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第五章 キャサリンとスターリン
6:素直になって
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「キャサリン!」
リリカはキャサリンの部屋を訪ねるも、そこにはローズもいた。
キャサリンの情緒不安定が露呈してからは、ローズがさらにべったりと、キャサリンのそばにいるようになっていた。
キャサリンは無気力な上にずっと無表情で、ローズの声掛けにも返事をしない。
リリカは、そこにいるローズのことは気にも留めずに、キャサリンの目の前に立ち、真っ直ぐに見て言う。
「キャサリン! スターリン様が、ウィリアム様たちを連れ戻しに行かれるわ! 内乱の起きている危険な隣国へ行くのよ! すぐに会いに行かないと、出発をしてしまうわよ!」
キャサリンは驚きに目を見開いて、リリカを見た。
しかしまた、フッと視線を逸らす。
「あら、ウィリアムが無事に帰れると良いわね! それにしてもリリカ、キャサリンに対して偉そうな物言いね。わきまえなさい! 主役はいつもキャサリンなのよ!」
このローズの言葉に、リリカは一瞬傷付いた顔をしてしまった。
しかしすぐに、”ふっ”と笑みを零す。
(主役はいつもキャサリン……か。確かにそうかもしれないわね。でも、私の物語の主役は私よ! どんな人生だろうと、自分の人生に誰も責任は持ってはくれないのよ!)
リリカはキリッと顔を引き締めて、キャサリンを再び真っ直ぐに見る。
「キャサリン! いい加減にしなさい! ムキになっている場合ではないわ! 本当は分かっているのでしょう? あなたに誤解をさせる行動をとって悪かったわ。あなたの想い人であり許婚とのことだもの、きちんとあなたにも報告をしておくべきだったわ。配慮が足らなかった。本当にごめんなさい」
リリカは心からの謝罪をし、頭を下げた。
(ウィリアム様にフラれた時、私の背中を押してくれたのはキャサリンだったのよ。キャサリン、お願い。後悔するようなことはしないで……)
リリカが顔を上げると、ショックを受けているキャサリンと目が合った。
そしてリリカは、スターリンからの手紙をキャサリンに手渡す。
震える手で受け取ったキャサリンは、スターリンの文字に涙を浮かべる。
「……スターリン様が、戦争の起きている国へ行くの……?」
数日前スターリンが来た日以来に聞いた、キャサリンの声だった。
キャサリンのか細い声は震えている。
「ええ、そうよ。スターリン様のキャサリンを想う心は、何も変わっていないわよ? キャサリンは、本当にこのままで良いの?」
「……」
「もうニ度と会えないかもしれないのよ? このような別れ方で、本当に良いの!?」
「……良くない」
”ボソッ”と呟かれたキャサリンの言葉に、リリカは”ホッ”とした表情を浮かべて大きく頷いた。
「ちょっと、何を言っているの? キャサリンはウィリアムと結婚するのよ?」
ローズはキャサリンを抱きしめて言う。
キャサリンはそんなローズの手をそっと外し、真正面からローズを見た。
馬車の中でリリカのことを叱ってくれた、あの時のキャサリンと同じ目をしている。
(ああ、キャサリンはきっともう大丈夫だわ……)
リリカは直観でそう思った。
「お母様、今回は振り回してしまってごめんなさい。でも私は、お母様の人形ではないわ。私で自分の承認欲求を満たそうとするのは、もう止めて」
キャサリンはローズへ冷静にそう言い放ってから、足早に部屋をあとにした。
「……キャサリンは間に合いますように……」
リリカは、心からそう願った。
そして、あと一歩のところで間に合わずに、ウィリアムに会うことが出来なかったあの日の自分を思い出す。
リリカはウィリアムの無事を願って、胸が苦しくなったのだった……
リリカはキャサリンの部屋を訪ねるも、そこにはローズもいた。
キャサリンの情緒不安定が露呈してからは、ローズがさらにべったりと、キャサリンのそばにいるようになっていた。
キャサリンは無気力な上にずっと無表情で、ローズの声掛けにも返事をしない。
リリカは、そこにいるローズのことは気にも留めずに、キャサリンの目の前に立ち、真っ直ぐに見て言う。
「キャサリン! スターリン様が、ウィリアム様たちを連れ戻しに行かれるわ! 内乱の起きている危険な隣国へ行くのよ! すぐに会いに行かないと、出発をしてしまうわよ!」
キャサリンは驚きに目を見開いて、リリカを見た。
しかしまた、フッと視線を逸らす。
「あら、ウィリアムが無事に帰れると良いわね! それにしてもリリカ、キャサリンに対して偉そうな物言いね。わきまえなさい! 主役はいつもキャサリンなのよ!」
このローズの言葉に、リリカは一瞬傷付いた顔をしてしまった。
しかしすぐに、”ふっ”と笑みを零す。
(主役はいつもキャサリン……か。確かにそうかもしれないわね。でも、私の物語の主役は私よ! どんな人生だろうと、自分の人生に誰も責任は持ってはくれないのよ!)
リリカはキリッと顔を引き締めて、キャサリンを再び真っ直ぐに見る。
「キャサリン! いい加減にしなさい! ムキになっている場合ではないわ! 本当は分かっているのでしょう? あなたに誤解をさせる行動をとって悪かったわ。あなたの想い人であり許婚とのことだもの、きちんとあなたにも報告をしておくべきだったわ。配慮が足らなかった。本当にごめんなさい」
リリカは心からの謝罪をし、頭を下げた。
(ウィリアム様にフラれた時、私の背中を押してくれたのはキャサリンだったのよ。キャサリン、お願い。後悔するようなことはしないで……)
リリカが顔を上げると、ショックを受けているキャサリンと目が合った。
そしてリリカは、スターリンからの手紙をキャサリンに手渡す。
震える手で受け取ったキャサリンは、スターリンの文字に涙を浮かべる。
「……スターリン様が、戦争の起きている国へ行くの……?」
数日前スターリンが来た日以来に聞いた、キャサリンの声だった。
キャサリンのか細い声は震えている。
「ええ、そうよ。スターリン様のキャサリンを想う心は、何も変わっていないわよ? キャサリンは、本当にこのままで良いの?」
「……」
「もうニ度と会えないかもしれないのよ? このような別れ方で、本当に良いの!?」
「……良くない」
”ボソッ”と呟かれたキャサリンの言葉に、リリカは”ホッ”とした表情を浮かべて大きく頷いた。
「ちょっと、何を言っているの? キャサリンはウィリアムと結婚するのよ?」
ローズはキャサリンを抱きしめて言う。
キャサリンはそんなローズの手をそっと外し、真正面からローズを見た。
馬車の中でリリカのことを叱ってくれた、あの時のキャサリンと同じ目をしている。
(ああ、キャサリンはきっともう大丈夫だわ……)
リリカは直観でそう思った。
「お母様、今回は振り回してしまってごめんなさい。でも私は、お母様の人形ではないわ。私で自分の承認欲求を満たそうとするのは、もう止めて」
キャサリンはローズへ冷静にそう言い放ってから、足早に部屋をあとにした。
「……キャサリンは間に合いますように……」
リリカは、心からそう願った。
そして、あと一歩のところで間に合わずに、ウィリアムに会うことが出来なかったあの日の自分を思い出す。
リリカはウィリアムの無事を願って、胸が苦しくなったのだった……
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