気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした

高坂ナツキ

文字の大きさ
117 / 140
閑話

117 第三夫人に?

しおりを挟む
「レナ、何か話し合うことがあるよね?」

「マックス様? マティアス殿下はよろしいのですか?」

「ああ、マティアス殿下は騎士団で訓練をした後に、町に出るらしいから騎士たちに任せてあるよ」

 レナに会ってみたが、レナは悪いことをしている自覚はないようだ。
 うーん、レナにとってはマティアス殿下に伝えたことは必要なことで、なんら悪いことではないということかな。

「とにかく、レナ。アイリーンも含めて話し合いをしたいんだが、良いか?」

「はい。では、アイリーンはこちらで呼びますので、マックス様は私室でお待ちください」

 少しは渋るかと思ったが、レナの方から率先してアイリーンを呼びに行ってくれるとは。
 巻き込まれたであろうバル嬢はともかく、アイリーンにも事情を聞いておかないとな。
 もしかしたら、アイリーンは何も知らない可能性もあるし。

「お待たせしました」

「お待たせ」

「お久しぶりです、辺境伯様」

 私室でレナとアイリーンを待っていたが、バル嬢も一緒にやってきた。
 どういうことだ?

「レナ、アイリーン、呼び出して悪かったな。バル嬢も久しぶり」

「マックス様、呼んだのは私とアイリーンだけでしたが、おそらくマックス様がお聞きになりたいことはクリスタも関係するので同席させてよろしいですか?」

「まあ、バル嬢にも関係する話だとはおもうが。バル嬢には2人に事情を聞いてからゆっくり話そうと思ってたんだが」

「では、クリスタも同席させますね」

 レナと一緒に入ってきたメイドはテーブルに4人分のお茶をセッティングしてから、退出していった。
 本来は貴族同士の話し合いにはメイドや侍従のような側仕えがつくものだが、今回は夫婦同士の話し合いなので当事者以外は部屋から退出させている。

「で、レナ。どうしてマティアス殿下にアイリーンのことを伝えた? それにバル嬢のことも夫人だと伝えたとか?」

「必要なことだからです」

 漫画だったら「キリッ」という文字が出そうなほど、凛とした姿勢でレナが答える。
 やっぱりレナはうっかりでも、何となくでもなく、自分の意志でバル嬢を俺の側室と紹介したのだろう。

「アイリーンは婚姻式を上げていないとはいえ、正式に第二夫人とすると書面を交わしている。だから、それはいい。だが、バル嬢を巻き込んだのはレナらしくないな」

「それは、ウチから説明するわ」

 思わず低い声になってしまった俺に対して、アイリーンが助け舟を出してきた。

「アイリーン?」

「クリスタの故郷のメーリング領はゲルハルディ家にとって新参。せやから、ウチとレナの2人でマックスの第三夫人になることを提案したんよ」

「理屈は分かる。だが、俺は身内にならなくてもメーリング領を蔑ろにするつもりはないぞ?」

「それはそうかもな。でも、それがわかるんはマックスのことを知ってるからやろ? 何もわからん外部の人間に示すために必要っちゅう話よ」

 アイリーンにはユリア叔母さんがいるアンドレ商会を贔屓にしすぎた時にも同じようなことを言われたが、本当に外部からの見え方に敏感だな。

「ふむ、それはわかった。だけど、バル嬢の意思を無視して進めるものじゃないだろ?」

「もちろんクリスタには了解とっとるよ?」

「バル嬢、そうなのか?」

「はい。お二人の話を聞いて私がそうした方が良いと判断しましたので」

「それに、マックス様には必要なことです。私は辺境伯夫人として貴族の相手を、アイリーンは商人として商売を担当します」

 レナがまとめてきたが、確かにそういう話だった。
 別に俺は商品を大量に作るつもりもないのだが、周りからすると既に唐辛子やらフランスパンを作り出して、ゴールディ国との交易もまとめているからそうは見えないらしい。

「ですが、騎士として領地を守る際にマックス様を支えることができる人材がいないのです」

「別にそれはクルトでいいだろ? 最近は幹部試験のために傍を離れることが多いが、アレはアレで有能だぞ?」

「領地にいるときはそれでいいでしょう。ですが、貴族学園に通っているときは?」

 一理ある……貴族学園入学時にはお付きとして側仕えを連れていくことが出来るが、騎士は帯同できない。
 だからこそ、辺境伯となった今でも訓練を欠かしていないのだが、辺境伯という地位についているだけあって守り手は多い方が良いのは確かだ。

「確かに貴族学園に通っているときは頼りになるが……」

「クリスタは私やマックス様と同じ時期に貴族学園に入学し、マックス様と同じ領主・騎士科に通います」

「騎士として側にいるのに不都合はないと言いたいのか?」

「もちろん、マックス様がクリスタを第三夫人に据えるのが前提の話です。流石に身内でもないのに護衛につけなどとお願いできませんからね」

 話し合いが平穏無事に終わったとは口が裂けても言えないが、レナはレナなりの考えで行動しているのだというのが分かった。
 だから俺も俺なりにきちんと考えて行動しないとな。
 レナのこと、アイリーンのこと、バル嬢のこと、ゲルハルディ領のこと……考えることがいっぱいだな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】魅了の魔法にかけられて全てを失った俺は、最強の魔法剣士になり時を巻き戻す

金峯蓮華
ファンタジー
戦に負け、国が滅び、俺ひとりだけ生き残った。愛する女を失い、俺は死に場所を求め、傭兵となり各地を漂っていた。そんな時、ある男に声をかけられた。 「よぉ、にいちゃん。お前、魅了魔法がかかってるぜ。それも強烈に強いヤツだ。解いてやろうか?」 魅了魔法? なんだそれは? その男との出会いが俺の人生を変えた。俺は時間をもどし、未来を変える。 R15は死のシーンがあるための保険です。 独自の異世界の物語です。

兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?

志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。 そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄? え、なにをやってんの兄よ!? …‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。 今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。 ※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。

悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!

水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。 ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。 しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。 ★ファンタジー小説大賞エントリー中です。 ※完結しました!

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

悪徳領主の息子に転生しました

アルト
ファンタジー
 悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。  領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。  そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。 「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」  こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。  一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。  これなんて無理ゲー??

処理中です...