【完結】双子の伯爵令嬢とその許婚たちの物語

ひかり芽衣

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第五章 キャサリンとスターリン

3:頑なキャサリン

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一週間後。
キャサリンの病気回復の知らせをリリカから受けたスターリンは、早速レッドフィールド伯爵邸を訪問して来た。
スターリンだと名乗ればキャサリンは会わないと考えたリリカは、キャサリンを自分の部屋へ呼び、そこで二人を会わせたのだ。

「お姉様、騙すなんて酷いわ! 私はもう、スターリン様と話すことは何もありません!」

病により、キャサリンの身体だけではなく心も、更に疲弊してしまっていた……
部屋に入りスターリンを見た瞬間に狼狽え、キャサリンはすぐに部屋を出て行こうとする。
そんなキャサリンの、細くて今にも折れそうな腕をリリカは掴む。

「キャサリン、あなたは私に言ったわ。自分なら諦めない、もう一度ウィリアム様に会いに行くと。あなたも逃げていないで、もう一度スターリン様とぶつかって。諦めるのはそれからでも遅くはないのでしょう?」

キャサリンはリリカの目を見て止まった。
昔の自分に嫉妬したのだ。

(昔の私はかっこいいわね……。どうして、こうなってしまったのかしら?)

その場に立ち尽くすキャサリンの腕を離し、リリカはスターリンに目くばせをして部屋をあとにする。



「キャサリン、こちらへ来て座らないか?」

スターリンは椅子をすすめるが、キャサリンは身動き一つせずに下を向いたままだ。

「……キャサリン、誤解を与えてしまったようで申し訳ない。 俺が想いを寄せているのは、100%キャサリンだけだ。一度もこの気持ちが揺らいだことはない」

スターリンはキャサリンまで1mの距離に近づき、足を止めた。
俯いているキャサリンの顔を覗き込もうとしたその時、急にドアが開けられた。




"バンッ!!!"




「キャサリン、大丈夫!?」

「……何でまた、お母様がここに?」

顔を上げて目を見開いているキャサリンに、ローズは興奮して顔を赤らめながら言う。
どうやら急いで駆けつけたようで、少し息も切れている。

「私のいないところでキャサリンに何かあれば、すぐに知らせるように使用人たちに言っているからよ! スターリン、すぐに帰って頂戴! キャサリンを救ったのはウィリアムなのよ! だからキャサリンがウィリアムと結婚したいと言うのなら、そうさせます!」

「……」

キャサリンのことは全て知り、干渉しないと気が済まないローズの行動に、キャサリンは言葉を失う。

キャサリンは奥歯を噛み締めて、何も言わずにいる。
呆れた感情と、纏まりのない自分の思考に、すぐに言葉が出てこないのだった……


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