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第46話 母さんと呼べなかった・・・ 前転
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➖ハズキサイド➖
「サロメの妹たちの件は、アドンの独断だ!俺が殺ったのはドリスのババアだ!」
・・・・・・
思いもよらぬラムサスの言葉にハズキ達は凍りついた・・・
いきなりのことでハズキ達の理解が追いつかず無言のまれ状態だったが痺れを切らしたアドンが割って入って来た
「いつまで呆けてんだよ!ラムサスの話を聞いてなかったのか?って言うかソレ喋っちゃってよかったのかよ?なあ、ラムサス?」
「う~ん・・・別に構わないよん♪どうせハズキとサロメはここで始末する予定だったしよ。ぶっちゃけ、2人とも思ってたより使えなかったからな・・・特にサロメが!」
ラムサスは思い出したかのように怒りだし、足元にあったの大きめの瓦礫を拾ってサロメに投げつけるとギンガが前に出て飛んできた瓦礫を片手でキャッチしてそのまま握り潰す
「・・・黙って聞いていればなんだよ!ジョージ・・・お前、姉貴を利用しただの始末するだの挙句の果てに母ちゃんを殺しただと!?どういうことか説明してもらおうか!」
戦闘の邪魔にならないように避難していたギンガがいつの間にかラムサスの前に立ち、さっきの言葉の意味を知るために問いただすのであった
「だーかーらぁ!ジョージは偽名だっつーの!俺様の本名はラムサスだ!・・・はぁ~もういいや面倒臭い・・・それでドリスの死の真相を聞きたいんだろう?とりあえず、まず最初にサロメはドリスを殺していない。俺がサロメに持たしたものは毒薬ではなく、ただの即効性のある下剤だ」
「下剤?なんで下剤なんだ?」
「それはな、ドリスは知っての通り『武神』の通り名を受け継ぐほどの凄腕の剣闘士だ。そんな奴が普通に毒入りの水を飲んだだけでは簡単には死なないらしい それどころかドリスは自分の身体のアドレナリンを分泌することにより服用した毒を浄化してしまうようだ」
「・・・確かに母ちゃんは得意体質の人間だって姉貴が言ってた。そうだろう姉貴?」
「ああ、そうだよ。母さんは武道家でもあったから呼吸法を使うことによって自由にアドレナリンを分泌することができた。・・・それで・・・下剤を飲ました理由は?」
がお・・・(キマイラロードの小さいうめき声)
ラムサスが2本目のタバコを吸いながら壁にもたれかかると話の続きをする
「抵抗力だ。通常時は意識がある分、抵抗力があって毒を喰らってもさっき説明したようにアドレナリンを分泌して毒を浄化してしまう。だから下剤を服用させて用を足たせるんだ。知ってるか?人間は大量に排尿排便をすると急激に血圧が下がるんだ。そうするとどうなる?めまいやふらつき・・・最悪の時には意識を失うんだ。この後、俺の言いたいことがわかるよな?」
その言葉にピンと来たハズキが足元に落ちているバスタードソードを拾って剣のグリップを強く投げる
「血圧の下がった母さんはめまいに襲われ意識を失った・・・そうなれば、抵抗力に弱くなる・・・そこでラムサスお前が母さんに毒を・・・」
(やっぱり あの時コロシアムでコイツが目撃されたのは本当だった・・・)
「その通りだ 用を足したドリスは試合会場に向かう途中に血圧が下がって、意識が朦朧として気を失いかけて壁に横たわっていた そこでコロシアムのスタッフに変装した俺がドリスにかけより介抱すると見せかけ脇腹に魔族のランディから渡された毒薬を打ったんだ。意識を取り戻したドリスは、何も知らずに試合会場に向って武舞台に立つとドリスは急に苦しみ出して穴と言う穴から大量の血を吹き出してそのまま死んでしまいましとさ♪」
「だははは!あの時のドリスの死に方は、マジウケるぅ♪『武神』の通り名を持つ剣闘士様がこうも惨めな死に方をするとはね」
ドリスを冒涜したお2人に激しい怒りを覚えたギンガがラムサスの胸ぐらを掴んで思いっきり壁にぶつけると怒号を放つ
「何がおかしい!そんなに!そんなに人が死んだのが面白いか!ええっ!?ラムサス!」
「・・・お前さぁ・・・なに胸ぐらつかんでんの?」
「おい!お前、俺の話聞いてたか?質問を質問で返してんじゃねーよ!」
「だあぁ!お前は誰の胸ぐらつかんでんだ!」
胸ぐらを掴まれて気に触ったラムサスがギンガの手を振り払って突き飛ばし咥えていたタバコを吐き捨てて新たなタバコを咥えて火をつける
「なあ、ハズキよぉ お前さぁ、自分の息子にどう言う躾けしてんだよ?俺はコイツの・・・」
「それ以上は言わせない!」
ビュンッ
何を言うかわかっていたハズキはラムサスが言い切る前に携帯していた投げナイフをラムサスに投げて阻止した
「あぶね!この野郎・・・ハズキ!てめー!何しやがる!」
「お前が言おうとしている事はわかってる!お前の口からは絶対に言わせない!」
(そうさ・・・この事は、アタシ自らギンガに伝えなきゃダメなんだ!)
「はん!ふざけやがって!・・・いつまで泣いてんだ!サロメ!鬱陶しいんだよ!」
ナイフを投げつけられて、さらに頭に来たのか、泣き崩れているサロメに暴言を浴びせた
「そうそう、いつまでウジウジしてんだか知らんけど・・・それにしてもさぁ・・・コイツと、あの妹で、こうもルックスの差が激しいのなんてびっくりだぜ。不細工な姉に美人な妹って世の中不思議なことがあるもんだね・・・嗚呼、何かキュルケちゃんを襲っちゃったことを思い出しちゃったよ」
「おい、アドン お前ねぇこんな時に幼女を襲った時のことを思い出して、何ムラムラしてんだよ」
すると、アドンが両腕で自分の体を抱えながらクネクネと体を動かし悶え出す
「だってよぉ、幼女だぜ!あの日の夜は最高だったんだ!嫌がるキュルケちゃんを・・・う~ん♪幼女最高!・・・おっと言っとくけど、ヒルダを犯ったのはホルスだからな。ホルスのヤツも楽しんでたぜ♪あっ!そう言えば!そのヒルダなんだけどよ、犯された後に玉砕覚悟でおれっち達にナイフを持って歯向かって来やがったんだ。儚い抵抗だったけどキュルケちゃんが穢されて激怒してたからなぁ、ああ言うのを窮鼠猫を噛むって言うんだよなぁ?その甲斐あってホルスの首を切り裂きやがってホルスのやつを殺しちまったんだ。いや~、女って怖いねぇ。でも、その後、おれっちが殴り殺してやったよ。後始末の放火もやったしね」
「アドン、お前の幼女好きも大概だな。ところで、旦那のほうはどうしたんだ殺したのか?」
「んにゃ、殺してねーよ。ってか旦那のヤツ冒険者なんだけど、仲間の19歳の女冒険者と駆け落ちしてたんだよ。しかも、ヒルダ達を好きにしていいぞだとさ、おれっち達クズだけど、あの旦那・・・元旦那も大概のクズだ。まぁ、何にせよ・・・姉妹揃って哀れだねぇ、よよよよ~・・・なんてな♪無様の間違いでしたぁ♪ぶはははは!」
「腐れ外道が!ここまで来ると、怒りを通り越して殺意が湧いてくる!」
「どけっ!シュリ!」
アドンの非道な振る舞いを聞いて憤怒したシュリが持っていたククリで切りかかろうとグリップを握ろうとした時、横から割って入ってきたサロメが左手にタワーシールド、右手にグレートアックスを持ってアドンの前に立ち対峙した
「あらあら、泣いたブタがもう笑ったか(笑)?おっと、いけね♪カラスだったぁ♪」
「・・・お前だけは絶対に私が殺してやる!ヒルダとキュルケの仇だ!」
ズシーン
グルルルルルル(うなり声)
大きい足音とうなり声を上げてハズキ達の背後にサロメが倒してはずのキマイラロードが立っていた
「キマイラロード!?何で!?サロメが仕留めたハズなのに!さっきの攻撃じゃあ、決定打にならなかったのか!?」
「!!!まずいぞ!コイツ、さっきのサロメの攻撃で逆鱗に触れたのか、かなり興奮したみたいだぞ!ハズキ!サロメ!警戒しろ!」
「・・・知るかそんなの!こっちは、目の前に妹達の仇がいるんだ!そんな奴、お前らがなんとかしやがれ!」
グオオオオオン(咆哮)
しかし、息を吹き返したキマイラロードの標的は、自身を攻撃したサロメだった。キマイラロードはそのまま、咆哮を放つとサロメに渾身のかぎ爪攻撃で殴りかかる
「!!!・・・ぐおおっ!」
バゴーン!
「かはっ!」
キマイラロードを無視していたサロメだったが、標的が自分に来ると気づいて咄嗟にタワーシールドで防御したが攻撃力が予想以上の威力で盾を突き破って壁に激しく叩きつけられた。壁に叩きつけられたサロメがぐったりと倒れると、同時にキマイラロードの標的がラムサスとアドンに変わった
「ゲゲゲェ!あのブタと言うかゴリラと言うか図体のでかいサロメが吹き飛んぞ!!・・・!!!って言うかキマイラロードのヤツ、こっちの方を睨んでるぜ・・・もしかして次の標的は、オレらってことぉ?ヤベーよ!なあ、ラムサス?」
「バカ!落ち着けって!こういう時は、冷静な判断が大事なんだ。・・・ん?ぐふ♪どうやら神様は、俺らを見捨てていなかったようだぜ♪
ラムサスが何かを見つけてニヤリと不敵な笑みを浮かべハズキとシュリの居る所までダッシュで2人に近づき飛び蹴りで2人を突き飛ばした。そして、床に落ちていたいちごを拾いサロメの顔に目掛けて投げつけるといちごはサロメの顔に直撃していちごが潰れて汁が顔にべっとりとつくとキマイラロードの標的は再びサロメに向けられた
「おおっ!流石はラムサス!ヤツ習性を利用した頭脳プレイとは恐れ入った!」
「何が恐れ入っただ!自分の身を助けるために、他人を犠牲にするなんて、つくづく外道なやつだ!サロメ!しっかりしろサロメ!」
「ぎゃはははは!無理無理♪キマイラロードの攻撃を盾の上からとは言え、モロに喰らって壁にただ着つけられたんだ、全身の骨がぐ砕けて重傷だぜアレ。まあ、こっちとしてはこの豚が身代わりになってくれて命拾いしたんだから・・・よっと!」
キマイラロードから逃れる為に傍で倒れていたサロメを飛び越えて、失神しているサロメを見下ろしながら、頭を踏みつけて嘲笑う
「最初は役に立たないブタと思ってたけどよ、サロメ殺しに加担させたりキュルケちゃんで、楽しませてもらったりと、案外役に立ったよな・・・案外なぁ♪あとは、あの化け物に美味しく食べられろや♪じゃあな!ぺっ!」
去り際にサロメの顔に唾を吐きかけて去ろうとした、その時・・・
ガシッ!
「あん?何だよ?お前まだ生きていたのか・・・つーか、何足つかんでんだよ。離せよ」
全身打撲で意識不明と思われたサロメだったが、意識を失ってはいなかった
「おい!何してんだ、アドン!早くしねーとキマイラロードが襲い掛かって来るぞ!」
「わかってるよ!でも、このブタが足を掴んで離そうとしねえんだよ!テメー!この死に損ないがぁ!離しやがれ!」
げしっ!げしっ!げしっ!(頭を蹴り飛ばす音)
「・・・絶対に・・・離すか・・・ヒルダとキュルケの仇!」
「ひいぃ!!ゾ、ゾンビかテメーは!」
ガンッ!
サロメは、もう片方の足も掴んでアドンをひっくり返そうとしたら、アドンが大きい瓦礫でサロメの頭部を殴るとサロメは頭から大量の血を流しながら倒れて動かなくなった
「はぁはぁ!ふゅー・・・やっとくたばったか・・・ったく鬱陶しいブタだったぜ。おっと、あぶねぇあぶねぇ、早くコイツから離れえと!」
ぐったりとして意識を失ったサロメを見下ろしサロメから離れようと背を向けた瞬間、意識を失ったサロメが再び立ち上がって、アドンを掴んで高々と担ぎ上げた
➖ランディサイド➖
数分前のこと、ギンガ達より、遅れて神殿入ってきたランディはギンガ達の跡を追っていた
「やれやれ、まだハズキを末できないのですか・・・本当に使えない男だ・・・おや?・・・これはこれは・・・少々面白い展開だから、色々と手助けをしてありますか・・・まずはキマイラロードの動きを止めておきますか。バインド!そして、私の存在を奴らに気づかないために・・・ステルス!」
ランディがキマイラロードに拘束魔法を使って動きを封じて、自分にステルスの魔法をかけると今度は浮遊魔法で空高く飛び上からハズキ達のやり取りを傍観していた
「さてと・・・ラムサスはどうでもいいとして、あの白銀の髪の青年は見物ですね。まさか、こんなところで『あの男の遺伝子』を受け継いで人間がいたとは・・・『白銀の髪』、そして『黄金の瞳』・・・」
➖ナツコサイド➖
神殿の最下層まで降りたナツコパーティーは、キマイラロードの雄叫びを聞いてすぐ様にキマイラロードのいる階まで行こうとしたらナツコ達の行く手を阻まんと言わんばかりに大量の魔物がおそいかかって来たのである
「はぁ~、これ全部片付いたで。それにしても、何やねん、この尋常じゃない魔物の数は?上に登って行くにつれてワラワラとまるで魔物のバーゲンセールやで」
「魔物のバーゲンセールって呑気だなぁ・・・そんなことより、早く上の階に行くわよ!もしかするとここにいるキマイラロードは、普通じゃないわ」
「そうだな、俺の経験から言わせてもらうと本来、キマイラ系は頻繁に雄叫びをあげたりはしない。なのにここにいるやつは、随分と興奮が激しい・・・恐らくは何者かがキマイラロードに何かしたに違いない」
「何者?それって、一体誰なんですか?」
リーダーの『クラーク』が強張った顔をで上の階から聞こえるキマイラロードの叫びを聞きながら見上げている
「・・・魔族か・・・」
「魔族?それって、前にお前が言ってたヤツやな?・・・アニメや漫画でのイメージしかないから、現実の魔族はどんな感じなんやろなぁ?まあ、百聞は一見にしかずや!ほな、上に行こか!」
グオオオオォ(咆哮)
➖ハズキサイド➖
「うあああああぁ!な、なんだコイツ!まだ生きてやがったのか!つーか、降ろせよ!このブタ!」
「サロメ!アイツ、まだ立ち上がる力が残ってたのか?」
「ギンガ、恐らくサロメは愛するものを奪われた復讐心のために無意識に立ち上がっているんだ」
意識を失ったかと思われたサロメだったがシュリの言った通り、サロメは意識を取り戻したわけではなく、復讐心によって無意識に立ち上がって渾身の力を振り振り絞ってアドンを持ち上げていた
「お前は・・・お前だけは・・・アドン!私がぶっ殺す!オラァァァ!」
叫び声とともにサロメはアドンを地面にめがけて渾身のパワーボムを放つ
ズドォォォォォン!!
「がぁはぁ!」
サロメの放ったパワーボムで地面に叩きつけられたアドンは予想以上のダメージでその場で泡を拭いて失神した。パワーボムを決めたことで意識を取り戻したサロメは、失神しているアドンを睨んだ
「はぁはぁはぁはぁ!ざまぁみろ・・・でも、まだだ!お前は殺さないと気がすまない!」
「待つんだ、サロメ!そんな奴、殺す価値もない!」
武器を振り上げたサロメをハズキが止めるとサロメは武器を下ろしてフラフラとしながら立ち尽くす
「・・・はぁはぁ・・・確かに・・・こんなクズを殺したところで・・・はぁはぁ・・・何の特にもならねぇわな・・・でもよ!コイツには、精神的に大きな傷を負わせないとなぁ!」
目の前で大の字で泡を吹きながら失神しているアドンの股間に目掛けてサロメは、自身の全体中をかけたストンピングを放つ
ぶちゃぁ!
何やら生々しく鈍い音がした後、失神していたアドンが両手で股間を抑えながらのたうちまわり悲鳴と泣き叫び出す
「ぎゃあああああああ!いでぇ!いでぇ!い・・・!!!血ぃ!?股間から血ぃ!?へぁ?タ、タマが・・・タマが無い!つ、潰れた?おれっちのキンタマが・・・潰れた!?・・・ぶぇぇぇん!勃たない!勃たないよぉぉぉ!タマがぁ!オレのキンタマがぁぁ!」
「はぁはぁ・・・はぁはぁ・・・へへっ!ざ、ざまぁ・・・みやが・・・れ・・・」
サロメのストンピングで睾丸が潰れたショックで、地面に亀のようにうずくまって大声で泣き叫ぶアドンを見ると糸が切れたかの様に壁にもたれかかって意識を失った
「うへぇ~ 女ってえげつねぇなぁ。何の躊躇いもなく男のキンタマを潰しやがった。つーか、何してんだかアドンのバカは、弱いくせに、調子に乗ってるから足元をすくわれるんだよ」
「随分と余裕があるな、わかってはいたがアドンとの仲間意識がないな。大方、適当に利用する捨て駒なんだろ?昔からやることが変わらないね」
ラムサスは、両手を腰に当ててうずくまっているアドンに唾を吐き呆れた顔で見下す
「いいだろ別によ・・・コイツは所詮、俺の力をあてにして擦り寄ってきた、虎の威を借る狐だったんだからよ。だから、俺もコイツを逆手にとってやったのさ。まぁ、使えないなりに役に立ったからいいんだけど♪」
「アナタがそれを言いますか?」
スッ
突然、ハズキ達の真上から宙に浮いている黒いフードを着た人物が現れた
「!!!ランディ貴様!アレはどういうことだ!キマイラロードが全然弱ってないじゃないか!」
「何を言っているのですか。私はちゃんとアレを半年ほど前にあそこの部屋に閉じ込めて、空腹にさせておいたじゃないですか別に嘘は言っていません。アナタが勝手に勘違いしていただけです」
「ちょっとアンタ・・・いきなり、幽霊みたいに現れたと思えば、そんなフードで身を隠して何者だよ」
「おっと、これは失礼しました」
ハズキに指摘されランディは、フードを脱ぐ
「紫色の肌に白い角・・・お前、魔族か?それにしても随分と優男だな・・・でも、お前かなり強いだろ?私やハズキよりできると見た」
「確かにそうだね。アイツが姿を現す前から感じていた冷たい視線・・・昔、母さんから聞いていた魔族ってのは、あんな奴ばかりなの?キマイラロードなんて本能で感じたのか、恐怖の余り固まってたよ。おまけに魔法で拘束されてたし・・・」
「ほほう、私の強さを一瞬で見抜くとは流石はS級冒険者のシュリさんとハズキさんですね。そこの愚か者とは違い良い洞察力です。強者は己の力量を押し図り、相手の力量も押し図るもの」
「おい!愚か者ってのは、俺のことか!」
ランディの挑発めいた言葉に気に触ったのか、ラムサスは足元に落ちていた拳台の瓦礫を拾い、ランディに目掛けて投げるが、ランディはすました顔で交わしてラムサスを見下して嘲笑う
「くくくくっ、こんなことにも気づかないなんて、やっぱり愚かですね。所詮は、凡人程度の才能しかないのに優秀な魔道師の家系なんのをいいことにやりたい放題やって度重なるトラブルを引き起こしたあげく親から勘当を言い渡されたウィルバーグ家の恥さらし・・・くははは」
「う、うるせぇ!俺は凡人じゃねぇ!その証拠に俺の髪は白銀の色だ!」
その話を聞いたランディは、やれやれとラムサスを憐れみの目で見ながら諭す
「・・・アナタはつくづく愚かですね。父親から教わらなかったのですか?アナタの元居た『ウィルバーグ』は優秀な魔導師の家系、その中でもごく稀に極めて優秀な子供が生まれてくることがあり、その証と言うのが髪の色が『白銀』と言われています。しかし、本当は『白金(プラチナ)』らしく、何でも18歳の時、ある日を境に突然変異で髪のが変わるとか」
「突然変異で髪の色が変わる?それならラムサスの髪の色も変わるはずじゃ!?それなのにコイツの髪は白銀のままだぞ。・・・ん?なあ、もしかして?」
「まさかとは思うけど、突然変異で髪の色が変わるのは逆も然りって事かい?」
パチパチ
突然、ランディが笑顔でハズキとシュリに拍手する
「流石は、ハズキさんとシュリさん察しが良いですね。その通り♪ラムサスの愚か者のは、18歳・・・いえ、16歳の時に髪の色が変わったそうですよ。しかも、白銀から黒色にね・・・それが何を意味するかお分かりですか?」
「やめろ!クソ魔族!フレアボム!」
ボムッ!
話を遮るためにラムサスは、ランディにフレアボムを放つ、ランディは爆砕し炎に包まれる
「何やってるんだ、貴様は!神殿の中には至るところに爆発物があるんだぞ!無闇に炎系の魔法を使うんじゃない!」
「やかましいぞ!クソエルフ!へへへっ、ざまぁみろ、この近距離で喰らわしたんだ、手ごたえは・・・」
「・・・つまらないマネを・・・服が汚れたじゃないですか・・・ふん!」
ズドン!(壁に片付けられる音)
「かはっ!」
炎を掻き消して服に着いた埃を払うと上空から降りて着地するとランディは、目の前にいたラムサスを衝撃波で突き飛ばした
「全く・・・馬鹿もここまで来ると表彰ものですね。神殿内には危険物があると言うのに・・・まあ、いいでしょう。それよりも、私はギンガ君に用があるんです」
「なっ!オレに!?どういうことだ!お前とは初対面だぞ!」
さっきまでの不機嫌な顔とは打って変わっての笑顔でギンガに近寄り、肩に手を置いてじっと見つめる
「良い面構えですね。ドリスさんとハズキさんの教育の良さが行き届いているのがわかりますよ。ただ、父親がこんな愚かなもののラムサスなのがねぇ・・・」
(えっ!!・・・・・・)
「はっ?今なんて言ったんだ?もう一度言ってくれないか?」
「!!!どうしてアイツがそのこと知ってるんだよ!?はっ!ハズキ!」
ランディから聞かされた真実に全く理解できていないギンガとギンガに真実を知られてしまった事で再び動揺するハズキを見て、キョトンとした顔でランディはシュリ尋ねる
「何ですか、まだギンガ君に真実を伝えてなかったんですか?あのねぇギンガ君、キミは18年前にラムサスとハズキさんとの間に生まれてきたんですよ・・・おや?これは珍しいあのキマイラロードが私のかけた拘束魔法(バインド)を自力で破るとはね。・・・しかも、かなりご立腹のようだ。ヤツの相手は面倒臭そうなので、私は一時的に撤退しますね。あっ、そうそう、行き先は下の階層ですから、私がいない間にコイツを始末しておいてください・・・ついでにラムサス・・・アナタも命令通りに『仕事』をしなさい」
「待てよ!貴様、ランディとか言ってたな?なんで貴様がハズキの事を知っている!」
下の階層に行こうとした時、シュリが引き止めてランディに問いただすとランディは、笑顔で答えた
「あははは♪そんな怖い顔して睨まないでくださいよ。大丈夫ですよ、シュリさん。そのことなら、下の階層から戻ってきたときにじっくりと教えてあげますから、それまでキマイラロードの相手をお願いします。それでは♪」
「ふ、ふざけやがって!いきなりやってきて、勝手な事ばかり言いやがって!そうだ!そんなことよりハズキ大丈夫か?辛いとは思うが、今は目の前のコイツを倒さないと始まらないぞ!ギンガに説明するのはその後だ!」
「あ、ああ・・・わかってるよ・・・」
「おい・・・待てよ姉貴・・・」
2人がキマイラロードと対峙しようとした時、ギンガがハズキの肩を掴み深刻な表情でハズキとシュリに問い詰める
「ギンガ!今は自問自答している場合じゃないだろ!」
「うるさい!俺にはこっちの方の方が大事だ!さぁ、答えろよ姉貴!」
「・・・ギンガすまない!!・・・」
ドコッ
ハズキはギンガの問いに答えず、トラースキックでギンガを思いっきり突き飛ばした
「かはっ!な、何だよそれ!」
「けっ!バカかお前は、あんなバケモノを前にして呑気に話ができると思うかぁ?」
「ラムサス!いい気なもんだな!姉貴たちが戦ってるって言うのに、お前は高みの見物かよ!」
ランディの放った衝撃波で壁に突き飛ばされて気絶したと思われたラムサスだったが、そんな事はなくランディがいなくなったことを確認すると呑気にタバコを吸っていた
「おいおい~実の父親の名前を呼び捨てにした挙げ句にお前呼ばわりかよ。親に向かってなんて言う口の聞き方だ」
「何が親に向かってだ!お前が父親だったなんて虫酸が走る!そうとも知らずにお前に憧れてた自分に腹が立つ!」
「がはははっ、言うじゃないか。それよりも知りたいんだろう?自分が生まれて来るまでの経緯って話をよ」
「ラムサス!」
ドゴンッ!
ラムサスがギンガに出生の真実を話そうとした時、ハズキが背を向けた状態で声を荒らげる
「お前がどこまで知っているか知らないけど、この事はお前が話す資格はない!もし話そうものなら容赦しないぞ!」
強い口調で言い放ったハズキは、ギンガをチラッと見ると無言でキマイラロードに向かっていった
「おー怖っ♪ありゃマジだな。はぁ~つまんねーの.あいつらがキマイラロードを相手にしている間、何をやってればいいんだ?なぁ、ギンガ?」
「お、俺に聞くな!大体、お前も冒険者なら姉貴たちと一緒に戦えよ!俺だって戦えるものなら既にやっているんだ!」
「へいへい、さいですか~。まぁ、その様子だと戦えないわなぁ、そんなに震えてちゃーね。初めて見るやばい魔物だもんよ、駆け出し冒険者じゃ感じたからよ」
吸っていたタバコをその場で投げ捨てて、顔を青ざめて震えているギンガを見てニヤニヤとしているラムサスが持っていた杖でギンガを突っつく居ているとギンガは杖を振り払う
「何言ってやがる!お前だってあの魔物に恐れ慄いて何もしてねーじゃねーか!」
「ばーか♪俺の場合は、『仕事』のためにこんなくだらない依頼に付き合ってやってるんだ」
「仕事だと?どう見ても姉貴を利用して、あぶく銭を稼いでるだけにしか見えねえぞ」
ギンガの言葉にチッチッチッと人差し指を出しながら手を振ってラムサスは答える
「違うんだなぁそれが♪本来の目的はもっとデカい仕事さ。そう・・・デカい仕事をな・・・くっくっくっ!」
➖ランディサイド➖
「さてっと・・・あそこに『例のモノ』を・・・はてっ?人の気配・・・今ここで鉢合わせになると厄介ですね。ここは身を隠すのが得策・・・ステルス!」
一時的にハズキ達から離れて最下層に向かったランディは、その途中で人の気配を感じ取りステルスの魔法を自分にかけて身を隠した。すると、逆方向からナツコ率いるパーティーが歩いてきた
「それでナツコ、その『カクダントウ』と言うのは、そんなに危ないものなのか?」
「当たり前や、核弾頭って言うのはウチの前世の日本て言う国で大昔に戦争で使用された爆弾・・・てその兵器は投下されると甚大な被害になるんや。しかも、その兵器の中には爆発せず地中に埋れているモノもまである」
「ええっ!それって、つまり不発弾ってことですか?」
「その通りやで言うなれば不発の核弾頭や」
(こ、この少女はばかですか?・・・核弾頭と不発弾は、全然ものが違うのになぜ一緒にしているんですか?)
グオォォォ!(咆哮)
「今のってキマイラロードよね!?もしかして、誰かが戦ってるんじゃない?」
「ああ,そのようだ!急ぐぞ!」
上の階層からキマイラロードの激しい咆哮が鳴り響くとナツコ達は走って上の階層に行こうとしたのだが・・・
「まさかとは思うけど、彼女らに加勢する気じゃ・・・やれやれ、今、あの人たちに加勢されては面倒です。足止めをさしてもらいますよ」
すると、ランディは、手をかざして、魔方陣を描くとそこからゴーレムを呼び出しナツコ達の前に立ちはだからせた
「ゴーレムだと!なんでこんな所に!」
「しゃーない!出物腫れ物所嫌わずや!行くでお前ら!」
「ナツコさん・・・ソレ使いどころ間違ってます!」
「ほらそこ!漫才やってないでちゃんと集中してよ!」
・・・・・・
➖ナツコサイド➖
それから、ゴーレムの戦闘か数十分後・・・多少の苦戦はしたものの難なく勝利したナツコ達、パーティーのリーダー『クラーク』はゴーレムの残骸を見ながら疑問に感じていた
「どないしたんクラーク?そんな難しい顔しながら、ゴーレムの残骸を見つめて、何かあるんか?」
「おかしいんだよ、なんでこんな神殿に『ミスリルゴーレム』が出てくるんだ・・・このゴーレムは、ゴーレムの中でも上位クラスだぞ!」
「確かにそうね。そもそも、キマイラロードだって、ここに住み着いているのもおかしいのよ」
「なあ、全然話が見えないやけど・・・何があるんや一体」
1人だけ状況に飲み込めていないナツコ以外の3人は無言でうなずいた
「ナツコさん、今すぐこの神殿から出ましょう!」
「どないしたんリゲル?急やな」
リゲルと呼ばれた青年も難しい顔でナツコを見る
「妙だと思わないんですか?財宝だけならまだしも、その中に危険物が紛れ込んでるんですよ。その上、上級モンスターが出現なんて、明らかに誰かが意図的にやってます」
「そういう訳だ、このことをレガイア国王にいち早く報告するんだ」
「なんや世話しないなぁ、まぁウチらはあくまで探索やから深入りできんからしゃーないか・・・さてと,どうやらゴーレムさんがおかわりみたいやで」
ミスリルゴーレムを倒して、上の階層に向かおうとした矢先にもう1体のミスリルゴーレムが現れた
「ちょっと!これって明らかに誰かが私たちの行く手を阻むためにやってない?」
「誰かって誰ですか?魔族の仕業とでも言うんですか?」
「これは多分・・・アレや・・・ゴルゴムの仕業や!」
(・・・・・・はっ?ゴルゴムって何?)クラーク&リゲル&リサ
「こんな時に馬鹿なこと言ってるんじゃない!くるぞ!」
➖ランディサイド➖
ナツコ達がミスリルゴーレムと戦うのを見届けたランディは最深部に来ていた
「ほう、本当にあったとは・・・コレがアイツの言っていた『核弾頭』ですか。コレに『ゲンシリョク』と言うものが・・・ソレを取りに行けとは・・・転生者の考えている事は理解できませんね」
ランディが魔力を使って核弾頭を自分の側に引き寄せて、丸い空間を作り出すと核弾頭をその中に入れた
「さてと、目的なものを手に入れたわけだし、そろそろ戻るとしますか。あちらも戦闘が終わる頃でしょうしね。それにあのギンガくんもしかしたら・・・・」
➖ギンガサイド➖
ランディが最下層へ向かってから15分程度の時が経ち、ハズキとシュリは苦戦を強いられていた。そして、ギンガはキマイラロードに恐れおののき足がすくんでいた
「はぁ~何やってるんだか、S級冒険者2人揃って苦戦するなんてねぇ。そんなんだとS級冒険者の中が泣くぞぉ」
2人の戦闘をニヤニヤしながら観戦しているラムサスがあからさまな煽りヤジを飛ばしているとギンガが鋭い目つきでラムサスを睨みながら詰め寄り胸ぐらをつかんだ
「いい加減にしろよ貴様!こんな状況で何もしないでヤジ飛ばしてるだけのやつが偉そうに!」
「いいじゃん別にぃ。俺は勝ち目のない戦いはしないんだよ。まあ、あの2人がくたばってる頃には、あの化け物も瀕死になってるだろうからな、その時になったら、戦ってやるよ」
「このやろう・・・じゃあ何か?今回、姉貴をパーティーに引き入れたのは利用するためだったって言うのか」
ラムサスはギンガをあざ笑うかのように見下しながらギンガの手を払いのけて新たにタバコを取り出し吸い出す
「当たり前だろ、俺は利用できるものはとことんに利用する。ハズキはなんだかんだ言いながら俺に未練があるようだからな、だからそこを突いて利用してやったんだ。くはははつ、早い話がホストに貢ぐ女みたいなヤツさ♪」
あまりにも、自分勝手なラムサスの言い草にギンガは無言で反射的にラムサスを殴ろうとしたが・・・
「・・・甘え!」
ラムサスは、ギンガの拳を楽々と受け止めてカウンターに膝蹴りをみぞおちに叩き込み、さらに髪をつかんで右フックを顔面に放った
「かはっ!」
「なめんじゃねーよ、お前みたいなガキの喧嘩戦法が叶うとでも思ってたのか?」
うつぶせになって悶絶するギンガの頭を踏みつける
「くそ!俺は、こんなクズにも勝てないのか・・・」
グォォォン(咆哮)
ドゴォン!
キマイラロードの攻撃をモロに喰らって、そのまま飛ばされてギンガの近くの壁に叩きつけられるがすぐさま立ち上がるが、立て続けに上級依頼をやってきたことで疲労困憊のハズキは、ふらついて膝をついてしまう
「姉貴!!」
倒れたハズキに駆け寄ろうとしたギンガだったが、ハズキはギンガを突き飛ばして怒鳴った
「何やってるんだギンガ!アンタは足手まといだ!早くここから逃げろ!」
「でも、ボロボロの姉貴を見捨てるなんてできるかよ!」
ハズキはフラフラしながら立ち上がりギンガの顔を見ながら何かを言おうとした時、シュリがバックジャンプで一時退避してきた
「しぶとい奴だ、これじゃあ、キリがないぞ!(やばいな、ハズキは立っているのがやっとってところか・・・ラムサスはあてにできない・・・せめてギンガが戦えれば・・・・・・!!!ハズキ!!」
満身創痍なハズギに負傷しているキマイラロードが襲いかかろうとしていた。受けたダメージは少ないが疲労が出てきているシュリも判断が鈍くなって行動が遅れてしまっている。ラムサスは我かんぜずで笑ってみているだけ、そしてギンガも恐怖のあまり動くことができずにいたが目の前でハズキがキマイラロードのかぎ爪で殺されそうになった瞬間・・・
アイスジャベリン!
グォォォォォォン
ギンガが無意識に魔法『アイスジャベリン』を無数放ってキマイラロードの両眼や体に刺さっていて、キマイラロードが激しい悲鳴とともに悶絶寸前であった
「ギ・・・ギンガ?アンタ!?」
「マジかよ・・ ・今、無詠唱だったぞ!」
隣にいたラムサスが予想外の出来事に咥えていたタバコをぽろっと落として唖然としていた。当然、シュリも驚いていたがキマイラロードの虫の息とわかった瞬間、呆然としていたハズキに大声で一喝する
「・・・はっ!!ハズキ!今がチャンスだ!ヤツにトドメだ!」
シュリの一喝で我に返り、手に持っていたバスタードソードを両手で強く握って、目の前のキマイラロードの口の中にめがけて突き刺しそのまま、渾身の力でキマイラロードの脳を斬り上げた
ギュオオオオオオ(断末魔の叫び)
激しい断末魔の叫びとともにおびただしい流血が雨のように降り注ぐとキマイラロードは、崩れ落ちるように倒れてそのまま動かなくなった
「す、すげぇ・・・姉貴ってあんなに強かったのか・・・これからはあまりからかわないようにするか」
「ほう・・・流石は『武神』の娘ですね。あれだけの不利な状況でキマイラロードを倒すとは恐れ入りました。それにしてもギンガ君・・・と言いたいところですが、その前に本来のやるべきことをなさねばいけませんね・・・(ラムサス・・・ラムサス・・・聞こえますか?)」
キマイラロードを倒したと同時に戻ってきたランディがランサスにテレパシーで話しかけた
➖ランディサイド➖
「(ラムサス・・・ラムサス・・・聞こえますか?)」
「ん?誰だ?誰が話しかけてんだ?」
「(はあ、わからないんですか?全くこの状況であなたに話しかけるのは私以外にいないでしょ。頭悪い人ですね」
「ああん!ランディかよ!いちいち一言多いんだよ!」
テレパシーを送ってきた相手がランディだとわかった瞬間、不機嫌な態度になったラムサスだったか、ランディは軽くスルーして話を進める
「(そんなことより、あなたには本来やるべきことがあるでしょう。今ならハズキさんを始末できますよ。お情けで今から目の前にロングソードを送りますから、それでハズキさんを始末なさい)」
「クソがこっちが逆らえないと思って顎で使いやがって・・・とは言うものの、命令通りにやればたんまりと報酬がもらえるんだ、やるしかねぇわな」
目の前にロングソードが転送されて手に取ったラムサスは、ハズキを殺すために気づかれないように、ゆっくりと近づくのであった
「(ふふっ、こういうことには慣れているのか心得ていますね。いくら馬鹿でも何か取り柄があるわけですが・・・どうやそうもいかないようですね流石は、S級冒険者のシュリさんだ。ラムサスに気を許してないだけにいち早く感づいているようで・・・ですが、そうさせません。バインド!)」
「ぐあっ!バインドだと!?くっ!それよりもハズキ!気をつけろ!後ろからラムサスか狙ってるぞ!」
➖ギンガサイド➖
時は数分前にさかのぼる
キマイラロードの攻撃からハズキを守るために無意識に無詠唱で氷系魔法『アイスジャベリン』を放ったギンガは魔力を使い果たして疲労困憊となっていた
「はあはあ、俺が・・・魔法を使った?どうして?・・・はっ!それよりも姉貴だ!姉貴!」
ギンガは慌てて周りを見渡すとそこにはキマイラロードにトドメを刺したハズキが立っていた。ハズキは鼬の最後っ屁だったのか力を使い切り、その場で膝をついていた
(よかった!無事だったか!あの魔物を倒したんだ。それにしても無茶しやがって、しゃーない肩貸してやるか)
「おーい、姉貴・・・!!!ラムサス?アイツ、姉貴の背後に・・・」
(ラムサス、アナタには仕事を命じたはずです。『ハズキの殺害』)
ランディの言葉を思い出し、ラムサスに視線を受けると右手にロングソードを持っていた。拘束されているシュリもそれを見逃さずギンガに伝えた
「ギンガ!」
「わかってる!あの野郎、やっぱり姉貴を殺そうとしていたのか!それにしてもロングソードなんてどこから・・・って姉貴を助けないと!俺が助けないでどうする!!くらえ!」
ギンガは近くにあった瓦礫を拾って、ラムサスの背中にめがけて投げた
どむっ!
「ぐあっ!」
投げた瓦礫はラムサスの背中見事に命中しラムサスが悲鳴をあげながら倒れ込む、ラムサスの悲鳴でハズキも気づき後ろを振り向くとラムサスがうずくまっていた
「ラ、ラムサス?お前、何をしようと・・・それはロングソード?まさかお前!」
「・・・・・・」
「危なかったな姉貴、大丈夫か?ラムサスなら俺が投げた瓦礫がもろに背中に命中して気絶したぜ。とりあえず縛ってレガイア騎士団に突き出すか?」
「油断するなギンガ!そいつは、卑怯で姑息なやつだ!己のためならどんなことだってするぞ!」
「・・・・・・・・・」
「何言ってるんだよシュリ、アイツには俺が思いっきり瓦礫を背中にかけてぶつけてやったんだから、もう虫の息だぜ?恐れる事はないだろう?」
バインドで拘束されているシュリがギンガに伝えるがうずくまっていたラムサスが顔を見せずに無言で立ち上がると右手にロングソードを持ちフラフラとしながらギンガに近づいていく
「はははっ・・・参った参った・・・背中にモロに入ったぜ・・・これは予想外のダメージだ」
「・・・それで?何が言いたいんだラムサス?」
「決まってるだろ、こっちには抵抗できる力がなくなったのさ、生憎、俺は回復魔法が使えないんだ。だから、ここで抵抗しても痛い目に合うだけだからな、シュリもあの様子だとバインドを解いて応戦してくるだろうしよ。だから、素直に投降するぜ、その後は騎士団に突き出すなりしてくれて結構だ」
「随分と潔いじゃないか、まぁその状態じゃ抵抗のしようがないもんな」
苦笑いをしながら降参のポーズを取り、ロングソードをギンガに手渡そうとするラムサスを見てハズキとシュリが叫ぶ
「ギンガ!ラムサスの言ってることを信じてはダメ!シュリ姉、まだバインドは解けないの!(くそ!疲労が溜まりすぎて、体が思うように動かない!せめて少しだけでも動ければ・・・)」
「このバインドかなり厄介だ、もう少しで外せるのに!」
「2人とも何をそんなに焦ってるんだ?コイツの今の状態なら俺でも簡単にねじ伏せることができるぞ。とりあえず、拘束してレガイアに戻って騎士団に引き渡そうぜ。コイツことだ後から余罪が芋づる式に出てくるだろうよ。そういうことだからラムサス、まずはロングソードこっちによこせってあぶねっ!何投げてん・・・ぐふっ!」
ドスッ!
ギンガがロングソードを受け取ろうとした瞬間、ラムサスがロングソードを渡すと見せかけてギンガに向けて放り投げて油断させるとラムサスは、ギンガの腹部にボディーブローを放つとすぐに胸ぐらを掴むと一心不乱に殴る蹴る暴行を行う
ガンッ バキッ ドガッ ボコッ
「言いたいことを好き放題言いやがって、このクソガキが親に立てつくとはなぁ!どうだ?お父さんは強いだろう?お前は生かして利用してやろうと思ったが急遽変更だ。親に立てついた罪を死んで詫びろ!」
(お願い動いて私の体!あの子を!ギンガを!私のたった1人の大切な子供を母親の私が守らないと!母さん、父さん・・・)
ドゲシッ
「かはっ!」
ラムサスに散々殴られたギンガは最後に蹴り飛ばされ地面に倒れる。そして、ラムサスが放り投げたロングソードを拾い意識が朦朧としているギンガの前に立ってロングソードを突き刺す形で上げる
「くっ・・・クソッタレが・・・クズ野郎が・・・!」
「やめろラムサス!・・・よし!バインドが解けた!間に合うか!」
全身を殴られ動くことができないギンガを助けようとシュリがククリ刀をラムサスめがけて投げようとするが・・・・・・・
ズサァァッ!
・・・・・・
NEXT 母さんと呼べなかった・・・後編
「サロメの妹たちの件は、アドンの独断だ!俺が殺ったのはドリスのババアだ!」
・・・・・・
思いもよらぬラムサスの言葉にハズキ達は凍りついた・・・
いきなりのことでハズキ達の理解が追いつかず無言のまれ状態だったが痺れを切らしたアドンが割って入って来た
「いつまで呆けてんだよ!ラムサスの話を聞いてなかったのか?って言うかソレ喋っちゃってよかったのかよ?なあ、ラムサス?」
「う~ん・・・別に構わないよん♪どうせハズキとサロメはここで始末する予定だったしよ。ぶっちゃけ、2人とも思ってたより使えなかったからな・・・特にサロメが!」
ラムサスは思い出したかのように怒りだし、足元にあったの大きめの瓦礫を拾ってサロメに投げつけるとギンガが前に出て飛んできた瓦礫を片手でキャッチしてそのまま握り潰す
「・・・黙って聞いていればなんだよ!ジョージ・・・お前、姉貴を利用しただの始末するだの挙句の果てに母ちゃんを殺しただと!?どういうことか説明してもらおうか!」
戦闘の邪魔にならないように避難していたギンガがいつの間にかラムサスの前に立ち、さっきの言葉の意味を知るために問いただすのであった
「だーかーらぁ!ジョージは偽名だっつーの!俺様の本名はラムサスだ!・・・はぁ~もういいや面倒臭い・・・それでドリスの死の真相を聞きたいんだろう?とりあえず、まず最初にサロメはドリスを殺していない。俺がサロメに持たしたものは毒薬ではなく、ただの即効性のある下剤だ」
「下剤?なんで下剤なんだ?」
「それはな、ドリスは知っての通り『武神』の通り名を受け継ぐほどの凄腕の剣闘士だ。そんな奴が普通に毒入りの水を飲んだだけでは簡単には死なないらしい それどころかドリスは自分の身体のアドレナリンを分泌することにより服用した毒を浄化してしまうようだ」
「・・・確かに母ちゃんは得意体質の人間だって姉貴が言ってた。そうだろう姉貴?」
「ああ、そうだよ。母さんは武道家でもあったから呼吸法を使うことによって自由にアドレナリンを分泌することができた。・・・それで・・・下剤を飲ました理由は?」
がお・・・(キマイラロードの小さいうめき声)
ラムサスが2本目のタバコを吸いながら壁にもたれかかると話の続きをする
「抵抗力だ。通常時は意識がある分、抵抗力があって毒を喰らってもさっき説明したようにアドレナリンを分泌して毒を浄化してしまう。だから下剤を服用させて用を足たせるんだ。知ってるか?人間は大量に排尿排便をすると急激に血圧が下がるんだ。そうするとどうなる?めまいやふらつき・・・最悪の時には意識を失うんだ。この後、俺の言いたいことがわかるよな?」
その言葉にピンと来たハズキが足元に落ちているバスタードソードを拾って剣のグリップを強く投げる
「血圧の下がった母さんはめまいに襲われ意識を失った・・・そうなれば、抵抗力に弱くなる・・・そこでラムサスお前が母さんに毒を・・・」
(やっぱり あの時コロシアムでコイツが目撃されたのは本当だった・・・)
「その通りだ 用を足したドリスは試合会場に向かう途中に血圧が下がって、意識が朦朧として気を失いかけて壁に横たわっていた そこでコロシアムのスタッフに変装した俺がドリスにかけより介抱すると見せかけ脇腹に魔族のランディから渡された毒薬を打ったんだ。意識を取り戻したドリスは、何も知らずに試合会場に向って武舞台に立つとドリスは急に苦しみ出して穴と言う穴から大量の血を吹き出してそのまま死んでしまいましとさ♪」
「だははは!あの時のドリスの死に方は、マジウケるぅ♪『武神』の通り名を持つ剣闘士様がこうも惨めな死に方をするとはね」
ドリスを冒涜したお2人に激しい怒りを覚えたギンガがラムサスの胸ぐらを掴んで思いっきり壁にぶつけると怒号を放つ
「何がおかしい!そんなに!そんなに人が死んだのが面白いか!ええっ!?ラムサス!」
「・・・お前さぁ・・・なに胸ぐらつかんでんの?」
「おい!お前、俺の話聞いてたか?質問を質問で返してんじゃねーよ!」
「だあぁ!お前は誰の胸ぐらつかんでんだ!」
胸ぐらを掴まれて気に触ったラムサスがギンガの手を振り払って突き飛ばし咥えていたタバコを吐き捨てて新たなタバコを咥えて火をつける
「なあ、ハズキよぉ お前さぁ、自分の息子にどう言う躾けしてんだよ?俺はコイツの・・・」
「それ以上は言わせない!」
ビュンッ
何を言うかわかっていたハズキはラムサスが言い切る前に携帯していた投げナイフをラムサスに投げて阻止した
「あぶね!この野郎・・・ハズキ!てめー!何しやがる!」
「お前が言おうとしている事はわかってる!お前の口からは絶対に言わせない!」
(そうさ・・・この事は、アタシ自らギンガに伝えなきゃダメなんだ!)
「はん!ふざけやがって!・・・いつまで泣いてんだ!サロメ!鬱陶しいんだよ!」
ナイフを投げつけられて、さらに頭に来たのか、泣き崩れているサロメに暴言を浴びせた
「そうそう、いつまでウジウジしてんだか知らんけど・・・それにしてもさぁ・・・コイツと、あの妹で、こうもルックスの差が激しいのなんてびっくりだぜ。不細工な姉に美人な妹って世の中不思議なことがあるもんだね・・・嗚呼、何かキュルケちゃんを襲っちゃったことを思い出しちゃったよ」
「おい、アドン お前ねぇこんな時に幼女を襲った時のことを思い出して、何ムラムラしてんだよ」
すると、アドンが両腕で自分の体を抱えながらクネクネと体を動かし悶え出す
「だってよぉ、幼女だぜ!あの日の夜は最高だったんだ!嫌がるキュルケちゃんを・・・う~ん♪幼女最高!・・・おっと言っとくけど、ヒルダを犯ったのはホルスだからな。ホルスのヤツも楽しんでたぜ♪あっ!そう言えば!そのヒルダなんだけどよ、犯された後に玉砕覚悟でおれっち達にナイフを持って歯向かって来やがったんだ。儚い抵抗だったけどキュルケちゃんが穢されて激怒してたからなぁ、ああ言うのを窮鼠猫を噛むって言うんだよなぁ?その甲斐あってホルスの首を切り裂きやがってホルスのやつを殺しちまったんだ。いや~、女って怖いねぇ。でも、その後、おれっちが殴り殺してやったよ。後始末の放火もやったしね」
「アドン、お前の幼女好きも大概だな。ところで、旦那のほうはどうしたんだ殺したのか?」
「んにゃ、殺してねーよ。ってか旦那のヤツ冒険者なんだけど、仲間の19歳の女冒険者と駆け落ちしてたんだよ。しかも、ヒルダ達を好きにしていいぞだとさ、おれっち達クズだけど、あの旦那・・・元旦那も大概のクズだ。まぁ、何にせよ・・・姉妹揃って哀れだねぇ、よよよよ~・・・なんてな♪無様の間違いでしたぁ♪ぶはははは!」
「腐れ外道が!ここまで来ると、怒りを通り越して殺意が湧いてくる!」
「どけっ!シュリ!」
アドンの非道な振る舞いを聞いて憤怒したシュリが持っていたククリで切りかかろうとグリップを握ろうとした時、横から割って入ってきたサロメが左手にタワーシールド、右手にグレートアックスを持ってアドンの前に立ち対峙した
「あらあら、泣いたブタがもう笑ったか(笑)?おっと、いけね♪カラスだったぁ♪」
「・・・お前だけは絶対に私が殺してやる!ヒルダとキュルケの仇だ!」
ズシーン
グルルルルルル(うなり声)
大きい足音とうなり声を上げてハズキ達の背後にサロメが倒してはずのキマイラロードが立っていた
「キマイラロード!?何で!?サロメが仕留めたハズなのに!さっきの攻撃じゃあ、決定打にならなかったのか!?」
「!!!まずいぞ!コイツ、さっきのサロメの攻撃で逆鱗に触れたのか、かなり興奮したみたいだぞ!ハズキ!サロメ!警戒しろ!」
「・・・知るかそんなの!こっちは、目の前に妹達の仇がいるんだ!そんな奴、お前らがなんとかしやがれ!」
グオオオオオン(咆哮)
しかし、息を吹き返したキマイラロードの標的は、自身を攻撃したサロメだった。キマイラロードはそのまま、咆哮を放つとサロメに渾身のかぎ爪攻撃で殴りかかる
「!!!・・・ぐおおっ!」
バゴーン!
「かはっ!」
キマイラロードを無視していたサロメだったが、標的が自分に来ると気づいて咄嗟にタワーシールドで防御したが攻撃力が予想以上の威力で盾を突き破って壁に激しく叩きつけられた。壁に叩きつけられたサロメがぐったりと倒れると、同時にキマイラロードの標的がラムサスとアドンに変わった
「ゲゲゲェ!あのブタと言うかゴリラと言うか図体のでかいサロメが吹き飛んぞ!!・・・!!!って言うかキマイラロードのヤツ、こっちの方を睨んでるぜ・・・もしかして次の標的は、オレらってことぉ?ヤベーよ!なあ、ラムサス?」
「バカ!落ち着けって!こういう時は、冷静な判断が大事なんだ。・・・ん?ぐふ♪どうやら神様は、俺らを見捨てていなかったようだぜ♪
ラムサスが何かを見つけてニヤリと不敵な笑みを浮かべハズキとシュリの居る所までダッシュで2人に近づき飛び蹴りで2人を突き飛ばした。そして、床に落ちていたいちごを拾いサロメの顔に目掛けて投げつけるといちごはサロメの顔に直撃していちごが潰れて汁が顔にべっとりとつくとキマイラロードの標的は再びサロメに向けられた
「おおっ!流石はラムサス!ヤツ習性を利用した頭脳プレイとは恐れ入った!」
「何が恐れ入っただ!自分の身を助けるために、他人を犠牲にするなんて、つくづく外道なやつだ!サロメ!しっかりしろサロメ!」
「ぎゃはははは!無理無理♪キマイラロードの攻撃を盾の上からとは言え、モロに喰らって壁にただ着つけられたんだ、全身の骨がぐ砕けて重傷だぜアレ。まあ、こっちとしてはこの豚が身代わりになってくれて命拾いしたんだから・・・よっと!」
キマイラロードから逃れる為に傍で倒れていたサロメを飛び越えて、失神しているサロメを見下ろしながら、頭を踏みつけて嘲笑う
「最初は役に立たないブタと思ってたけどよ、サロメ殺しに加担させたりキュルケちゃんで、楽しませてもらったりと、案外役に立ったよな・・・案外なぁ♪あとは、あの化け物に美味しく食べられろや♪じゃあな!ぺっ!」
去り際にサロメの顔に唾を吐きかけて去ろうとした、その時・・・
ガシッ!
「あん?何だよ?お前まだ生きていたのか・・・つーか、何足つかんでんだよ。離せよ」
全身打撲で意識不明と思われたサロメだったが、意識を失ってはいなかった
「おい!何してんだ、アドン!早くしねーとキマイラロードが襲い掛かって来るぞ!」
「わかってるよ!でも、このブタが足を掴んで離そうとしねえんだよ!テメー!この死に損ないがぁ!離しやがれ!」
げしっ!げしっ!げしっ!(頭を蹴り飛ばす音)
「・・・絶対に・・・離すか・・・ヒルダとキュルケの仇!」
「ひいぃ!!ゾ、ゾンビかテメーは!」
ガンッ!
サロメは、もう片方の足も掴んでアドンをひっくり返そうとしたら、アドンが大きい瓦礫でサロメの頭部を殴るとサロメは頭から大量の血を流しながら倒れて動かなくなった
「はぁはぁ!ふゅー・・・やっとくたばったか・・・ったく鬱陶しいブタだったぜ。おっと、あぶねぇあぶねぇ、早くコイツから離れえと!」
ぐったりとして意識を失ったサロメを見下ろしサロメから離れようと背を向けた瞬間、意識を失ったサロメが再び立ち上がって、アドンを掴んで高々と担ぎ上げた
➖ランディサイド➖
数分前のこと、ギンガ達より、遅れて神殿入ってきたランディはギンガ達の跡を追っていた
「やれやれ、まだハズキを末できないのですか・・・本当に使えない男だ・・・おや?・・・これはこれは・・・少々面白い展開だから、色々と手助けをしてありますか・・・まずはキマイラロードの動きを止めておきますか。バインド!そして、私の存在を奴らに気づかないために・・・ステルス!」
ランディがキマイラロードに拘束魔法を使って動きを封じて、自分にステルスの魔法をかけると今度は浮遊魔法で空高く飛び上からハズキ達のやり取りを傍観していた
「さてと・・・ラムサスはどうでもいいとして、あの白銀の髪の青年は見物ですね。まさか、こんなところで『あの男の遺伝子』を受け継いで人間がいたとは・・・『白銀の髪』、そして『黄金の瞳』・・・」
➖ナツコサイド➖
神殿の最下層まで降りたナツコパーティーは、キマイラロードの雄叫びを聞いてすぐ様にキマイラロードのいる階まで行こうとしたらナツコ達の行く手を阻まんと言わんばかりに大量の魔物がおそいかかって来たのである
「はぁ~、これ全部片付いたで。それにしても、何やねん、この尋常じゃない魔物の数は?上に登って行くにつれてワラワラとまるで魔物のバーゲンセールやで」
「魔物のバーゲンセールって呑気だなぁ・・・そんなことより、早く上の階に行くわよ!もしかするとここにいるキマイラロードは、普通じゃないわ」
「そうだな、俺の経験から言わせてもらうと本来、キマイラ系は頻繁に雄叫びをあげたりはしない。なのにここにいるやつは、随分と興奮が激しい・・・恐らくは何者かがキマイラロードに何かしたに違いない」
「何者?それって、一体誰なんですか?」
リーダーの『クラーク』が強張った顔をで上の階から聞こえるキマイラロードの叫びを聞きながら見上げている
「・・・魔族か・・・」
「魔族?それって、前にお前が言ってたヤツやな?・・・アニメや漫画でのイメージしかないから、現実の魔族はどんな感じなんやろなぁ?まあ、百聞は一見にしかずや!ほな、上に行こか!」
グオオオオォ(咆哮)
➖ハズキサイド➖
「うあああああぁ!な、なんだコイツ!まだ生きてやがったのか!つーか、降ろせよ!このブタ!」
「サロメ!アイツ、まだ立ち上がる力が残ってたのか?」
「ギンガ、恐らくサロメは愛するものを奪われた復讐心のために無意識に立ち上がっているんだ」
意識を失ったかと思われたサロメだったがシュリの言った通り、サロメは意識を取り戻したわけではなく、復讐心によって無意識に立ち上がって渾身の力を振り振り絞ってアドンを持ち上げていた
「お前は・・・お前だけは・・・アドン!私がぶっ殺す!オラァァァ!」
叫び声とともにサロメはアドンを地面にめがけて渾身のパワーボムを放つ
ズドォォォォォン!!
「がぁはぁ!」
サロメの放ったパワーボムで地面に叩きつけられたアドンは予想以上のダメージでその場で泡を拭いて失神した。パワーボムを決めたことで意識を取り戻したサロメは、失神しているアドンを睨んだ
「はぁはぁはぁはぁ!ざまぁみろ・・・でも、まだだ!お前は殺さないと気がすまない!」
「待つんだ、サロメ!そんな奴、殺す価値もない!」
武器を振り上げたサロメをハズキが止めるとサロメは武器を下ろしてフラフラとしながら立ち尽くす
「・・・はぁはぁ・・・確かに・・・こんなクズを殺したところで・・・はぁはぁ・・・何の特にもならねぇわな・・・でもよ!コイツには、精神的に大きな傷を負わせないとなぁ!」
目の前で大の字で泡を吹きながら失神しているアドンの股間に目掛けてサロメは、自身の全体中をかけたストンピングを放つ
ぶちゃぁ!
何やら生々しく鈍い音がした後、失神していたアドンが両手で股間を抑えながらのたうちまわり悲鳴と泣き叫び出す
「ぎゃあああああああ!いでぇ!いでぇ!い・・・!!!血ぃ!?股間から血ぃ!?へぁ?タ、タマが・・・タマが無い!つ、潰れた?おれっちのキンタマが・・・潰れた!?・・・ぶぇぇぇん!勃たない!勃たないよぉぉぉ!タマがぁ!オレのキンタマがぁぁ!」
「はぁはぁ・・・はぁはぁ・・・へへっ!ざ、ざまぁ・・・みやが・・・れ・・・」
サロメのストンピングで睾丸が潰れたショックで、地面に亀のようにうずくまって大声で泣き叫ぶアドンを見ると糸が切れたかの様に壁にもたれかかって意識を失った
「うへぇ~ 女ってえげつねぇなぁ。何の躊躇いもなく男のキンタマを潰しやがった。つーか、何してんだかアドンのバカは、弱いくせに、調子に乗ってるから足元をすくわれるんだよ」
「随分と余裕があるな、わかってはいたがアドンとの仲間意識がないな。大方、適当に利用する捨て駒なんだろ?昔からやることが変わらないね」
ラムサスは、両手を腰に当ててうずくまっているアドンに唾を吐き呆れた顔で見下す
「いいだろ別によ・・・コイツは所詮、俺の力をあてにして擦り寄ってきた、虎の威を借る狐だったんだからよ。だから、俺もコイツを逆手にとってやったのさ。まぁ、使えないなりに役に立ったからいいんだけど♪」
「アナタがそれを言いますか?」
スッ
突然、ハズキ達の真上から宙に浮いている黒いフードを着た人物が現れた
「!!!ランディ貴様!アレはどういうことだ!キマイラロードが全然弱ってないじゃないか!」
「何を言っているのですか。私はちゃんとアレを半年ほど前にあそこの部屋に閉じ込めて、空腹にさせておいたじゃないですか別に嘘は言っていません。アナタが勝手に勘違いしていただけです」
「ちょっとアンタ・・・いきなり、幽霊みたいに現れたと思えば、そんなフードで身を隠して何者だよ」
「おっと、これは失礼しました」
ハズキに指摘されランディは、フードを脱ぐ
「紫色の肌に白い角・・・お前、魔族か?それにしても随分と優男だな・・・でも、お前かなり強いだろ?私やハズキよりできると見た」
「確かにそうだね。アイツが姿を現す前から感じていた冷たい視線・・・昔、母さんから聞いていた魔族ってのは、あんな奴ばかりなの?キマイラロードなんて本能で感じたのか、恐怖の余り固まってたよ。おまけに魔法で拘束されてたし・・・」
「ほほう、私の強さを一瞬で見抜くとは流石はS級冒険者のシュリさんとハズキさんですね。そこの愚か者とは違い良い洞察力です。強者は己の力量を押し図り、相手の力量も押し図るもの」
「おい!愚か者ってのは、俺のことか!」
ランディの挑発めいた言葉に気に触ったのか、ラムサスは足元に落ちていた拳台の瓦礫を拾い、ランディに目掛けて投げるが、ランディはすました顔で交わしてラムサスを見下して嘲笑う
「くくくくっ、こんなことにも気づかないなんて、やっぱり愚かですね。所詮は、凡人程度の才能しかないのに優秀な魔道師の家系なんのをいいことにやりたい放題やって度重なるトラブルを引き起こしたあげく親から勘当を言い渡されたウィルバーグ家の恥さらし・・・くははは」
「う、うるせぇ!俺は凡人じゃねぇ!その証拠に俺の髪は白銀の色だ!」
その話を聞いたランディは、やれやれとラムサスを憐れみの目で見ながら諭す
「・・・アナタはつくづく愚かですね。父親から教わらなかったのですか?アナタの元居た『ウィルバーグ』は優秀な魔導師の家系、その中でもごく稀に極めて優秀な子供が生まれてくることがあり、その証と言うのが髪の色が『白銀』と言われています。しかし、本当は『白金(プラチナ)』らしく、何でも18歳の時、ある日を境に突然変異で髪のが変わるとか」
「突然変異で髪の色が変わる?それならラムサスの髪の色も変わるはずじゃ!?それなのにコイツの髪は白銀のままだぞ。・・・ん?なあ、もしかして?」
「まさかとは思うけど、突然変異で髪の色が変わるのは逆も然りって事かい?」
パチパチ
突然、ランディが笑顔でハズキとシュリに拍手する
「流石は、ハズキさんとシュリさん察しが良いですね。その通り♪ラムサスの愚か者のは、18歳・・・いえ、16歳の時に髪の色が変わったそうですよ。しかも、白銀から黒色にね・・・それが何を意味するかお分かりですか?」
「やめろ!クソ魔族!フレアボム!」
ボムッ!
話を遮るためにラムサスは、ランディにフレアボムを放つ、ランディは爆砕し炎に包まれる
「何やってるんだ、貴様は!神殿の中には至るところに爆発物があるんだぞ!無闇に炎系の魔法を使うんじゃない!」
「やかましいぞ!クソエルフ!へへへっ、ざまぁみろ、この近距離で喰らわしたんだ、手ごたえは・・・」
「・・・つまらないマネを・・・服が汚れたじゃないですか・・・ふん!」
ズドン!(壁に片付けられる音)
「かはっ!」
炎を掻き消して服に着いた埃を払うと上空から降りて着地するとランディは、目の前にいたラムサスを衝撃波で突き飛ばした
「全く・・・馬鹿もここまで来ると表彰ものですね。神殿内には危険物があると言うのに・・・まあ、いいでしょう。それよりも、私はギンガ君に用があるんです」
「なっ!オレに!?どういうことだ!お前とは初対面だぞ!」
さっきまでの不機嫌な顔とは打って変わっての笑顔でギンガに近寄り、肩に手を置いてじっと見つめる
「良い面構えですね。ドリスさんとハズキさんの教育の良さが行き届いているのがわかりますよ。ただ、父親がこんな愚かなもののラムサスなのがねぇ・・・」
(えっ!!・・・・・・)
「はっ?今なんて言ったんだ?もう一度言ってくれないか?」
「!!!どうしてアイツがそのこと知ってるんだよ!?はっ!ハズキ!」
ランディから聞かされた真実に全く理解できていないギンガとギンガに真実を知られてしまった事で再び動揺するハズキを見て、キョトンとした顔でランディはシュリ尋ねる
「何ですか、まだギンガ君に真実を伝えてなかったんですか?あのねぇギンガ君、キミは18年前にラムサスとハズキさんとの間に生まれてきたんですよ・・・おや?これは珍しいあのキマイラロードが私のかけた拘束魔法(バインド)を自力で破るとはね。・・・しかも、かなりご立腹のようだ。ヤツの相手は面倒臭そうなので、私は一時的に撤退しますね。あっ、そうそう、行き先は下の階層ですから、私がいない間にコイツを始末しておいてください・・・ついでにラムサス・・・アナタも命令通りに『仕事』をしなさい」
「待てよ!貴様、ランディとか言ってたな?なんで貴様がハズキの事を知っている!」
下の階層に行こうとした時、シュリが引き止めてランディに問いただすとランディは、笑顔で答えた
「あははは♪そんな怖い顔して睨まないでくださいよ。大丈夫ですよ、シュリさん。そのことなら、下の階層から戻ってきたときにじっくりと教えてあげますから、それまでキマイラロードの相手をお願いします。それでは♪」
「ふ、ふざけやがって!いきなりやってきて、勝手な事ばかり言いやがって!そうだ!そんなことよりハズキ大丈夫か?辛いとは思うが、今は目の前のコイツを倒さないと始まらないぞ!ギンガに説明するのはその後だ!」
「あ、ああ・・・わかってるよ・・・」
「おい・・・待てよ姉貴・・・」
2人がキマイラロードと対峙しようとした時、ギンガがハズキの肩を掴み深刻な表情でハズキとシュリに問い詰める
「ギンガ!今は自問自答している場合じゃないだろ!」
「うるさい!俺にはこっちの方の方が大事だ!さぁ、答えろよ姉貴!」
「・・・ギンガすまない!!・・・」
ドコッ
ハズキはギンガの問いに答えず、トラースキックでギンガを思いっきり突き飛ばした
「かはっ!な、何だよそれ!」
「けっ!バカかお前は、あんなバケモノを前にして呑気に話ができると思うかぁ?」
「ラムサス!いい気なもんだな!姉貴たちが戦ってるって言うのに、お前は高みの見物かよ!」
ランディの放った衝撃波で壁に突き飛ばされて気絶したと思われたラムサスだったが、そんな事はなくランディがいなくなったことを確認すると呑気にタバコを吸っていた
「おいおい~実の父親の名前を呼び捨てにした挙げ句にお前呼ばわりかよ。親に向かってなんて言う口の聞き方だ」
「何が親に向かってだ!お前が父親だったなんて虫酸が走る!そうとも知らずにお前に憧れてた自分に腹が立つ!」
「がはははっ、言うじゃないか。それよりも知りたいんだろう?自分が生まれて来るまでの経緯って話をよ」
「ラムサス!」
ドゴンッ!
ラムサスがギンガに出生の真実を話そうとした時、ハズキが背を向けた状態で声を荒らげる
「お前がどこまで知っているか知らないけど、この事はお前が話す資格はない!もし話そうものなら容赦しないぞ!」
強い口調で言い放ったハズキは、ギンガをチラッと見ると無言でキマイラロードに向かっていった
「おー怖っ♪ありゃマジだな。はぁ~つまんねーの.あいつらがキマイラロードを相手にしている間、何をやってればいいんだ?なぁ、ギンガ?」
「お、俺に聞くな!大体、お前も冒険者なら姉貴たちと一緒に戦えよ!俺だって戦えるものなら既にやっているんだ!」
「へいへい、さいですか~。まぁ、その様子だと戦えないわなぁ、そんなに震えてちゃーね。初めて見るやばい魔物だもんよ、駆け出し冒険者じゃ感じたからよ」
吸っていたタバコをその場で投げ捨てて、顔を青ざめて震えているギンガを見てニヤニヤとしているラムサスが持っていた杖でギンガを突っつく居ているとギンガは杖を振り払う
「何言ってやがる!お前だってあの魔物に恐れ慄いて何もしてねーじゃねーか!」
「ばーか♪俺の場合は、『仕事』のためにこんなくだらない依頼に付き合ってやってるんだ」
「仕事だと?どう見ても姉貴を利用して、あぶく銭を稼いでるだけにしか見えねえぞ」
ギンガの言葉にチッチッチッと人差し指を出しながら手を振ってラムサスは答える
「違うんだなぁそれが♪本来の目的はもっとデカい仕事さ。そう・・・デカい仕事をな・・・くっくっくっ!」
➖ランディサイド➖
「さてっと・・・あそこに『例のモノ』を・・・はてっ?人の気配・・・今ここで鉢合わせになると厄介ですね。ここは身を隠すのが得策・・・ステルス!」
一時的にハズキ達から離れて最下層に向かったランディは、その途中で人の気配を感じ取りステルスの魔法を自分にかけて身を隠した。すると、逆方向からナツコ率いるパーティーが歩いてきた
「それでナツコ、その『カクダントウ』と言うのは、そんなに危ないものなのか?」
「当たり前や、核弾頭って言うのはウチの前世の日本て言う国で大昔に戦争で使用された爆弾・・・てその兵器は投下されると甚大な被害になるんや。しかも、その兵器の中には爆発せず地中に埋れているモノもまである」
「ええっ!それって、つまり不発弾ってことですか?」
「その通りやで言うなれば不発の核弾頭や」
(こ、この少女はばかですか?・・・核弾頭と不発弾は、全然ものが違うのになぜ一緒にしているんですか?)
グオォォォ!(咆哮)
「今のってキマイラロードよね!?もしかして、誰かが戦ってるんじゃない?」
「ああ,そのようだ!急ぐぞ!」
上の階層からキマイラロードの激しい咆哮が鳴り響くとナツコ達は走って上の階層に行こうとしたのだが・・・
「まさかとは思うけど、彼女らに加勢する気じゃ・・・やれやれ、今、あの人たちに加勢されては面倒です。足止めをさしてもらいますよ」
すると、ランディは、手をかざして、魔方陣を描くとそこからゴーレムを呼び出しナツコ達の前に立ちはだからせた
「ゴーレムだと!なんでこんな所に!」
「しゃーない!出物腫れ物所嫌わずや!行くでお前ら!」
「ナツコさん・・・ソレ使いどころ間違ってます!」
「ほらそこ!漫才やってないでちゃんと集中してよ!」
・・・・・・
➖ナツコサイド➖
それから、ゴーレムの戦闘か数十分後・・・多少の苦戦はしたものの難なく勝利したナツコ達、パーティーのリーダー『クラーク』はゴーレムの残骸を見ながら疑問に感じていた
「どないしたんクラーク?そんな難しい顔しながら、ゴーレムの残骸を見つめて、何かあるんか?」
「おかしいんだよ、なんでこんな神殿に『ミスリルゴーレム』が出てくるんだ・・・このゴーレムは、ゴーレムの中でも上位クラスだぞ!」
「確かにそうね。そもそも、キマイラロードだって、ここに住み着いているのもおかしいのよ」
「なあ、全然話が見えないやけど・・・何があるんや一体」
1人だけ状況に飲み込めていないナツコ以外の3人は無言でうなずいた
「ナツコさん、今すぐこの神殿から出ましょう!」
「どないしたんリゲル?急やな」
リゲルと呼ばれた青年も難しい顔でナツコを見る
「妙だと思わないんですか?財宝だけならまだしも、その中に危険物が紛れ込んでるんですよ。その上、上級モンスターが出現なんて、明らかに誰かが意図的にやってます」
「そういう訳だ、このことをレガイア国王にいち早く報告するんだ」
「なんや世話しないなぁ、まぁウチらはあくまで探索やから深入りできんからしゃーないか・・・さてと,どうやらゴーレムさんがおかわりみたいやで」
ミスリルゴーレムを倒して、上の階層に向かおうとした矢先にもう1体のミスリルゴーレムが現れた
「ちょっと!これって明らかに誰かが私たちの行く手を阻むためにやってない?」
「誰かって誰ですか?魔族の仕業とでも言うんですか?」
「これは多分・・・アレや・・・ゴルゴムの仕業や!」
(・・・・・・はっ?ゴルゴムって何?)クラーク&リゲル&リサ
「こんな時に馬鹿なこと言ってるんじゃない!くるぞ!」
➖ランディサイド➖
ナツコ達がミスリルゴーレムと戦うのを見届けたランディは最深部に来ていた
「ほう、本当にあったとは・・・コレがアイツの言っていた『核弾頭』ですか。コレに『ゲンシリョク』と言うものが・・・ソレを取りに行けとは・・・転生者の考えている事は理解できませんね」
ランディが魔力を使って核弾頭を自分の側に引き寄せて、丸い空間を作り出すと核弾頭をその中に入れた
「さてと、目的なものを手に入れたわけだし、そろそろ戻るとしますか。あちらも戦闘が終わる頃でしょうしね。それにあのギンガくんもしかしたら・・・・」
➖ギンガサイド➖
ランディが最下層へ向かってから15分程度の時が経ち、ハズキとシュリは苦戦を強いられていた。そして、ギンガはキマイラロードに恐れおののき足がすくんでいた
「はぁ~何やってるんだか、S級冒険者2人揃って苦戦するなんてねぇ。そんなんだとS級冒険者の中が泣くぞぉ」
2人の戦闘をニヤニヤしながら観戦しているラムサスがあからさまな煽りヤジを飛ばしているとギンガが鋭い目つきでラムサスを睨みながら詰め寄り胸ぐらをつかんだ
「いい加減にしろよ貴様!こんな状況で何もしないでヤジ飛ばしてるだけのやつが偉そうに!」
「いいじゃん別にぃ。俺は勝ち目のない戦いはしないんだよ。まあ、あの2人がくたばってる頃には、あの化け物も瀕死になってるだろうからな、その時になったら、戦ってやるよ」
「このやろう・・・じゃあ何か?今回、姉貴をパーティーに引き入れたのは利用するためだったって言うのか」
ラムサスはギンガをあざ笑うかのように見下しながらギンガの手を払いのけて新たにタバコを取り出し吸い出す
「当たり前だろ、俺は利用できるものはとことんに利用する。ハズキはなんだかんだ言いながら俺に未練があるようだからな、だからそこを突いて利用してやったんだ。くはははつ、早い話がホストに貢ぐ女みたいなヤツさ♪」
あまりにも、自分勝手なラムサスの言い草にギンガは無言で反射的にラムサスを殴ろうとしたが・・・
「・・・甘え!」
ラムサスは、ギンガの拳を楽々と受け止めてカウンターに膝蹴りをみぞおちに叩き込み、さらに髪をつかんで右フックを顔面に放った
「かはっ!」
「なめんじゃねーよ、お前みたいなガキの喧嘩戦法が叶うとでも思ってたのか?」
うつぶせになって悶絶するギンガの頭を踏みつける
「くそ!俺は、こんなクズにも勝てないのか・・・」
グォォォン(咆哮)
ドゴォン!
キマイラロードの攻撃をモロに喰らって、そのまま飛ばされてギンガの近くの壁に叩きつけられるがすぐさま立ち上がるが、立て続けに上級依頼をやってきたことで疲労困憊のハズキは、ふらついて膝をついてしまう
「姉貴!!」
倒れたハズキに駆け寄ろうとしたギンガだったが、ハズキはギンガを突き飛ばして怒鳴った
「何やってるんだギンガ!アンタは足手まといだ!早くここから逃げろ!」
「でも、ボロボロの姉貴を見捨てるなんてできるかよ!」
ハズキはフラフラしながら立ち上がりギンガの顔を見ながら何かを言おうとした時、シュリがバックジャンプで一時退避してきた
「しぶとい奴だ、これじゃあ、キリがないぞ!(やばいな、ハズキは立っているのがやっとってところか・・・ラムサスはあてにできない・・・せめてギンガが戦えれば・・・・・・!!!ハズキ!!」
満身創痍なハズギに負傷しているキマイラロードが襲いかかろうとしていた。受けたダメージは少ないが疲労が出てきているシュリも判断が鈍くなって行動が遅れてしまっている。ラムサスは我かんぜずで笑ってみているだけ、そしてギンガも恐怖のあまり動くことができずにいたが目の前でハズキがキマイラロードのかぎ爪で殺されそうになった瞬間・・・
アイスジャベリン!
グォォォォォォン
ギンガが無意識に魔法『アイスジャベリン』を無数放ってキマイラロードの両眼や体に刺さっていて、キマイラロードが激しい悲鳴とともに悶絶寸前であった
「ギ・・・ギンガ?アンタ!?」
「マジかよ・・ ・今、無詠唱だったぞ!」
隣にいたラムサスが予想外の出来事に咥えていたタバコをぽろっと落として唖然としていた。当然、シュリも驚いていたがキマイラロードの虫の息とわかった瞬間、呆然としていたハズキに大声で一喝する
「・・・はっ!!ハズキ!今がチャンスだ!ヤツにトドメだ!」
シュリの一喝で我に返り、手に持っていたバスタードソードを両手で強く握って、目の前のキマイラロードの口の中にめがけて突き刺しそのまま、渾身の力でキマイラロードの脳を斬り上げた
ギュオオオオオオ(断末魔の叫び)
激しい断末魔の叫びとともにおびただしい流血が雨のように降り注ぐとキマイラロードは、崩れ落ちるように倒れてそのまま動かなくなった
「す、すげぇ・・・姉貴ってあんなに強かったのか・・・これからはあまりからかわないようにするか」
「ほう・・・流石は『武神』の娘ですね。あれだけの不利な状況でキマイラロードを倒すとは恐れ入りました。それにしてもギンガ君・・・と言いたいところですが、その前に本来のやるべきことをなさねばいけませんね・・・(ラムサス・・・ラムサス・・・聞こえますか?)」
キマイラロードを倒したと同時に戻ってきたランディがランサスにテレパシーで話しかけた
➖ランディサイド➖
「(ラムサス・・・ラムサス・・・聞こえますか?)」
「ん?誰だ?誰が話しかけてんだ?」
「(はあ、わからないんですか?全くこの状況であなたに話しかけるのは私以外にいないでしょ。頭悪い人ですね」
「ああん!ランディかよ!いちいち一言多いんだよ!」
テレパシーを送ってきた相手がランディだとわかった瞬間、不機嫌な態度になったラムサスだったか、ランディは軽くスルーして話を進める
「(そんなことより、あなたには本来やるべきことがあるでしょう。今ならハズキさんを始末できますよ。お情けで今から目の前にロングソードを送りますから、それでハズキさんを始末なさい)」
「クソがこっちが逆らえないと思って顎で使いやがって・・・とは言うものの、命令通りにやればたんまりと報酬がもらえるんだ、やるしかねぇわな」
目の前にロングソードが転送されて手に取ったラムサスは、ハズキを殺すために気づかれないように、ゆっくりと近づくのであった
「(ふふっ、こういうことには慣れているのか心得ていますね。いくら馬鹿でも何か取り柄があるわけですが・・・どうやそうもいかないようですね流石は、S級冒険者のシュリさんだ。ラムサスに気を許してないだけにいち早く感づいているようで・・・ですが、そうさせません。バインド!)」
「ぐあっ!バインドだと!?くっ!それよりもハズキ!気をつけろ!後ろからラムサスか狙ってるぞ!」
➖ギンガサイド➖
時は数分前にさかのぼる
キマイラロードの攻撃からハズキを守るために無意識に無詠唱で氷系魔法『アイスジャベリン』を放ったギンガは魔力を使い果たして疲労困憊となっていた
「はあはあ、俺が・・・魔法を使った?どうして?・・・はっ!それよりも姉貴だ!姉貴!」
ギンガは慌てて周りを見渡すとそこにはキマイラロードにトドメを刺したハズキが立っていた。ハズキは鼬の最後っ屁だったのか力を使い切り、その場で膝をついていた
(よかった!無事だったか!あの魔物を倒したんだ。それにしても無茶しやがって、しゃーない肩貸してやるか)
「おーい、姉貴・・・!!!ラムサス?アイツ、姉貴の背後に・・・」
(ラムサス、アナタには仕事を命じたはずです。『ハズキの殺害』)
ランディの言葉を思い出し、ラムサスに視線を受けると右手にロングソードを持っていた。拘束されているシュリもそれを見逃さずギンガに伝えた
「ギンガ!」
「わかってる!あの野郎、やっぱり姉貴を殺そうとしていたのか!それにしてもロングソードなんてどこから・・・って姉貴を助けないと!俺が助けないでどうする!!くらえ!」
ギンガは近くにあった瓦礫を拾って、ラムサスの背中にめがけて投げた
どむっ!
「ぐあっ!」
投げた瓦礫はラムサスの背中見事に命中しラムサスが悲鳴をあげながら倒れ込む、ラムサスの悲鳴でハズキも気づき後ろを振り向くとラムサスがうずくまっていた
「ラ、ラムサス?お前、何をしようと・・・それはロングソード?まさかお前!」
「・・・・・・」
「危なかったな姉貴、大丈夫か?ラムサスなら俺が投げた瓦礫がもろに背中に命中して気絶したぜ。とりあえず縛ってレガイア騎士団に突き出すか?」
「油断するなギンガ!そいつは、卑怯で姑息なやつだ!己のためならどんなことだってするぞ!」
「・・・・・・・・・」
「何言ってるんだよシュリ、アイツには俺が思いっきり瓦礫を背中にかけてぶつけてやったんだから、もう虫の息だぜ?恐れる事はないだろう?」
バインドで拘束されているシュリがギンガに伝えるがうずくまっていたラムサスが顔を見せずに無言で立ち上がると右手にロングソードを持ちフラフラとしながらギンガに近づいていく
「はははっ・・・参った参った・・・背中にモロに入ったぜ・・・これは予想外のダメージだ」
「・・・それで?何が言いたいんだラムサス?」
「決まってるだろ、こっちには抵抗できる力がなくなったのさ、生憎、俺は回復魔法が使えないんだ。だから、ここで抵抗しても痛い目に合うだけだからな、シュリもあの様子だとバインドを解いて応戦してくるだろうしよ。だから、素直に投降するぜ、その後は騎士団に突き出すなりしてくれて結構だ」
「随分と潔いじゃないか、まぁその状態じゃ抵抗のしようがないもんな」
苦笑いをしながら降参のポーズを取り、ロングソードをギンガに手渡そうとするラムサスを見てハズキとシュリが叫ぶ
「ギンガ!ラムサスの言ってることを信じてはダメ!シュリ姉、まだバインドは解けないの!(くそ!疲労が溜まりすぎて、体が思うように動かない!せめて少しだけでも動ければ・・・)」
「このバインドかなり厄介だ、もう少しで外せるのに!」
「2人とも何をそんなに焦ってるんだ?コイツの今の状態なら俺でも簡単にねじ伏せることができるぞ。とりあえず、拘束してレガイアに戻って騎士団に引き渡そうぜ。コイツことだ後から余罪が芋づる式に出てくるだろうよ。そういうことだからラムサス、まずはロングソードこっちによこせってあぶねっ!何投げてん・・・ぐふっ!」
ドスッ!
ギンガがロングソードを受け取ろうとした瞬間、ラムサスがロングソードを渡すと見せかけてギンガに向けて放り投げて油断させるとラムサスは、ギンガの腹部にボディーブローを放つとすぐに胸ぐらを掴むと一心不乱に殴る蹴る暴行を行う
ガンッ バキッ ドガッ ボコッ
「言いたいことを好き放題言いやがって、このクソガキが親に立てつくとはなぁ!どうだ?お父さんは強いだろう?お前は生かして利用してやろうと思ったが急遽変更だ。親に立てついた罪を死んで詫びろ!」
(お願い動いて私の体!あの子を!ギンガを!私のたった1人の大切な子供を母親の私が守らないと!母さん、父さん・・・)
ドゲシッ
「かはっ!」
ラムサスに散々殴られたギンガは最後に蹴り飛ばされ地面に倒れる。そして、ラムサスが放り投げたロングソードを拾い意識が朦朧としているギンガの前に立ってロングソードを突き刺す形で上げる
「くっ・・・クソッタレが・・・クズ野郎が・・・!」
「やめろラムサス!・・・よし!バインドが解けた!間に合うか!」
全身を殴られ動くことができないギンガを助けようとシュリがククリ刀をラムサスめがけて投げようとするが・・・・・・・
ズサァァッ!
・・・・・・
NEXT 母さんと呼べなかった・・・後編
10
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こんなに転生者がいるのは珍しくびっくり(@_@;)
続きを早く読みたいです✨
楽しいお話ありがとうございます。
すいません、お話の順番が0→2→1→3となっております。
お忙しいとは思いますが直していただけると嬉しいです。
よろしくおねがいします🙇♀