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第四章 会えない時間
4:”リリカ”
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『ウィリアム様へ
研究が大変なのですね。
返事はいりません。ただ月に一度、手紙を書くことをお許し下さい。
お願いいたします。
ウィリアム様の研究が思うように進むことと、健康をお祈りしております。
2/2 リリカ』
『ウィリアム様へ
体調を崩されてはいないでしょうか?
屋敷内では流行病の感染者は出ておりませんが、領地内では出ているようです。
アースの町で行っている感染対策が評判とのことで、我が領地も取り入れ始めました。
一日も早い終息と犠牲者が少ないことを、心から祈っております。
3/1 リリカ』
予告通り、ウィリアムからの返事はなかった。
しかしリリカは、ウィリアムの心の負担にならないようにと、月に一度だけ短い手紙を書き続けた。
読んでくれていると信じて……
(ウィリアム様はもう、私のことなんて何とも思っていないのかもしれない……。けれど私はそうではないということを、今はわかって貰うことしか出来ないわ……)
(いえ、今は私のことを何とも思っていなくても、これから先はわからないわ! どうか、この間に結婚や婚約だけはしないで下さい!!!)
落ち込みかけては打ち消し祈ることを、リリカはただずっと繰り返していた。
そしてふと、思った。
(このような流行病の中でも、ウィリアム様は研究に精を出されているわ。私は手紙を書きながら流行病が収まるのをただ待つだけで良いのかしら……?)
リリカは現状維持だけでは不安だった。
ウィリアムにふさわしい女性になりたくて、中身も成長したかった。
(いつも私はウィリアム様の話を聞くばかりだったわ……。私も知識をつけて、私からも話や意見を言うなど出来るようになりたい……)
リリカは空いた時間で本を読み始めた。
本は現実逃避もさせてくれるため、今のリリカにはちょうど良かった。
知識をつけるだけではなく、人生のヒントを本はくれる。
何をしたいのか、また何をしたら良いのかわからずに焦りを感じているリリカにとって、本は希望だった。
「使用人がいないということだから、料理の腕を磨くのも良いわね……」
リリカはぶつくさと独り言を言いながら、外出が出来ないこともあり、書庫にこもって書物を色々と漁っていた。
代々本好きが多かったようで、様々なジャンルの本が山ほどあった。
一生かけても読み切れないであろう量だ。
こうしてリリカは、本からヒントを得ては、取り敢えず試してみた。
その日々は、以前のウィリアムに会える日を首を長くして待ちわびるだけの日々とは、充実感が全く違った。
(”リリカ”としてちゃんと生きている気がするわ)
そう感じると、リリカは自然と笑みが零れたのだった……
研究が大変なのですね。
返事はいりません。ただ月に一度、手紙を書くことをお許し下さい。
お願いいたします。
ウィリアム様の研究が思うように進むことと、健康をお祈りしております。
2/2 リリカ』
『ウィリアム様へ
体調を崩されてはいないでしょうか?
屋敷内では流行病の感染者は出ておりませんが、領地内では出ているようです。
アースの町で行っている感染対策が評判とのことで、我が領地も取り入れ始めました。
一日も早い終息と犠牲者が少ないことを、心から祈っております。
3/1 リリカ』
予告通り、ウィリアムからの返事はなかった。
しかしリリカは、ウィリアムの心の負担にならないようにと、月に一度だけ短い手紙を書き続けた。
読んでくれていると信じて……
(ウィリアム様はもう、私のことなんて何とも思っていないのかもしれない……。けれど私はそうではないということを、今はわかって貰うことしか出来ないわ……)
(いえ、今は私のことを何とも思っていなくても、これから先はわからないわ! どうか、この間に結婚や婚約だけはしないで下さい!!!)
落ち込みかけては打ち消し祈ることを、リリカはただずっと繰り返していた。
そしてふと、思った。
(このような流行病の中でも、ウィリアム様は研究に精を出されているわ。私は手紙を書きながら流行病が収まるのをただ待つだけで良いのかしら……?)
リリカは現状維持だけでは不安だった。
ウィリアムにふさわしい女性になりたくて、中身も成長したかった。
(いつも私はウィリアム様の話を聞くばかりだったわ……。私も知識をつけて、私からも話や意見を言うなど出来るようになりたい……)
リリカは空いた時間で本を読み始めた。
本は現実逃避もさせてくれるため、今のリリカにはちょうど良かった。
知識をつけるだけではなく、人生のヒントを本はくれる。
何をしたいのか、また何をしたら良いのかわからずに焦りを感じているリリカにとって、本は希望だった。
「使用人がいないということだから、料理の腕を磨くのも良いわね……」
リリカはぶつくさと独り言を言いながら、外出が出来ないこともあり、書庫にこもって書物を色々と漁っていた。
代々本好きが多かったようで、様々なジャンルの本が山ほどあった。
一生かけても読み切れないであろう量だ。
こうしてリリカは、本からヒントを得ては、取り敢えず試してみた。
その日々は、以前のウィリアムに会える日を首を長くして待ちわびるだけの日々とは、充実感が全く違った。
(”リリカ”としてちゃんと生きている気がするわ)
そう感じると、リリカは自然と笑みが零れたのだった……
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