子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん

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第19話 選択

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「……帰還の魔法式が、完成しました」

 ユリウスさんがそう告げたのは、夕焼けが差し込む図書室だった。

 私は開きかけた本をぱたんと閉じて、顔を上げた。

「帰還……って、あの、元の世界へ?」

「はい。条件つきですが、そちらへ帰ることができます」

 この異世界に来てから初めて、へ戻るという可能性を目の前に突きつけられて……正直、私は混乱していた。

「でも、どうして今になって……?」

「実は、こはるさんの記録映像が向こうで広まったとき、あちらの世界の座標情報の一部が反応していたんです。魔法的な残留情報というか……」

「……SNSって、こわい」

 思わずつぶやくと、ユリウスさんが苦笑した。

「ともかく、帰還は可能です。ただし、座標は常に動いているので、この魔法陣が使えるのは長くてもあと三日程度でしょう。……そして、再び帰ってこられるかどうかは、わかりません」

 三日間だけ。
 そのあいだに、一生ここにいるか、帰るか、選ばなければならない。

「……そんな、突然言われても……」

 目の前がぼやけた。
 「帰れる」と聞いたはずなのに、胸の奥が、ひりひり痛んだ。



 その日の夜、私は子供たちと静かな時間を過ごしていた。

 セナくんは私の膝の上で絵本を読み、エミリアちゃんや双子たちはクッションに埋もれて夢の中。
 ガルドさんの子たちも、すっかり安心しきった顔で寝息を立てていた。

(もし、私がこのままいなくなったら……この子たち、どう思うんだろう)

 そんな考えが、頭の中をぐるぐるとめぐる。

 「戻るべき場所」って、いったいどこなんだろう。
 「私らしさ」って、どこにあるんだろう。

 ふと、セナくんがぽつりと呟いた。

「おねえちゃん、……いっちゃうの?」

 答えられなかった。
 けれど、そっと彼の頭を撫でると、セナくんはきゅっと私の服を握りしめた。

「ぼく、またひとりになるの、やだよ」

 その声が、胸の奥に真っ直ぐ突き刺さった。
 私は――もう、分かっていたのかもしれない。



 三日後。
 帰還のための魔法陣は、王宮の転移室にまだ残っていた。

 ユリウスさん、レオンさん、ガルドさん、シリル様――そして子供たち全員が見守る中、私はそっと一歩、魔法陣の方へ足を進めた。

「決断の時だ」

 シリル様が静かに言う。

「こはる。無理するな。俺たちは、どんな選択でも――」

「……ううん。決めました」

 私はみんなの顔を、ひとりひとり見渡した。
 不安そうなセナくん。唇をかむエミリアちゃん。心配げな大人たち。

 そして、胸を張って言った。

「私は――ここに残ります」

 その瞬間、魔法陣がふっと静かに光を失い、床の模様が消えていく。

「ここが、私の居場所です。子供たちが待ってくれる場所、大人たちが信じてくれる場所。……私が、私として生きていける場所です」

 それは、初めて「自分の意志」で選んだ未来だった。

 涙を浮かべて駆け寄ってきた子供たちを抱きしめながら、私はようやく心から思った。

 ――私は、この世界に必要とされている。

 だから、もう迷わない。
 ここで、私らしく、生きていく。
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