気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした

高坂ナツキ

文字の大きさ
76 / 140
幼少期

76 母上からの叱責

しおりを挟む
「マックス、レナと喧嘩でもしましたか?」

 次期領主としての執務中に、執務室へとやってきた母上からいきなり話題を切り出された。
 確かにレナとはフィッシャー嬢の取り扱いに関して、平行線になったが、別に喧嘩をしたというわけではない。
 普通に会話もするし、イチャイチャもしているし、これまでと変わらない付き合いをしている。
 ま、流石に母親だけあって、母上にはバレているようだが……。

「喧嘩……というわけでもありませんが、少し言い合いを」

「ヨーゼフから少し聞いております。なんでもレナはマックスに第二夫人を娶ってほしいようですね」

 はあ、確かにヨーゼフには愚痴っぽく、ことの顛末を教えたが、普通に母上に報告をしたようだな。
 ま、執事であるヨーゼフはそれも仕事の内だから、責めるのはお門違いだし、別にそれは良いんだけど。

「私はレナと婚姻をしていないのに第二夫人は早いと。レナはどうあってもフィッシャー嬢を第二夫人にしてほしいと」

「確かに、マックスの言う通り正妻と婚姻をしていないのに第二夫人の心配は早いでしょう」

「ですよね!」

 そうなんだよ。いくら貴族とはいっても結婚もしてないのに第二夫人の心配とか早すぎなんだよ。

「ですが! レナの気持ちもわかります」

「は?」

「ゲルハルディ家は伯爵家とはいえ、他領の面倒も見ていて、とても多忙です」

 ま、次期領主である俺は当然として、前伯爵の爺様も駆り出されているくらいだから、暇ってことはないだろう。

「ですが、それは父上と母上が手伝ってくれれば問題はないでしょう?」

 暗に爺様のようにという意味を込める。

「それはそうです。私もクラウスもマックスに伯爵位を譲っても手伝いはするでしょう。……ですが、それで間に合うのは現状維持の場合のみです」

「?」

「はっきり言って、マックスが作ってしまった商品によって、ゲルハルディ家の仕事は増えています」

 ま、陛下や宰相閣下との繋がりは父上譲りだが、それは学院の同級生ってことが関係しているからな。
 本来なら俺には引き継がれず、関係が切れるところだったのをチョコレートボンボンなんかでつないでしまった感はある。
 それに、エルメライヒ公爵家もそうだし、いずれは北東辺境伯……あれ? 繋がりを作りすぎか?

「わかったようですね。貴族として繋がりを作ることは良いことです。ですが、雑務も増えるのは理解できるでしょう?」

「……確かに軽率でした。……ですが、それと第二夫人は別でしょう。協力者を募ればいい話ですし」

「協力者が本当に協力しているかはわからないものでしょう? 協力したくなるように婚姻は必要なことだとは思いませんか?」

「……」

 まあ、それはそうだ。前世でもそうだったが、怖いのはこちらを敵視してくる人間ではなく、笑顔で近づいて、こちらの利益をすべて持って行ってしまう人間だ。
 敵視していれば警戒できるが、一見協力者の振りをしてやってくる人間を完全に警戒することは難しい。

「それに、女性としての視点から言わせてもらえれば、どうせ第二夫人を娶るならこちらが目をかけている者にしてほしいものですよ……下手に他所で発散されると困ったことになりますしね」

「まさか、父上が!?」

「それこそまさかです。クラウスは私にぞっこんですからね」

 ま、そりゃそうだ。父上の頭の中には家族のことと、鍛錬のことしかないからな。
 父上ではなく、母上が俺にこの話を持ってきたのも、父上では男女の機微がわからないからだろう。

「ですよね」

「ぞっこんですが、もしもクラウスが第二夫人を娶ることになれば、その候補は私が見繕います」

「……は~、結局母上はレナの味方ってことですか」

「マックスの味方でもありますよ。本当に嫌ならそれはそれでよいでしょう。……ですが、交流もせずに一方的に切り捨てるのは時期尚早というものでしょう」

「む」

 いやまあ確かに。俺が知っているアイリーン・フィッシャーはあくまでもゲーム内のサブヒロインのアイリーン・フィッシャーであって、フィッシャー嬢ではない。
 フィッシャー嬢と碌に話もせず、相手の気持ちも考えずに一方的に切り捨てるのはおかしいだろう。

「大切なのは相手と向き合うこと。それは領主であっても、貴族であっても、平民であっても変わりません」

「そう……ですね。……確かに、私の態度はいただけないものでしたね」

「わかればよろしい」

 はあ、レナの気持ち、フィッシャー嬢の気持ち……何より、俺自身の気持ちに向き合っていかないといけないな。
 まずは、レナとフィッシャー嬢のお茶会に参加させてもらうところからかな……レナと話し合ってみるか。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】魅了の魔法にかけられて全てを失った俺は、最強の魔法剣士になり時を巻き戻す

金峯蓮華
ファンタジー
戦に負け、国が滅び、俺ひとりだけ生き残った。愛する女を失い、俺は死に場所を求め、傭兵となり各地を漂っていた。そんな時、ある男に声をかけられた。 「よぉ、にいちゃん。お前、魅了魔法がかかってるぜ。それも強烈に強いヤツだ。解いてやろうか?」 魅了魔法? なんだそれは? その男との出会いが俺の人生を変えた。俺は時間をもどし、未来を変える。 R15は死のシーンがあるための保険です。 独自の異世界の物語です。

兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?

志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。 そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄? え、なにをやってんの兄よ!? …‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。 今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。 ※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。

悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!

水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。 ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。 しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。 ★ファンタジー小説大賞エントリー中です。 ※完結しました!

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

悪徳領主の息子に転生しました

アルト
ファンタジー
 悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。  領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。  そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。 「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」  こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。  一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。  これなんて無理ゲー??

処理中です...