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第七章 すれ違い
2:タイミングのズレ
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幼い頃からずっとずっと恋焦がれて来た、ウィリアムからのプロポーズ。
リリカは嬉しくて仕方がない。
しかしすぐに、現実が押し寄せて来る。
(何故、今なの……?)
恋愛や結婚はタイミングだとよく言うが、リリカは自分とウィリアムのタイミングのズレを恨めしく思う。
(報酬は研究費用に使うつもりだったはずだわ。タイミングを見て国立研究所を辞めて、独立もされるのでしょうし……)
伯爵を継ぐと言っても今すぐにではない。
それまでは現伯爵を手伝いながら、研究も細々と続けられるだろう。
そして、あわよくば研究をずっと続けられる環境を作って欲しいと、リリカは思う。
けれどリリカは今、その手伝いをすることは出来ないのだ。
それどころか、邪魔をすることになるかもしれない。
リリカは気合いで涙を止めた。
「ありがとうございます。そのようなことを言っていただけて、とてもとても嬉しいです。しかし、その申し出はお受けすることは出来ません」
二人の間に沈黙が流れる。
「……そう言うと思っていたよ。誰よりも俺の研究を応援してくれていたリリカが、この金を受け取ってくれる訳はないと……。しかし、これは俺の心からの希望だ。今までずっと、たくさん応援をしてくれていたお礼でもある。どうか、金を受け取っては貰えないだろうか?」
ウィリアムに頼みごとをされるのは、初めてだった。
ウィリアムの様子から、真剣な気持ちがヒシヒシと伝わって来る。
しかし、リリカは目を閉じ、何も言わずに大きく首を横に振った。
頑なリリカの様子に、ウィリアムは一旦話を変えることとした。
「……そう言えば、リリカも研究をしていると手紙に書いていたな。どのような研究なんだい?」
リリカは、ウィリアムが手紙をちゃんと読んで内容を覚えてくれていたことが嬉しくて、思わず微笑みが溢れる。
「はい。花を掛け合わせたのです。そして本来その花にはない、新しい色で咲かせることに成功したのです」
「凄いな! 商売ができそうだな!」
リリカの明るい表情に、ウィリアムも明るい笑顔で返した。
「ふふっ、そうかもしれませんね。……それでは、この辺で失礼いたします」
リリカはこれ以上いると余計に辛くなると感じ、そそくさと立ち上がりドアに向けて歩き始めた。
「待つのだ!」
ウィリアムはリリカの手首を掴む。
リリカの胸はドキッと大きく鼓動を打った。
「金策の目処がつかなければ、俺や父を頼って欲しい」
リリカは、再び涙が込み上げて来そうになるのを必死に止める。
「……ありがとうございます。心強いです。……その時は、借用をお願いに上がらせていただきます」
そう、敢えて他人行儀に言った。
そして、リリカはウィリアムを振り返る。
「ウィリアム様、今までありがとうございました。どうかお幸せに。私のことは気になさらずに、他の女性をお探し下さい。今のウィリアム様なら大人気ですよ!」
ニッコリと満面の笑みを見せた後、リリカは部屋を出た。
掴まれた手首を握りながら、涙をこらえて馬車へと急ぐ。
ウィリアムは一人残された部屋で、眉を落として呟く。
「想い人に他の者を勧められるのは、これほどまでに辛いものなのだな……」
ウィリアムはリリカを傷つけた過去に、罪悪感が込み上げて来る。
そして自分に言った。
「これはリリカを傷つけた罰だな。甘んじて受けよう」
リリカは嬉しくて仕方がない。
しかしすぐに、現実が押し寄せて来る。
(何故、今なの……?)
恋愛や結婚はタイミングだとよく言うが、リリカは自分とウィリアムのタイミングのズレを恨めしく思う。
(報酬は研究費用に使うつもりだったはずだわ。タイミングを見て国立研究所を辞めて、独立もされるのでしょうし……)
伯爵を継ぐと言っても今すぐにではない。
それまでは現伯爵を手伝いながら、研究も細々と続けられるだろう。
そして、あわよくば研究をずっと続けられる環境を作って欲しいと、リリカは思う。
けれどリリカは今、その手伝いをすることは出来ないのだ。
それどころか、邪魔をすることになるかもしれない。
リリカは気合いで涙を止めた。
「ありがとうございます。そのようなことを言っていただけて、とてもとても嬉しいです。しかし、その申し出はお受けすることは出来ません」
二人の間に沈黙が流れる。
「……そう言うと思っていたよ。誰よりも俺の研究を応援してくれていたリリカが、この金を受け取ってくれる訳はないと……。しかし、これは俺の心からの希望だ。今までずっと、たくさん応援をしてくれていたお礼でもある。どうか、金を受け取っては貰えないだろうか?」
ウィリアムに頼みごとをされるのは、初めてだった。
ウィリアムの様子から、真剣な気持ちがヒシヒシと伝わって来る。
しかし、リリカは目を閉じ、何も言わずに大きく首を横に振った。
頑なリリカの様子に、ウィリアムは一旦話を変えることとした。
「……そう言えば、リリカも研究をしていると手紙に書いていたな。どのような研究なんだい?」
リリカは、ウィリアムが手紙をちゃんと読んで内容を覚えてくれていたことが嬉しくて、思わず微笑みが溢れる。
「はい。花を掛け合わせたのです。そして本来その花にはない、新しい色で咲かせることに成功したのです」
「凄いな! 商売ができそうだな!」
リリカの明るい表情に、ウィリアムも明るい笑顔で返した。
「ふふっ、そうかもしれませんね。……それでは、この辺で失礼いたします」
リリカはこれ以上いると余計に辛くなると感じ、そそくさと立ち上がりドアに向けて歩き始めた。
「待つのだ!」
ウィリアムはリリカの手首を掴む。
リリカの胸はドキッと大きく鼓動を打った。
「金策の目処がつかなければ、俺や父を頼って欲しい」
リリカは、再び涙が込み上げて来そうになるのを必死に止める。
「……ありがとうございます。心強いです。……その時は、借用をお願いに上がらせていただきます」
そう、敢えて他人行儀に言った。
そして、リリカはウィリアムを振り返る。
「ウィリアム様、今までありがとうございました。どうかお幸せに。私のことは気になさらずに、他の女性をお探し下さい。今のウィリアム様なら大人気ですよ!」
ニッコリと満面の笑みを見せた後、リリカは部屋を出た。
掴まれた手首を握りながら、涙をこらえて馬車へと急ぐ。
ウィリアムは一人残された部屋で、眉を落として呟く。
「想い人に他の者を勧められるのは、これほどまでに辛いものなのだな……」
ウィリアムはリリカを傷つけた過去に、罪悪感が込み上げて来る。
そして自分に言った。
「これはリリカを傷つけた罰だな。甘んじて受けよう」
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