8 / 8
エピローグ
しおりを挟む
王太子殿下の掛け声で、第二王子とマリア様が騎士様に連れて行かれます。それを見送った後に王太子殿下とアイジス帝国第三王子殿下がこちらに歩いてきます。
「フィーア・ローズ伯爵令嬢とオスカー・ミリスティア公爵子息だな。王族が迷惑をかけた。代わりに私が謝罪させてもらう。すまなかった」
「お顔をおあげください、殿下。被害はあまりなかったので、気にしなくて大丈夫です」
「はい。私も彼女と同じで、あまり気にしておりません。ですが、噂は王家の方で撤回していただければと思います」
「ああ、約束しよう。あのバカが広めたバカらしい噂は私が撤回する。そうしないと、今以上に大変なことになるからな」
「ねえ、君たち二人、この国はもう住みにくいんじゃないかな?僕の国においでよ」
「おい!ラッド!」
「別に良いじゃないか。君の家の問題だろ?それで、どうだい?」
確かに、この国では王族が言っていたということで、髪色に関しての偏見は強くなってしまっています。けれども私はこの国を出ようとは思っていません。ふと視線を感じ、横を見るとオスカー様もこちらを見ています。私は笑顔で頷き、アイジス帝国第三王子殿下に向き合います。
「申し訳ありませんが、私はこの国にいたいと思います。この国には私を愛してくれる人がいますから」
「…そうか、それは残念だ。…君は?」
「申し出はとても嬉しいです。たぶん、彼女とあっていなかったら、行かせていただいていたと思います。けれど、彼女のおかげで、私を愛してくれる人がいることを知りました。だから、私も彼女と一緒にこの国にいたいと思います」
「そうか、フラれてしまったな。まあいい、お前たちは愛されているのだな?」
「「はい。私たちは愛されています」」
今なら笑顔でそういうことができる。家に帰ったらみんなに何を言おうか。「ごめんなさい」?「声が戻りました」?
やっぱり最初は「ありがとう」かな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「また見ているのか。白」
「ええ、だって私が送った人ですから」
「声は、返したのか?」
「もちろん!私はあの子の味方であって、敵ではないもの」
「…なら、どうして声を?そこまでする必要はあったのか?」
「…あの子はね、ずっと病気で自分が何か言ってはいけないと思っている。だから、自分の意見を出さずに溜め込んでいた。溜め込みすぎていると私は思うの。だから、あの子が心の底から思ったことが言えるように、言いたいと思った時に話せるようにしたの」
「そうか」
何もない空間に人影が二つ、白と呼ばれた白髪白目で髪が長く、少女にも見えるような容姿をしている女性ともう一人、黒髪黒目の髪が短く、長身の男性がいた。二人は、目の前の歪んだ空間から見える、フィーア・ローズとオスカー・ミリスティアを見ていた。
「白は全ての起源の色であり、黒は全ての終焉を表す色だ。どちらか一方がある限り、もう一方も必ず存在する。それは引き離せるものではない」
「もう、またそれ言ってる。もう聞き飽きたよ、黒」
「お前は適当すぎるのだ。だが、人間は悪魔だの、呪いだの、好きものだな。自分と異なるものには畏怖を抱き、排除しようとする」
「…これだけ平和な世界でもそれは変わらない。あの子たちには悲しい思いはさせたくなかったんだけどな…」
「ああ、だけど、彼らは自分から掴み取った。自分の居場所を」
「ええ、だからこれからも見守ってあげましょ。私たちが連れてきたあの子たちを」
二人は話し終わった後、何も言わずに姿を消す。そこにはもう何もないが、「にゃーん」と、猫の鳴き声が聞こえた。
「フィーア・ローズ伯爵令嬢とオスカー・ミリスティア公爵子息だな。王族が迷惑をかけた。代わりに私が謝罪させてもらう。すまなかった」
「お顔をおあげください、殿下。被害はあまりなかったので、気にしなくて大丈夫です」
「はい。私も彼女と同じで、あまり気にしておりません。ですが、噂は王家の方で撤回していただければと思います」
「ああ、約束しよう。あのバカが広めたバカらしい噂は私が撤回する。そうしないと、今以上に大変なことになるからな」
「ねえ、君たち二人、この国はもう住みにくいんじゃないかな?僕の国においでよ」
「おい!ラッド!」
「別に良いじゃないか。君の家の問題だろ?それで、どうだい?」
確かに、この国では王族が言っていたということで、髪色に関しての偏見は強くなってしまっています。けれども私はこの国を出ようとは思っていません。ふと視線を感じ、横を見るとオスカー様もこちらを見ています。私は笑顔で頷き、アイジス帝国第三王子殿下に向き合います。
「申し訳ありませんが、私はこの国にいたいと思います。この国には私を愛してくれる人がいますから」
「…そうか、それは残念だ。…君は?」
「申し出はとても嬉しいです。たぶん、彼女とあっていなかったら、行かせていただいていたと思います。けれど、彼女のおかげで、私を愛してくれる人がいることを知りました。だから、私も彼女と一緒にこの国にいたいと思います」
「そうか、フラれてしまったな。まあいい、お前たちは愛されているのだな?」
「「はい。私たちは愛されています」」
今なら笑顔でそういうことができる。家に帰ったらみんなに何を言おうか。「ごめんなさい」?「声が戻りました」?
やっぱり最初は「ありがとう」かな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「また見ているのか。白」
「ええ、だって私が送った人ですから」
「声は、返したのか?」
「もちろん!私はあの子の味方であって、敵ではないもの」
「…なら、どうして声を?そこまでする必要はあったのか?」
「…あの子はね、ずっと病気で自分が何か言ってはいけないと思っている。だから、自分の意見を出さずに溜め込んでいた。溜め込みすぎていると私は思うの。だから、あの子が心の底から思ったことが言えるように、言いたいと思った時に話せるようにしたの」
「そうか」
何もない空間に人影が二つ、白と呼ばれた白髪白目で髪が長く、少女にも見えるような容姿をしている女性ともう一人、黒髪黒目の髪が短く、長身の男性がいた。二人は、目の前の歪んだ空間から見える、フィーア・ローズとオスカー・ミリスティアを見ていた。
「白は全ての起源の色であり、黒は全ての終焉を表す色だ。どちらか一方がある限り、もう一方も必ず存在する。それは引き離せるものではない」
「もう、またそれ言ってる。もう聞き飽きたよ、黒」
「お前は適当すぎるのだ。だが、人間は悪魔だの、呪いだの、好きものだな。自分と異なるものには畏怖を抱き、排除しようとする」
「…これだけ平和な世界でもそれは変わらない。あの子たちには悲しい思いはさせたくなかったんだけどな…」
「ああ、だけど、彼らは自分から掴み取った。自分の居場所を」
「ええ、だからこれからも見守ってあげましょ。私たちが連れてきたあの子たちを」
二人は話し終わった後、何も言わずに姿を消す。そこにはもう何もないが、「にゃーん」と、猫の鳴き声が聞こえた。
20
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜
日々埋没。
ファンタジー
「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」
かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。
その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。
レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。
地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。
「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」
新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。
一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。
やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。
レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
小さな親切、大きな恩返し
よもぎ
恋愛
ある学園の交流サロン、その一室には高位貴族の令嬢数人と、低位貴族の令嬢が一人。呼び出された一人は呼び出された理由をとんと思いつかず縮こまっていた。慎ましやかに、静かに過ごしていたはずなのに、どこで不興を買ったのか――内心で頭を抱える彼女に、令嬢たちは優しく話しかけるのだった。
身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)
柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!)
辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。
結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。
正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。
さくっと読んでいただけるかと思います。
悪意には悪意で
12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。
私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。
ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。
9時から5時まで悪役令嬢
西野和歌
恋愛
「お前は動くとロクな事をしない、だからお前は悪役令嬢なのだ」
婚約者である第二王子リカルド殿下にそう言われた私は決意した。
ならば私は願い通りに動くのをやめよう。
学園に登校した朝九時から下校の夕方五時まで
昼休憩の一時間を除いて私は椅子から動く事を一切禁止した。
さあ望むとおりにして差し上げました。あとは王子の自由です。
どうぞ自らがヒロインだと名乗る彼女たちと仲良くして下さい。
卒業パーティーもご自身でおっしゃった通りに、彼女たちから選ぶといいですよ?
なのにどうして私を部屋から出そうとするんですか?
嫌です、私は初めて自分のためだけの自由の時間を手に入れたんです。
今まで通り、全てあなたの願い通りなのに何が不満なのか私は知りません。
冷めた伯爵令嬢と逆襲された王子の話。
☆別サイトにも掲載しています。
※感想より続編リクエストがありましたので、突貫工事並みですが、留学編を追加しました。
これにて完結です。沢山の皆さまに感謝致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる