【完結】双子の伯爵令嬢とその許婚たちの物語

ひかり芽衣

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第七章 すれ違い

7:支えてくれる人たち

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リリカとキャサリンの商売のことが、オーグナー公爵とブルーム伯爵の耳にもまもなく入った。

「水臭いな! 何故、もっと早く教えてくれないのだ!」

するとすぐに両家は、声を大にして同じことを言った。
そしてパーティーをわざわざ開いて、大量の花を注文してくれたのだ。

リリカとキャサリンは、父リチャードと同じで、心のどこかでオーグナー公爵家とブルーム伯爵家を頼りたくない気持ちがあった。
何年も将来家族になると信じていた人たちに、このような金銭が絡む頼み事をしたくなかったのだ。
平等の立場ではなくなってしまうから……

しかし、両家共にそのようなことは全く気にしていない様子だ。
”手助けをしたい”と、純粋に思ってくれていることが伝わって来る。

「これは、ただ援助をして貰うのとは違うわ。正当な対価よ」

リリカはそう考えることとした。
不必要なパーティーに、不必要な出費だったかもしれない。
しかし、気持ちをありがたく受け取ることとしたのだ。
2人はいつも通り、気持ちを込めて精一杯の花を用意した。



そして、更に驚く注文が入って来た。
国立機関全体の退任式及び新入職員歓迎式に飾る花の依頼だった。



「ここが国立機関……ウィリアム様も、ここの何処かで働いているのね……」

重厚な雰囲気にリリカは恐縮しそうになるも、ここのどこかにウィリアムがいると思うだけで、不思議と力が湧いてくるのを感じる。



催しは無事に終了し、リリカとキャサリンはホッと胸を撫でおろしたのだった。

しかし、リリカは撤収作業中に驚くことを耳にしたのだ。

「無名の君たちに頼むのは、正直不安だったのだ。しかし、ウィリアムがどうしてもと強く推すから……。彼の発言力は今、大きいからね。それにしても、彼があれほど自己主張することは珍しいから、驚いたよ。余程信頼していたのだね。実際、任せて正解だったよ。今までで一番素晴らしい花々だった。感謝するよ」

リリカ達への対応をしてくれていた職員が、そう教えてくれたのだ。
流行病の特効薬を開発したウィリアムの推薦に、国はすぐに採用を決めたそうだ。

(ウィリアム様が応援して下さっている)

それを知ったリリカは、自然と涙が溢れ出た。

(あれほど勝手なことを言ったのに……。ウィリアム様、ありがとうございます。……頑張ります!)

リリカは心の中で、改めて強く誓ったのだった。


リリカは国立機関での作業中、ウィリアムの姿を最後まで目にすることはなかった。
しかし実は、作業の様子をウィリアムは影からそっと見守っていたのだ。

(頑張れ、リリカ)

声は掛けずに、心の中で応援しながら……




リリカ達の商売は支出が少ないため、収入がほぼそのまま手元に残る。
2人で2日かけて仕上げたこの大口注文の収入により、レッドフィールド伯爵家の懐は、かなり潤いを取り戻すこととなったのだった……


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