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閑話
116 滞在中のマティアス殿下
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「あ~、やっぱり辺境は王都と違って自由で良いな~」
「マティアス殿下……王都の貴族が聞いたら怒り出しますよ」
「怒る奴は何言っても怒るって。それに知ってるか? 王都にある商品の半分以上は辺境由来の物なんだぞ? 辺境からそっぽを向かれたら困るのは王都だってのに、あいつらなんであんな偉そうなんだ?」
「気持ちはわかりますが、王都はヴァイセンベルク王国の中心地ですからね。王宮の仕事をやってくれている貴族にはある程度の敬意は感じていますよ」
王都から出たことがないマティアス殿下は初めて見る辺境に感動しているようだが、辺境にだっていやなところやダメなところはたくさんある。
そもそも辺境伯を含め、辺境の人間はヴァイセンベルク王国全体ではなく自領の利益を優先している。
もちろん税などで王国全体に還元もされるが、自領の利益にならないのに王国全体のことを考えて動く貴族は皆無だ。
そういう意味では王都の貴族が辺境の人間を蔑むのもわかる……要するに自分たちのことばかり考えて、王国全体のことは考えていないように見えるわけだからな。
ま、王都の貴族の中にも私腹を肥やすことしか考えていないような奴もいれば、職務に忠実でまじめな奴もいるし、ひとくくりに王都貴族っていうのもどうかと思うがな。
「ところで、マックスは夫人以外にもいい人がいると聞いたが……」
「誰が話したんですか……。まあ、いますよ」
本当に誰が話したんだ。……まあ十中八九、母上だろうが、多分アイリーンがマティアス殿下にちょっかいかけられないようにけん制したんだろうな。
「ん? 私は夫人から聞いたよ」
「母上のことですよね?」
「いや、君の夫人だよ。レナ嬢……だっけ?」
「ん!?」
「それも、2人もいるそうじゃないか。お爺様の時代には珍しくなかったらしいけど、父上が母上一筋だから今じゃ珍しいんだよね」
「ちょ、ちょっと待ってください。レナから聞いたのですか?」
「そうだよ。フィッシャー商会の令嬢とメーリング領の嫡子を紹介されたよ。マックスの第二、第三夫人だから気を付けてください、とね」
「はぁっ~~~!?」
ちょっと待て……いや、レナの懸念点は分かるよ。万が一にもアイリーン嬢に手を出されないように立ち回ったんだろうけど……メーリング領の嫡子??
バル嬢のことだよな? 確かにメーリング領の将来のことを考えれば領主一族をゲルハルディ家が庇護していると対外的に示すのは有効だ。
だが、そもそも俺とバル嬢の間にそういう感情はないし……少なくとも俺はない……本人からも周りからもそういった相談はされてない。
「いや~、私も早くいい人を見つけないといけないんだけどな~。……そういえば、マックスには妹が2人いるんだよね?」
「妹は王家に嫁には出しませんよ」
「いやいや、そこをなんとか。辺境との繋がりも大事だろう?」
「辺境伯は国王派筆頭で、これ以上の繋がりは必要ないでしょう。繋がりを作るのなら、王家派に引き込まれそうな王都貴族の侯爵家にしてください」
「王都貴族はギラギラしてて苦手なんだよぉ。上昇志向が強いっていうかさ、こっちを虎視眈々と狙ってきてるわけよ」
「そのくらいの方が王家には似合っていますよ。下手にのほほんとしている人間が王妃になったら、国が立ちゆきませんよ」
国内のことだけを考えるのなら、のほほんとしていても良いんだが、王妃ともなれば友好国へ外交に赴くこともあるからな。
そういう場では国内の利益を真っ先に考えて、強気に交渉できないとヴァイセンベルク王国全体が困ってしまうからな。
まあ一番は可愛い妹を魑魅魍魎の住まう王宮にやらせたくないという、兄心であることも否定はしないが。
「本人が望んでもダメかい?」
「望むことはないでしょうが、ダメです。……ま、辺境伯全員が許可を出したなら考えますよ」
「不可能じゃないか~」
俺の考えは国王派としてはまっとうなものなので、他の辺境伯が賛成することはない。
辺境伯会議でも次期国王筆頭のマティアス殿下には、国王派、あるいは王家派の侯爵家から王妃を迎えてもらって、派閥を安定させるか拡大してもらうと結論付けてある。
そもそも、他の辺境伯にとってもウチの妹たちは王家にとられるくらいなら、自分たちの陣営に欲しい人材だしな。
とにもかくにも、辺境伯家は婚姻できる家が少なすぎる……上は王家と王家派の侯爵家だから、同格の侯爵家か、傘下の伯爵家・子爵家くらいしか選択肢がないんだ。
「ではマティアス殿下、くれぐれもウチの妹たちにちょっかいは出さないように」
「りょうか~い。マックスは今日はどうするんだい?」
「私はレナと話し合うことができたので、今日は夫婦でお話し合いです」
「う、うん。まあ、あまり責めないようにな」
マティアス殿下には釘を刺しておいたし、レナと話し合わないとな。
アイリーンのことはともかく、バル嬢を巻き込んだことに関してはきちんと聞いておかないとな。
「マティアス殿下……王都の貴族が聞いたら怒り出しますよ」
「怒る奴は何言っても怒るって。それに知ってるか? 王都にある商品の半分以上は辺境由来の物なんだぞ? 辺境からそっぽを向かれたら困るのは王都だってのに、あいつらなんであんな偉そうなんだ?」
「気持ちはわかりますが、王都はヴァイセンベルク王国の中心地ですからね。王宮の仕事をやってくれている貴族にはある程度の敬意は感じていますよ」
王都から出たことがないマティアス殿下は初めて見る辺境に感動しているようだが、辺境にだっていやなところやダメなところはたくさんある。
そもそも辺境伯を含め、辺境の人間はヴァイセンベルク王国全体ではなく自領の利益を優先している。
もちろん税などで王国全体に還元もされるが、自領の利益にならないのに王国全体のことを考えて動く貴族は皆無だ。
そういう意味では王都の貴族が辺境の人間を蔑むのもわかる……要するに自分たちのことばかり考えて、王国全体のことは考えていないように見えるわけだからな。
ま、王都の貴族の中にも私腹を肥やすことしか考えていないような奴もいれば、職務に忠実でまじめな奴もいるし、ひとくくりに王都貴族っていうのもどうかと思うがな。
「ところで、マックスは夫人以外にもいい人がいると聞いたが……」
「誰が話したんですか……。まあ、いますよ」
本当に誰が話したんだ。……まあ十中八九、母上だろうが、多分アイリーンがマティアス殿下にちょっかいかけられないようにけん制したんだろうな。
「ん? 私は夫人から聞いたよ」
「母上のことですよね?」
「いや、君の夫人だよ。レナ嬢……だっけ?」
「ん!?」
「それも、2人もいるそうじゃないか。お爺様の時代には珍しくなかったらしいけど、父上が母上一筋だから今じゃ珍しいんだよね」
「ちょ、ちょっと待ってください。レナから聞いたのですか?」
「そうだよ。フィッシャー商会の令嬢とメーリング領の嫡子を紹介されたよ。マックスの第二、第三夫人だから気を付けてください、とね」
「はぁっ~~~!?」
ちょっと待て……いや、レナの懸念点は分かるよ。万が一にもアイリーン嬢に手を出されないように立ち回ったんだろうけど……メーリング領の嫡子??
バル嬢のことだよな? 確かにメーリング領の将来のことを考えれば領主一族をゲルハルディ家が庇護していると対外的に示すのは有効だ。
だが、そもそも俺とバル嬢の間にそういう感情はないし……少なくとも俺はない……本人からも周りからもそういった相談はされてない。
「いや~、私も早くいい人を見つけないといけないんだけどな~。……そういえば、マックスには妹が2人いるんだよね?」
「妹は王家に嫁には出しませんよ」
「いやいや、そこをなんとか。辺境との繋がりも大事だろう?」
「辺境伯は国王派筆頭で、これ以上の繋がりは必要ないでしょう。繋がりを作るのなら、王家派に引き込まれそうな王都貴族の侯爵家にしてください」
「王都貴族はギラギラしてて苦手なんだよぉ。上昇志向が強いっていうかさ、こっちを虎視眈々と狙ってきてるわけよ」
「そのくらいの方が王家には似合っていますよ。下手にのほほんとしている人間が王妃になったら、国が立ちゆきませんよ」
国内のことだけを考えるのなら、のほほんとしていても良いんだが、王妃ともなれば友好国へ外交に赴くこともあるからな。
そういう場では国内の利益を真っ先に考えて、強気に交渉できないとヴァイセンベルク王国全体が困ってしまうからな。
まあ一番は可愛い妹を魑魅魍魎の住まう王宮にやらせたくないという、兄心であることも否定はしないが。
「本人が望んでもダメかい?」
「望むことはないでしょうが、ダメです。……ま、辺境伯全員が許可を出したなら考えますよ」
「不可能じゃないか~」
俺の考えは国王派としてはまっとうなものなので、他の辺境伯が賛成することはない。
辺境伯会議でも次期国王筆頭のマティアス殿下には、国王派、あるいは王家派の侯爵家から王妃を迎えてもらって、派閥を安定させるか拡大してもらうと結論付けてある。
そもそも、他の辺境伯にとってもウチの妹たちは王家にとられるくらいなら、自分たちの陣営に欲しい人材だしな。
とにもかくにも、辺境伯家は婚姻できる家が少なすぎる……上は王家と王家派の侯爵家だから、同格の侯爵家か、傘下の伯爵家・子爵家くらいしか選択肢がないんだ。
「ではマティアス殿下、くれぐれもウチの妹たちにちょっかいは出さないように」
「りょうか~い。マックスは今日はどうするんだい?」
「私はレナと話し合うことができたので、今日は夫婦でお話し合いです」
「う、うん。まあ、あまり責めないようにな」
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アイリーンのことはともかく、バル嬢を巻き込んだことに関してはきちんと聞いておかないとな。
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