【完結】双子の伯爵令嬢とその許婚たちの物語

ひかり芽衣

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第五章 キャサリンとスターリン

4:すれ違い

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ローズを追って、慌てた顔のリリカも部屋に戻って来た。

「ウィリアムの開発した薬がキャサリンを救ったことは、聞いています……」

そう言ったスターリンは、ジッとキャサリンを見る。
決してスターリンを見ようとしないキャサリンを、寂しそうに見つめる。
そして、再び口を開いた。

「……わかりました。失礼いたします」

スターリンは部屋を出る前に立ち止まり、振り返ってもう一度キャサリンを見る。

「キャサリン、今までありがとう。最後に誤解をさせ、辛い想いをさせてしまって申し訳なかった。俺の説明不足、配慮不足が招いた結果だと思う。……幸せを願っている」

キャサリンは、バッと勢いよく顔を上げた。
この日初めて見たスターリンの顔は、いつものポーカーフェイスではなく、とても苦しそうで今にも泣き出しそうな顔だった……

キャサリンは一気に冷静になると同時に、頭の中を後悔が駆け巡る。

(私の醜い嫉妬から、スターリン様にこのような顔をさせてしまった……)

あまりに身勝手な自分の言動を改めて自覚したキャサリンは、指一本動かせずに声も出ない。
遠くなっていくスターリンの足音を、ただ茫然と聞いていた。

リリカは一瞬、スターリンを追いかけそうになったが、思い止まった。

(キャサリンと話す方が先だわ)

そう思い、キャサリンが落ち着くのを待つこととしたのだ。



スターリンの足音が完全に聞こえなくなった後も、五分ほどキャサリンは人形のように固まっていた。

「キャサリン、大丈夫?」

「キャサリン……。私はただ、二人にきちんと話をしてもらいたかっただけなの……。本当にあなたの誤解なのよ……」

ローズやリリカの声掛けにも反応せず、キャサリンは元気のない足取りでトボトボと自室へ戻って行った……



ローズは「余計なことをして!」とリリカに説教したが、リリカはローズの相手をする余裕はなく、ただ立ち尽くしていただけだった。

(どうしよう……。どうしてこのようなことに……。スターリン様とキャサリンは両想いのはずなのに、周りがキャサリンとウィリアム様を応援している……)

リリカの行動がきっかけで招いた事態だ。
リリカを鼓舞してくれたキャサリンにも、応援してくれたスターリンにも、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

それに、いくらウィリアムの姉に”ウィリアムは今もリリカのことを想っている”と言われても、実際に本人に言われた訳ではない。
ウィリアムに一年以上も会っていないリリカには、何の自信もない。

(ウィリアム様までキャサリンを選んだら……)

リリカは一抹の不安を過ぎらせる。



そのような時、一つの知らせが国中を緊張させた……




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