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幼少期
89 ヒッペ領の視察
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王都からやってきた視察は1月余りもの間、バルディ領で調査を行っていたが、証言に問題はないということで、王都へと帰って行った。
侵略してきた敵国の首謀者を含めた、責任者もそれに伴い交易国へと運ばれ、敵大型船に関しては両国共同で解体、仕組みの把握に努めることとなった。
この大型船を量産することが出来れば、交易国との交易も楽になるし、交易品も増えるという算段だな。
で、俺たちがいても正直邪魔というか、普段の生活を視察したり、俺のお披露目をする雰囲気ではない。
というか、お披露目は海戦の時の演説で十分だと、アントンを含めバルディ領の人間に言われてしまった。
なんで、バルディ領の視察は早々に終えて、今はヒッペ領へと移動してきたところだ。
ヒッペ領は大麦の栽培が盛んで、ビールとウイスキーの名産地として有名な領だ。
クルトを筆頭に旅についてきた騎士たちは喜んでいるが、俺もレナも当然ながら酒が飲める年齢ではないので、全く楽しめない。
「マックス様には、あまり面白い領ではないでしょうなぁ」
話しかけてきたのは、ヒッペ領の領主、ニルス・フォン・ヒッペ。
農家ばかりのヒッペ領の領主らしく、日に焼けて鍛え上げられた肉体が特徴的だ。
大麦農家が多いヒッペ領だが、野菜や果物も育てている関係上、野盗やモンスターにも狙われがちだから、戦闘能力もそこそこ高い。
「いやいや、ヒッペ男爵。酒以外にも野菜や果物の栽培など、見るところはたくさんあるからな」
「そう言っていただけると助かりますな。……そうそう、つい先日から新しいビールの開発も進めているのですよ」
「ほう、どのような品種を?」
「原材料は今までのものですが、完成直前に果汁を加えるというもので、ビール特有の苦みが軽減し、果物の爽やかさや、甘味が足されるのですよ」
いわゆるフルーツビールってやつか。この世界ではあるのかはわからないが、前世では様々な国で作られていたな。
俺はそこまで好きではなかったが、ビールの苦みが苦手という人でも飲めるようなテイストの物が多かったな。
「ほう……気になるが流石に飲むわけにはいかないな。騎士たちは成人済みの者ばかりなので、試飲してもらうと良い」
「そう言っていただけるとありがたいですな。何しろ、まだまだ試作段階ですので外の人間の意見は貴重なのですよ」
フルーツビールは飲めば、なんとなく製法がわかってしまうだけに完成品が出来上がるまでは外の人間には飲ませたくないってところか。
ゲルハルディ家に仕える騎士なら、ほぼ身内だし、わざわざヒッペ領の反感を買ってまで外に情報を流すことはないから安心なのだろう。
ちなみに、俺たちの住むヴァイセンベルク王国では平民は15歳で成人、貴族は18歳で成人とみなされ、飲酒は15歳から可能となっている。
とはいえ、15歳からの飲酒は慣れるためという側面が強いため、18歳になるまでは大酒を飲むのは外聞が悪いとも言われている。
ま、クルトを含め今回連れてきている騎士は18歳以上なので、ビールの試飲程度で酔いつぶれるようなことはないがな。
「マックス様、マックス様。試飲をするなら、つまみもあるとなお良いと思いませんか?」
クルトが期待した目でこちらに語り掛けてくるが、それはなんだい? 俺につまみを作れってか?
「はぁ……まあ、これもヒッペ領への貢献か。……そうだな、ヒッペ男爵。クリームチーズとクラッカー、あとはドライフルーツなんかはあるか?」
「ございますよ。……他に何か必要なものはありますか?」
「ああ、あとは今朝も頂いたトマトも用意してもらおうかな」
クルトたちは、クリームチーズ? ドライフルーツ? などと困惑しているが、普通のビールと違い、フルーツビールは甘めのつまみのほうが合う。
前世ではトマトや果物などの甘めのつまみや、マリネやサラダなんかが人気だったから、こちらでも似たようなものを作ろう。
トマトはカプレーゼ風にスライスしたものにクリームチーズを合わせて、オリーブオイルとレモン汁で作ったドレッシングをかける。
ヒッペ領にあるドライフルーツはレーズンみたいだから、こっちはクリームチーズに練りこんでクラッカーに塗っておく。
本当は鶏肉を甘めに煮つけたり、焼いたりしても合うんだが、流石に自分が飲まない上に試飲程度でそこまでする気にはならん。
「クリームチーズ? 合うんですか?」
「ドライフルーツって、ワインのつまみじゃないんですか?」
「ええい、とにかく飲んでみろ! 爽やかで甘いって話だし、つまみも甘いほうが合うだろ? 何事も挑戦だ!」
「マックス様、自分が飲まないからってやけになっていませんか?」
「さ、レナ。俺たちは紅茶と一緒に食べようか」
「はい、マックス様」
ブーブー言っていた騎士たちではあったが、実際に飲んでみると甘いビールに甘いつまみの組み合わせが気に入ったのか、早くも完成品の予約を入れている者もいた。
「いやー、マックス様のおかげで新しいビールも売れ行きがよさそうですなぁ」
「気が早いって。……ま、でも王妃殿下は苦いお酒は苦手と聞いたし、完成したら陛下に差し入れるのも良いかもな」
「お、王族にですかっ!?」
「なんだかんだ言っても、権力者に気に入ってもらうのが売れる近道だしなぁ」
ウイスキーボンボンにしたって、陛下と宰相が気に入ったからこそ貴族からの問い合わせが殺到したんだしな。
「マックス様! ヨアヒム様から伝令が届いております!」
「? 爺様から?」
なんだ? ゲルハルディ家にはどこにいるかの連絡は密にしているから、ヒッペ領に滞在しているのは知っているだろうが、爺様からの伝令とは穏やかじゃないな。
父上や母上ならわかるんだが……なんか嫌な予感がするな。
侵略してきた敵国の首謀者を含めた、責任者もそれに伴い交易国へと運ばれ、敵大型船に関しては両国共同で解体、仕組みの把握に努めることとなった。
この大型船を量産することが出来れば、交易国との交易も楽になるし、交易品も増えるという算段だな。
で、俺たちがいても正直邪魔というか、普段の生活を視察したり、俺のお披露目をする雰囲気ではない。
というか、お披露目は海戦の時の演説で十分だと、アントンを含めバルディ領の人間に言われてしまった。
なんで、バルディ領の視察は早々に終えて、今はヒッペ領へと移動してきたところだ。
ヒッペ領は大麦の栽培が盛んで、ビールとウイスキーの名産地として有名な領だ。
クルトを筆頭に旅についてきた騎士たちは喜んでいるが、俺もレナも当然ながら酒が飲める年齢ではないので、全く楽しめない。
「マックス様には、あまり面白い領ではないでしょうなぁ」
話しかけてきたのは、ヒッペ領の領主、ニルス・フォン・ヒッペ。
農家ばかりのヒッペ領の領主らしく、日に焼けて鍛え上げられた肉体が特徴的だ。
大麦農家が多いヒッペ領だが、野菜や果物も育てている関係上、野盗やモンスターにも狙われがちだから、戦闘能力もそこそこ高い。
「いやいや、ヒッペ男爵。酒以外にも野菜や果物の栽培など、見るところはたくさんあるからな」
「そう言っていただけると助かりますな。……そうそう、つい先日から新しいビールの開発も進めているのですよ」
「ほう、どのような品種を?」
「原材料は今までのものですが、完成直前に果汁を加えるというもので、ビール特有の苦みが軽減し、果物の爽やかさや、甘味が足されるのですよ」
いわゆるフルーツビールってやつか。この世界ではあるのかはわからないが、前世では様々な国で作られていたな。
俺はそこまで好きではなかったが、ビールの苦みが苦手という人でも飲めるようなテイストの物が多かったな。
「ほう……気になるが流石に飲むわけにはいかないな。騎士たちは成人済みの者ばかりなので、試飲してもらうと良い」
「そう言っていただけるとありがたいですな。何しろ、まだまだ試作段階ですので外の人間の意見は貴重なのですよ」
フルーツビールは飲めば、なんとなく製法がわかってしまうだけに完成品が出来上がるまでは外の人間には飲ませたくないってところか。
ゲルハルディ家に仕える騎士なら、ほぼ身内だし、わざわざヒッペ領の反感を買ってまで外に情報を流すことはないから安心なのだろう。
ちなみに、俺たちの住むヴァイセンベルク王国では平民は15歳で成人、貴族は18歳で成人とみなされ、飲酒は15歳から可能となっている。
とはいえ、15歳からの飲酒は慣れるためという側面が強いため、18歳になるまでは大酒を飲むのは外聞が悪いとも言われている。
ま、クルトを含め今回連れてきている騎士は18歳以上なので、ビールの試飲程度で酔いつぶれるようなことはないがな。
「マックス様、マックス様。試飲をするなら、つまみもあるとなお良いと思いませんか?」
クルトが期待した目でこちらに語り掛けてくるが、それはなんだい? 俺につまみを作れってか?
「はぁ……まあ、これもヒッペ領への貢献か。……そうだな、ヒッペ男爵。クリームチーズとクラッカー、あとはドライフルーツなんかはあるか?」
「ございますよ。……他に何か必要なものはありますか?」
「ああ、あとは今朝も頂いたトマトも用意してもらおうかな」
クルトたちは、クリームチーズ? ドライフルーツ? などと困惑しているが、普通のビールと違い、フルーツビールは甘めのつまみのほうが合う。
前世ではトマトや果物などの甘めのつまみや、マリネやサラダなんかが人気だったから、こちらでも似たようなものを作ろう。
トマトはカプレーゼ風にスライスしたものにクリームチーズを合わせて、オリーブオイルとレモン汁で作ったドレッシングをかける。
ヒッペ領にあるドライフルーツはレーズンみたいだから、こっちはクリームチーズに練りこんでクラッカーに塗っておく。
本当は鶏肉を甘めに煮つけたり、焼いたりしても合うんだが、流石に自分が飲まない上に試飲程度でそこまでする気にはならん。
「クリームチーズ? 合うんですか?」
「ドライフルーツって、ワインのつまみじゃないんですか?」
「ええい、とにかく飲んでみろ! 爽やかで甘いって話だし、つまみも甘いほうが合うだろ? 何事も挑戦だ!」
「マックス様、自分が飲まないからってやけになっていませんか?」
「さ、レナ。俺たちは紅茶と一緒に食べようか」
「はい、マックス様」
ブーブー言っていた騎士たちではあったが、実際に飲んでみると甘いビールに甘いつまみの組み合わせが気に入ったのか、早くも完成品の予約を入れている者もいた。
「いやー、マックス様のおかげで新しいビールも売れ行きがよさそうですなぁ」
「気が早いって。……ま、でも王妃殿下は苦いお酒は苦手と聞いたし、完成したら陛下に差し入れるのも良いかもな」
「お、王族にですかっ!?」
「なんだかんだ言っても、権力者に気に入ってもらうのが売れる近道だしなぁ」
ウイスキーボンボンにしたって、陛下と宰相が気に入ったからこそ貴族からの問い合わせが殺到したんだしな。
「マックス様! ヨアヒム様から伝令が届いております!」
「? 爺様から?」
なんだ? ゲルハルディ家にはどこにいるかの連絡は密にしているから、ヒッペ領に滞在しているのは知っているだろうが、爺様からの伝令とは穏やかじゃないな。
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