気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした

高坂ナツキ

文字の大きさ
94 / 140
幼少期

94 交渉の感想

しおりを挟む
 ソウタが提供してくれた食料の試食は上々で、爺様やレナの反応を見る限りは主食にとってかわることはないが栽培を行うのには問題ないという結論になった。
 というか、醤油や味噌の原料が米だと話したらユリア叔母さんが是非とも栽培して、ゲルハルディ領内で醤油や味噌を作り出すべきと主張しだしたからな。

 ソウタの話では米がとれなくなったのは近年で、醤油や味噌は発酵期間が必要だから備蓄は結構あるそうだ。
 ま、米もないのに醤油や味噌ばかりあっても使い道があんまりないしな。
 そんなわけで、次に来るときには醬油や味噌を多めに積んで、更には醤油や味噌の職人も連れてきてくれるらしい。
 それまでに通訳というか、ジャンバリ語を話せる人間を増やしておかないとな。

 ついでにソウタには次に来るときはここ、メーリング領ではなくバルディ領に寄港するようにもお願いした。
 メーリング領は交易も可能だが盛んではないし、何より敵対貴族の領地だからな。

「マックス様、特使殿が居たので言いませんでしたが、交易に積極的でしたね」

「ふむ、それはワシも思ったの。人助けは大切じゃが、少しこちらが不利になるような交渉じゃったのではないか?」

 レナと爺様が忠告してくるが、確かにこちらが損をするような交渉だった。
 米や醤油、味噌以外にも布や小物なんかも販売してもらったが、その値段以上の食料や酒を引き渡しているからな。

「布や小物はこの国では見られない技法を使っていますし、調味料に関してもこの国では見ないものなので適正かと」

「じゃが、見ないということは必要ないということでもないかの?」

「確かにそうとも言えますね。ですが、多様性があれば何かあった時の備えにはなるかと。……なにより、王都への土産に持ってこいなので」

「む、確かにそれは言えるの」

「土産……ですか?」

「ああ、辺境伯になるのかどうかはわからないが、先の戦の件で王都に呼ばれるのは確実だろ? その時に土産があるのとないのとじゃ王都貴族の態度が変わりそうだしな」

「うむ。王都にいる奴らは賄賂とまではいわんが、そういった贈り物にはうるさいからの」

「国王陛下や宰相閣下はそうでもないですが、やはり贈り物をした方が喜ばれるでしょう」

「そうさのう。陛下や閣下がというよりも、今回の交易品じゃと奥方が喜びそうじゃがの」

 まあ、そういう心配りは大事ということで、今回の交易も完全に無駄というわけでもない。

「そうねえ。布に関しては光沢が抑えられているわりに触り心地が良いし、ドレスに使っても良いかもしれないわね」

「あと、醤油や味噌に関してはこっちの食生活にも合いそうだしね」

「そう? パンにはどちらも塩気が強そうだけど」

「パンにはね。でも、ユリア姉さんも聞いていたと思うけど、ソウタ殿は小麦粉は麺に使うと言っていただろ? それなら、醤油や味噌は麺に合うんじゃないかな?」

「……試してみる価値はあるわね」

「ま、その辺はゲルハルディ領に帰ってから料理長と試作してみるよ。……次にゴールディ国が交易にやってくるまでは試作分くらいしかないし」

「それを食べて、これからの交易をどうするか判断しろってことね?」

「そういうこと。流行らなさそうなら、交易は布メインか金や鉄なんかの鉱石に切り替えるべきだしね」

 前世の知識がある俺としては、麺類に醤油や味噌は合うと知っているが、ヴァイセンベルク王国の人間は麺と言えばパスタだから合うかどうか疑問なんだろう。
 まあ、あとは個人的に餃子が食べたい。酢コショウなんかでも食べられるが、醤油とラー油を使って思う存分かぶりつきたいのだ。

「勝算あってのこと、ということじゃな」

「ええ、うまくいけばゲルハルディ領の特産がまた増えるでしょう」

「ウイスキーボンボンなどとは違い、他領に受け入れられるかどうかはわからんがの」

「ではなくても、領民の食事のバリエーションが増えるのは良いでしょう」

「うむ」

 まあ、そんな感じで爺様もレナもユリア叔母さんも納得してくれた。
 あとは、試験栽培をしているカレンベルク領と交渉をして、米用の畑を用意してもらわないとな。
 前世では水田での栽培がメインだったが、水田なんて説明しても理解不能だし、そもそも試験栽培の米のためだけに水をひいてくるのなんて無理だろうな。

 なんで、畑で作られる陸稲の作り方でいってみよう。
 確か陸稲はもち米メインだったはずだけど、うるち米でも育てられるだろう。
 ま、この辺も試験の繰り返しで最適な環境を探ることから始めないといけないんだろうな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】魅了の魔法にかけられて全てを失った俺は、最強の魔法剣士になり時を巻き戻す

金峯蓮華
ファンタジー
戦に負け、国が滅び、俺ひとりだけ生き残った。愛する女を失い、俺は死に場所を求め、傭兵となり各地を漂っていた。そんな時、ある男に声をかけられた。 「よぉ、にいちゃん。お前、魅了魔法がかかってるぜ。それも強烈に強いヤツだ。解いてやろうか?」 魅了魔法? なんだそれは? その男との出会いが俺の人生を変えた。俺は時間をもどし、未来を変える。 R15は死のシーンがあるための保険です。 独自の異世界の物語です。

兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?

志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。 そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄? え、なにをやってんの兄よ!? …‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。 今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。 ※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。

悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!

水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。 ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。 しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。 ★ファンタジー小説大賞エントリー中です。 ※完結しました!

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

悪徳領主の息子に転生しました

アルト
ファンタジー
 悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。  領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。  そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。 「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」  こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。  一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。  これなんて無理ゲー??

処理中です...