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第七章 すれ違い
4:ただの伯爵令嬢にできること
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「友人に借用を頼むことも、リリカやキャサリンの婚姻を進めて金銭を得る方法があることも、わかっている。しかし、それは最後の手段にしたい。自分の妻のしでかしたことだ。出来る限り自分で何とかしたいと思うのだ……。借金をする場合も、返済の見込みがなければ自分で自分の首を更に絞めるだけだ。それに何より、二人の嫁入りをいわく付きにしたくはない……」
リリカとキャサリンがそれぞれの想い人に別れを伝えに行った日の夜、親子3人はリチャードの書斎に集まっていた。
「お父様一人ではなく、私たちも微力ながら加勢いたします」
リリカの言葉にキャサリンも頷く。
「ありがとう……。改めてローズの実家に話をしに行ってみたが、『嫁いだ娘のしでかしたことに責任をもつつもりはない』と突き放された。少しの金すら用立てて貰えなかった。ローズも実家である子爵家の屋敷への立ち入りは禁止されているそうで、田舎の親戚を頼ってこの町を出たそうだ。逃げた男の手掛かりも全くない」
リチャードは苦笑いしたあと、頭を抱えながら申し訳なさそうに言った。
少し痩せて一回り小さくなってしまっている……
「領民を路頭に迷わす訳には行かない。……なのでどうしてもの時は、プライドは捨てようと思う」
「はい。どうしてもの時は、契約結婚でも何でもいたします」
「……すまないな」
キャサリンの言葉に、今度はリリカが頷く。
そんな二人を見ながら、心から申し訳なさそうにリチャードは眉を下げている。
「執事長に屋敷の運営のために預けていた金も、あと1~2週間程しかもたない。取り敢えずはこの屋敷内の売れる物を売って、当面の屋敷の運営費としたい。この作業を執事長と相談しながら2人に頼みたいのだが、良いかな?」
「「はい、わかりました!」」
リリカとキャサリンのあまりに良い返事に、リチャードは目を見開き、そして久しぶりの明るい笑顔を見せた。
「ははっ、2人は息がピッタリになって来たなあ! よし、頑張ろう!」
3人は顔を見合わせ、覚悟を決めた顔で頷き合う。
(私達は一人ではないわ! 3人で力を合わせれば何とかなるわ!!!)
リリカは心の中でそう言い聞かせた……
リリカとキャサリンはすぐに作業にうつった。
生活費や屋敷の維持費、使用人たちの賃金などを支払っても、なんとか数ヶ月はしのげそうな金になった。
「私たちや屋敷の者の生活や領地への配給などを考えても、数ヶ月以内に何とかしないと……」
「そうね……あー、頭が痛いわ……」
リリカの部屋で話していた2人は、頭を抱えている。
「私たちには、纏まった大きいお金を調達するのは難しいわ。そこはお父様に任せて、私たちは少しでも足しになるように、お金を稼ぎましょう。お父様がお金を調達して来てくれる日まで、凌げるように」
「そうね」
お先真っ暗という様子で、リリカは暗い顔をしている。
今までリリカとキャサリンは、労働の対価として金を手に入れたことは、一度もなかった。
(こんな世間知らずの伯爵令嬢に、本当に何か出来るのかしら……)
「……お姉様、少し庭を散歩しない? 新鮮な空気で身体中を満たしたい気分だわ」
リリカが弱気になったのに気付いたかのように、キャサリンは苦笑いで庭の散歩を提案したのだった……
「本当に綺麗な花たちね。お姉様は花を育てる才能があるわ!」
「ふふっ。昔からいつも花に話しかけていたもの」
リリカは嫌味ではなく、清々しい表情でそう言った。
リリカが花たちのために、大工と話し合いながら作ったビニールハウスの中を2人は並んで歩いた。
「……そう。花がお姉様の友達だったのね」
キャサリンは、少し申し訳なさそうに続ける。
「私はずっと、お姉様にウィリアム様がいて良かったと思っていたの。お母様からの愛情を全て私が貰って、幼心にお姉様に悪いと思っていたのよ……」
「でも、キャサリンはキャサリンで、しんどい想いをしていたのでしょう?」
眉を顰めているキャサリンを見ながら、リリカは苦笑いをする。
「しんどくなったのは、大きくなってからよ……10歳か12歳か……それくらい。色々わかるようになってから……」
「そうなのね。……確かにウィリアム様は、私の心の支えだったわ……」
リリカはキャサリンに、少し寂しさの混ざった笑顔を向けた。
ウィリアムの話題になり、リリカは今までに何度も反芻した、先日のウィリアムとの会話を思い出してしまう。
「……あっ!」
するとふと、リリカが声を上げる。
「キャサリン、どうかしら!? 可能かしら!?」
「えっ、何っ!? お姉様、落ち着いて話して!」
キャサリンは、急に興奮し始めたリリカに驚きながらも、興味津々にリリカの話に耳を傾けたのだった………
リリカとキャサリンがそれぞれの想い人に別れを伝えに行った日の夜、親子3人はリチャードの書斎に集まっていた。
「お父様一人ではなく、私たちも微力ながら加勢いたします」
リリカの言葉にキャサリンも頷く。
「ありがとう……。改めてローズの実家に話をしに行ってみたが、『嫁いだ娘のしでかしたことに責任をもつつもりはない』と突き放された。少しの金すら用立てて貰えなかった。ローズも実家である子爵家の屋敷への立ち入りは禁止されているそうで、田舎の親戚を頼ってこの町を出たそうだ。逃げた男の手掛かりも全くない」
リチャードは苦笑いしたあと、頭を抱えながら申し訳なさそうに言った。
少し痩せて一回り小さくなってしまっている……
「領民を路頭に迷わす訳には行かない。……なのでどうしてもの時は、プライドは捨てようと思う」
「はい。どうしてもの時は、契約結婚でも何でもいたします」
「……すまないな」
キャサリンの言葉に、今度はリリカが頷く。
そんな二人を見ながら、心から申し訳なさそうにリチャードは眉を下げている。
「執事長に屋敷の運営のために預けていた金も、あと1~2週間程しかもたない。取り敢えずはこの屋敷内の売れる物を売って、当面の屋敷の運営費としたい。この作業を執事長と相談しながら2人に頼みたいのだが、良いかな?」
「「はい、わかりました!」」
リリカとキャサリンのあまりに良い返事に、リチャードは目を見開き、そして久しぶりの明るい笑顔を見せた。
「ははっ、2人は息がピッタリになって来たなあ! よし、頑張ろう!」
3人は顔を見合わせ、覚悟を決めた顔で頷き合う。
(私達は一人ではないわ! 3人で力を合わせれば何とかなるわ!!!)
リリカは心の中でそう言い聞かせた……
リリカとキャサリンはすぐに作業にうつった。
生活費や屋敷の維持費、使用人たちの賃金などを支払っても、なんとか数ヶ月はしのげそうな金になった。
「私たちや屋敷の者の生活や領地への配給などを考えても、数ヶ月以内に何とかしないと……」
「そうね……あー、頭が痛いわ……」
リリカの部屋で話していた2人は、頭を抱えている。
「私たちには、纏まった大きいお金を調達するのは難しいわ。そこはお父様に任せて、私たちは少しでも足しになるように、お金を稼ぎましょう。お父様がお金を調達して来てくれる日まで、凌げるように」
「そうね」
お先真っ暗という様子で、リリカは暗い顔をしている。
今までリリカとキャサリンは、労働の対価として金を手に入れたことは、一度もなかった。
(こんな世間知らずの伯爵令嬢に、本当に何か出来るのかしら……)
「……お姉様、少し庭を散歩しない? 新鮮な空気で身体中を満たしたい気分だわ」
リリカが弱気になったのに気付いたかのように、キャサリンは苦笑いで庭の散歩を提案したのだった……
「本当に綺麗な花たちね。お姉様は花を育てる才能があるわ!」
「ふふっ。昔からいつも花に話しかけていたもの」
リリカは嫌味ではなく、清々しい表情でそう言った。
リリカが花たちのために、大工と話し合いながら作ったビニールハウスの中を2人は並んで歩いた。
「……そう。花がお姉様の友達だったのね」
キャサリンは、少し申し訳なさそうに続ける。
「私はずっと、お姉様にウィリアム様がいて良かったと思っていたの。お母様からの愛情を全て私が貰って、幼心にお姉様に悪いと思っていたのよ……」
「でも、キャサリンはキャサリンで、しんどい想いをしていたのでしょう?」
眉を顰めているキャサリンを見ながら、リリカは苦笑いをする。
「しんどくなったのは、大きくなってからよ……10歳か12歳か……それくらい。色々わかるようになってから……」
「そうなのね。……確かにウィリアム様は、私の心の支えだったわ……」
リリカはキャサリンに、少し寂しさの混ざった笑顔を向けた。
ウィリアムの話題になり、リリカは今までに何度も反芻した、先日のウィリアムとの会話を思い出してしまう。
「……あっ!」
するとふと、リリカが声を上げる。
「キャサリン、どうかしら!? 可能かしら!?」
「えっ、何っ!? お姉様、落ち着いて話して!」
キャサリンは、急に興奮し始めたリリカに驚きながらも、興味津々にリリカの話に耳を傾けたのだった………
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