあなたとお友達になりたいの」
「どうして、う……わたしと?」
「マックス様を支えたい。そのためにはあなたとお友達になるのが良いと思ったからよ」
「……」
「ふふ、わかるわ。今さっきやり込められた相手のためになるようなことはしたくないって顔ね。でも、あなたにとってもメリットのある話でしょう?」
「うち……いいえ、わたしにとっても?」
「話し方は楽なようにしていいわよ。私は次期領主夫人として話し方を崩すわけにはいかないけどね」
「はぁ~、わかった。……で、ウチにとってのメリットって?」
やっとこっちを見てくれたようね。そうか、フィッシャー様は自分のことをウチって呼ぶのね。
確か、エンケの方にはそういった方言があったはず……フィッシャー様のお母様がそちらの出身なのかしら?
「次期領主夫人に気に入られるのはフィッシャー商会にとって大きなメリットでしょう?」
「……それは確かに。……でも、それはウチにとってのメリットであって、次期伯爵夫人様のメリットにはならないでしょ」
「私のことはレナと呼んで、その代わりあなたのこともアイリーンと呼んでいいかしら?」
「う……わ、わかりました」
「そうね、私の一番はマックス様を支えることだから、アイリーンがマックス様の商売を支えてくれる……それだけで大きなメリットよ」
「……レナ様の考えはわかったわ。でも、次期領主様にそこまでする価値があるの?」
「アイリーン、お話し合いで話題になっていた新商品……ウイスキーボンボンの作り方を発見したのはマックス様よ」
「? ……?? 伯爵家の料理長が作り出したのでは?」
「作ったのは料理長。でも、作り方を指示したのはマックス様よ」
「……はっ!?」
ふふ、アイリーンの顔色が変わったわね。そうよね、私も不思議だけど、マックス様は7歳とは思えないくらいの知識を有しているのよね。
マックス様はいつも誰が思いついても不思議じゃないし運だからと言っていますけど、普通じゃないわよね。
「マックス様は次期領主としても素晴らしいけれど、商人としても騎士としても素晴らしい方よ。……けれど、私では支えきれない。だからアイリーンにも支えてほしいの。商人として」
「……ウチは……すみません。少し考えさせてください」
「そうね、急すぎたものね。でも、お友達になりたいのは本当だから、またお茶会に誘ってもいいかしら?」
「はい」
マックス様を支えるためには私一人では不十分。だけど、一緒に支えてくれる人がいれば大丈夫だと思うの。
アイリーンは私と一緒にマックス様を支えてくれるかしら?
マックス様のために私が出来ることは何なのだろう……と。
影としての教育を受けていた私は、マックス様を守ることにおいては誰にも負けない自信はあります。
ですが、マックス様の隣に立って戦うには不十分なのです。
次期領主としてのマックス様の隣になら努力を重ねれば立つことは出来ます。
でも、商売のこと、そして戦闘となれば私はマックス様の足を引っ張ることしかできない。
だからでしょうか、トーマス様がフィッシャー商会のお嬢様を連れてきたという話を聞いたときに、会ってみたいと思ったのは。
次期領主夫人としての教育でフィッシャー商会のことも調べていて、それなりの力を持つ商会であり、三姉妹はそれぞれが商売に聡い令嬢だということは知っていました。
ですが、応接室の隣室……側仕えが準備をする部屋で話し合いを盗み聞きしていた時に思ったのです、マックス様を支えるためにこの方が欲しいと。
「フィッシャー様、私とお友達になりませんか?」
「レナ、それはさっきも聞いたが、どういうことだ?」
「マックス様、私がお友達を増やすのは反対ですか?」
「いや、そうではないけど……」
「マックス様、フィッシャー商会との話し合い、急な訪問への叱責は済んだのでしょう? それなら、私はフィッシャー様をお茶会に誘いたいのですが?」
「…………はぁ。わかった、レナの好きにするといい。フィッシャー嬢、一応もう一度言っておくがアポなしの訪問はもうしないように」
私が折れることはないとわかったマックス様が、反対に折れてくださいました。……ふふ、こういう優しいところもマックス様のかわいいところですね。
改めてマックス様とトーマス様にお礼を申し上げて、私とフィッシャー様は客間へと移動することにしました。
流石に初見の人を私室に通すわけにはまいりませんし、ゲルハルディ家には来客を招くためのお部屋もあるのでそちらを利用させていただく形ですね。
「急に声をかけてしまって申し訳なかったわね。もう一度紹介させて。私はマックス様の婚約者でレナ・フォン・バルディ。……あなたは?」
「わ……わたしはアイリーン・フィッシャーと申します」
うん、まずは自己紹介。小さいころからマックス様の影として、その後も次期領主夫人としての教育を受けていた私は常識がないけれど、自己紹介が大事なのはわかっています。
でも、フィッシャー様……多分、これが通常の対応ではないわよね。
「さっきも言ったけれど、私はあなたとお友達になりたいの」
「どうして、う……わたしと?」
「マックス様を支えたい。そのためにはあなたとお友達になるのが良いと思ったからよ」
「……」
「ふふ、わかるわ。今さっきやり込められた相手のためになるようなことはしたくないって顔ね。でも、あなたにとってもメリットのある話でしょう?」
「うち……いいえ、わたしにとっても?」
「話し方は楽なようにしていいわよ。私は次期領主夫人として話し方を崩すわけにはいかないけどね」
「はぁ~、わかった。……で、ウチにとってのメリットって?」
やっとこっちを見てくれたようね。そうか、フィッシャー様は自分のことをウチって呼ぶのね。
確か、エンケの方にはそういった方言があったはず……フィッシャー様のお母様がそちらの出身なのかしら?
「次期領主夫人に気に入られるのはフィッシャー商会にとって大きなメリットでしょう?」
「……それは確かに。……でも、それはウチにとってのメリットであって、次期伯爵夫人様のメリットにはならないでしょ」
「私のことはレナと呼んで、その代わりあなたのこともアイリーンと呼んでいいかしら?」
「う……わ、わかりました」
「そうね、私の一番はマックス様を支えることだから、アイリーンがマックス様の商売を支えてくれる……それだけで大きなメリットよ」
「……レナ様の考えはわかったわ。でも、次期領主様にそこまでする価値があるの?」
「アイリーン、お話し合いで話題になっていた新商品……ウイスキーボンボンの作り方を発見したのはマックス様よ」
「? ……?? 伯爵家の料理長が作り出したのでは?」
「作ったのは料理長。でも、作り方を指示したのはマックス様よ」
「……はっ!?」
ふふ、アイリーンの顔色が変わったわね。そうよね、私も不思議だけど、マックス様は7歳とは思えないくらいの知識を有しているのよね。
マックス様はいつも誰が思いついても不思議じゃないし運だからと言っていますけど、普通じゃないわよね。
「マックス様は次期領主としても素晴らしいけれど、商人としても騎士としても素晴らしい方よ。……けれど、私では支えきれない。だからアイリーンにも支えてほしいの。商人として」
「……ウチは……すみません。少し考えさせてください」
「そうね、急すぎたものね。でも、お友達になりたいのは本当だから、またお茶会に誘ってもいいかしら?」
「はい」
マックス様を支えるためには私一人では不十分。だけど、一緒に支えてくれる人がいれば大丈夫だと思うの。
アイリーンは私と一緒にマックス様を支えてくれるかしら?
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