子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん

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第2話 子連れ騎士団長と出会う

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 連れてこられたのは、森の外れにある石造りの重厚な屋敷だった。
 門をくぐると、手入れされた中庭に花が咲き、建物の中は静かで清潔だった。まさか異世界で、こんなところに泊まることになるなんて。まだ夢を見ている気分だった。

 奥の応接室に通されると、鎧姿の男――レオンが向かいに座る。隣には、すでに手を握って離さない少女・エミリア。彼女は一度も私から離れようとしない。

「まずは話を聞かせてもらおうか。……どうやってエミリアと出会った」

「あ、あの……私も、どう説明したらいいのか分からなくて……」

 できる限り丁寧に状況を説明した。帰り道で眩しい光に包まれ、気づいたら森にいたこと。泣いていたエミリアに声をかけたこと。そして、何も分からないまま、ここまで来たということ。

 レオンは黙って聞いていたが、私の言葉に嘘はないと判断したのか、やがて短くうなずいた。

「そうか。……感謝する。エミリアを助けてくれたことに、礼を言おう」

「い、いえっ、私は何も……!」

 慌てて首を振ると、レオンはほんのわずかに目を細めた。だがその表情は読みづらい。たぶん、これが「微笑んだ」ということなのだろう。

「エミリアは人見知りが激しくてな。私の部下ですら、ろくに口をきかん。……それが、初対面のお前には、あの通りだ」

 そう言われて思い出す。現代でも、子供にだけはよく懐かれたっけ。レオンの言葉にうなずきながら、何となくエミリアの頭を撫でた。

「えへへ……おねえしゃん、だいすき」

 笑顔で寄り添ってくるエミリアを見て、レオンは驚いたように眉を上げた。そして、私をじっと見つめる。

「……貴様、育児経験があるのか?」

「えっ、いえっ、全くないです……」

「ないのに、あの対応力……ありえん」

 レオンがぼそりと呟く。私としては、ただ泣いてる子をあやしただけなのに。どうやらこの世界では、それだけでも相当珍しいらしい。

 そこへ、執事のような男性が紅茶を運んできた。思わずぺこりと頭を下げる。

「いただきます……」

 おそるおそる口をつけると、ほんのり甘くて優しい味がした。思わずほっと息をついたその瞬間――。

 ぐぅ。

 こはるの胃から、間の抜けた音が鳴った。

「……っっ!」

 恥ずかしさで顔が真っ赤になる。

「ふふっ」

 笑ったのは、エミリアだった。初めて見る、子供らしい無邪気な笑顔。続いて、レオンも微かに口元をゆるめる。

「……そうか。腹が減っているのは当然だな。夕飯を用意させよう」

「い、いいんですか!?」

「当然だ。客人として迎えた以上、もてなすのは礼儀だ」

 騎士団長という肩書きに違わぬ責任感の強さ。だがその一方で、娘の笑顔を何よりも大事にしている――その姿に、胸が少しだけ温かくなった。

「……なら、一晩だけ、泊まっていってくれ」

「えっ……」

「エミリアがあれほど懐いた相手は初めてだ。すぐに帰す気にはなれん」

 その言葉を聞きながら、エミリアの小さな手を見つめた。頼るように、自分の指をぎゅっと握っている。

「……分かりました。ご迷惑でなければ、少しだけ、お世話になります」

 そうして、私は異世界での最初の夜を、騎士団長とその娘と共に過ごすことになった。
 自分でも知らないうちに、異世界での居場所が、少しずつ生まれ始めていた。
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