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コヨタ

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第18話 過酷?な訓練

第18話・2 頑張って戻るぞ!

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 数十分後。
 輸送車が施設へと戻ってきた。

 のドアが開くと──。

「…………」

 まさに、姿。

 翼を畳んで、できるだけコンパクトになろうと努力している“準龍リル”。

 角が生えている。
 顔の上半分も硬い。
 でも目だけがとっても不安そう。

 職員たちは次々と好き勝手に声を出す。

「……可哀想……」

「いやカワイイ……」

「写真撮っていい?」

 そこにセセラが慌てて制した。

「やめとけやめとけやめとけ!! あいつマジで泣くから!!」

「グル゙ル……(泣きはしねえがムカつく……)」

 そのまま台車に乗せられ、カラカラと運ばれていく。

 どこからどう見ても、ただの珍獣運搬案件。

「で、どうします……?」

 と、研究員。
 その問いにセセラは困惑したまま答えた。

「しばらくこのままで……待つしかねえだろ……」

 リルは(……一生このままだったらどうしよう……)と爪と爪をガリガリさせる。

 一抹の不安を残しつつ、リルの“龍人生活”が幕を開けるのであった。


 ◇


「こんにちは、ラショウさん!」

「あ、こんにちは! お邪魔しています」

 今日、ラショウは機関を訪れている。
 職員たちに挨拶を交わしていると通路の向こうで、見覚えのある黒と赤のグラデーションがチラリと見えた。

「あ……」

 反射的に追うように歩む。

 しかし曲がり角を曲がった瞬間、視界の先で重い扉がガチャンと閉まってしまう。

(……あれ? 今の、リルくんじゃ……)

 一瞬迷ったが、少し進んだ先で別の扉が半開きになっているのが目に入った。

(……こっちのお部屋かな?)

 何の疑いも無く、そのまま中へ足を踏み入れる。
 ……ラショウは普段は真面目でいい子なのだが、リルのことになるとちょっと周りが見えなくなりがちになるのが玉に瑕。

 そしてここが観察室兼だと気づくのは──数秒後のことだった。

 ──ガチャン……

「あれっ……」

 思わず迷い込んでしまった部屋。
 重たい扉とガラス製の壁の向こう、そこにいたのは。

 翼と角と尾と甲殻の、どこからどう見ても龍な生き物……のお座り。

「……え?」

 とラショウの笑顔が凍りつき、1秒の静寂。

「ひい゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛っっっ!!?!?!?」

 絶叫が響き渡った。

 部屋にいた職員たちもその悲鳴に驚き、連鎖するように「ギャーッ!?」と大人たちの悲鳴が上がる。

 ラショウは体を反射的にのけ反らせ、後ずさり、足元がぐらつき、背中からコテンと倒れそうな勢い。

「は!?」

 部屋にいたセセラは誤って入室したラショウを見て驚きつつも、すぐに駆け寄り咄嗟にその体を支えた。

「おい、ラショウ……ついてきちまったのか!? つか大丈夫かよ……」

「ぁわゎわわわゎ…………」

 そしてリルは、「あ……ラショウ!? ちょ……待て、気絶すんな!!」──と言いたいが、言えない。

 準龍リルもパニック。

「グァヴッ! ガル゙ル゙ルルッ! ガウ!(違う! オレだって! ラショウ!)」

 バッ!と手を振り、ガラスに前脚をバンバン、翼をバサバサ。

 その様子が、余計に怖い。

 ラショウは目を見開きながら狼狽える。

「ッ、あ、あのときと、同じ……!? リルくんが、また……あんな姿に……ッ!?」

「……やめてやってくれ。あいつ本気で泣いちまうぞ」

「ギュゥゥ……(そこまでビビられると凹む……)」


 ◇


 既に時刻は夕方。

 研究施設内にあるガラス張りの実験観察ブース。
 中にはベッドとモニター、椅子やテーブルなどの最小限の設備だけ。

 そこにいるリルの翼は畳まれ、角もそのまま。
 顔の半分の甲殻は硬質なまま残っており、真っ赤な視線だけがキョロキョロと動く。

 シエリが様子を伺っていた。

「あの姿で、よく自我が残っている……本当にすごい子だ」

 セセラが続ける。

「……だろ? まあ……戻れないってのは想定外だったけどなァ……」

 ガラス越しのリルは床の上で、おすわりの体制のまま項垂れていた。

 ……どう見ても落ち込んでいる。

 頭を抱えて、

「グルル……」

 伏せた状態でベッドに顔を埋めて、

「……ぷしゅぅ……」

 監視カメラに向かって、

 ──チラッ……

(……見られてる……)

 ぷいっ。

 流暢な言葉を発せない分、普段よりもジェスチャーと目線だけで伝えようとする感情表現の豊かさに、見ている職員たちは──。

「かわいい……」

「紅崎くんのことちょっと好きになってきた……」

「保護したい……」

 そんな職員たちにセセラは呆れ顔。

「だからやめとけって。あいつ本気で怒ったら施設吹っ飛ぶぞ」

 だが、ガラス越しに座るその姿は確かに、どこか寂しそうだった。

 リルはここにいて、まだの帰り道が見つかっていない。


 ◇


 ──翌日。
 龍調査機関・研究棟。

 ガラス越し、今日も静かにする準龍リル。

 朝一番に入った新人研究員が開口一番、「……あれ、めちゃくちゃ哀愁ありますね……」と呟くと、隣の先輩研究員が続ける。

「そう、昨日からずっとあんな感じなんだよ」

 リルは視線だけでこっちを見る。
 紛うことなきジト目。

「いや、めっちゃ見てるし。ごめん、違うんだよ悪気は……」

「グル……ル……(わかってるけど、つれぇ……)」

 ──そして会議室では、ホログラムで再現された準龍リルの変化映像を見ながら、シエリとセセラのふたりが分析を進めていた。

「じゃ、先生。結論として、あの姿のまま意識保ったのは実質初例だ。“準完全龍化”という形で命名は間違ってねえな」

「ああ。でも……このままじゃ、“実戦投入できない可愛い龍”になってしまうな」

「笑えねえ……」

 シエリは手元のタブレットを指で滑らせながら、ふとモニターを見上げて呟く。

「……次の訓練、試してみる価値はあると思う。あの子の自我は、ある意味で今、一番に近い」


 ◇


 ──その頃の隔離ブース内のリル。

 相変わらずちょこんとお座り。
 モニターに小さな電子音が鳴って「ごはんの時間です」と通知が入ると──。

「グルル……(やっとか……)」

 後脚だけで立ち上がるが、前屈みのような体制。おぼつかない足取りでテーブルに向かう。

 しかし。

 翼が椅子に当たり、その感覚に驚いてしまう。

「ギャッ!」

 食器を落とす、拾おうとして距離感がわからず頭をぶつける、顔の下半分ぶにゅ。

「グ……ァ゙ァ゙……」

 やってられっかというような様子は、可哀想というより……もはや愛らしさすら漂っている。

 ──数十分後、ガラスの向こうにシエリが現れた。

 静かにコンソールを操作して、無線のマイクをオン。

『リル、聞こえるかな?』

「……ぐ、る゙る……」

 一応、頷くような動き。

『今から、少しずつ戻る練習を始めてみましょう。……キミ自身の力で、元の姿に戻るための第一歩だ』

 シエリの声はいつになく優しかった。

 リルはしばらく沈黙したのち、「……グルッ(わかった)」と、角の下で頷く。

 翼が微かに揺れて、視線がまっすぐ向けられた。

 戻るという選択肢が、リルの中に確かに芽生え始めている。

 ……むしろ、戻れるならもうさっさと戻りたい……。

「…………」

 白い床に大人しく座る準龍リル。
 口元は真剣、目元も落ち着いている。

 でもどこか不安そう。

 ガラス越しから、マイクを通してシエリが柔らかく声をかけた。

『では、リル。今度は力を内に引っ込める……そんなイメージでやってみようか』

「……グァ゙、ゥ…グルル゙ルルルォ゙……(いや、それが無理なんだよ……)」

『無理じゃないよ。きっとキミならできる。意識ははっきりしているもの』

 横で苦笑いしているセセラが「なんで会話できんだよ……いや龍だからか……」と呟いた。

「つか、毎度思うけど、先生の“感覚でなんとかしよう戦法”すごいよな」

 シエリはその言葉にとくに反応はせず、『……やってごらん、リル』とリルに促す。

 リルは小さくグルゥ……と呻いて、まず呼吸を整えた。

 翼がバサッと開きかけ──。

「ギャヴギャ゙ウ!(ちがうちがう!)」

 翼を無理矢理畳もうとするが、上手くいかない。背中を気にしてじたばた。
 ガラス越しの職員たちは「え? え? 何してるの?」と困惑中。リルも困惑中。

 しかし。

 ──シュウ…………

 じたばた身動ぎするうちに背中から音がして、翼がゆっくりと収縮し始める。

「……オッ!?(……おっ!?)」

 パッと振り返るリル。ガラス越しのシエリとセセラにドヤ顔。

「お、おお……! リルの翼がマントに戻った……! 第一段階、成功じゃね!?」

『フフフ、偉いぞ』

「グルルォオ(すげえだろ)」

 ──が。

 ボシュッ!と音がして翼がすぐに戻った。

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッ(ああああああッ)」


 ◇


 ──数時間後。午後。

 廊下を静かに歩いていたラショウは、セセラに見つかって慌てて止められた。

「おい、お前……また来たのか?」

 ラショウは少しだけ笑って──。

「……はい。怖かったけど……でも、今なら……もう一度、リルくんとちゃんと向き合える気がして」

「まーた気絶しても俺、抱えたくねえんだけど……」

「……あ、えへ……大丈夫です……たぶん」

「ほんとかよ……ま、いいわ。来な」

 ラショウは少し緊張した面持ちで、セセラについていった。

 ──そして隔離ブース前。

 ガラス越しの準龍リルは、午後もジェスチャーと目線で生活中。

 今は、角を持って「折れるかな?」みたいな素振りをして遊んでいた。

 セセラがマイクに声を通す。

『リル、ラショウが来たぞ。……大丈夫だよな? 怖がらせんなよ』

「グル(うん)」

 ──ガラス越しに、ラショウが姿を現した。

 その瞬間、リルが笑顔(のつもり)で立ち上がる。

 ……が。

 前屈みの姿勢、顔は半分甲殻、牙チラ見せ、角ピョコン、翼ちょっとバサァ。

 笑顔のつもりだが、その形相は恐ろしかった。

 ラショウはその迫力にまた圧倒され──。

「ひいッッッ!!!? ……じゃ、じゃなかった……ッ」

 一瞬ビクッとしたが、 ふぅと深呼吸して今度は一歩前に。

 マイク無しでも聞こえるよう、声を張る。

「だ、大丈夫……! リルくん……! 私……ちゃんと応援してるから!」

「……ヴウゥ……」 

 リルは頷きながらちょっと照れてるようにも見えた。

「すごいね、リルくん。あの時よりも、全然……強くて……!」

「……グルルッ……ゥ゙ヴヴゥウウッ(オレだって……成長してんだよ)」

 そんなふたりのやり取りを隣で見ていたセセラ。

「はぁ~……お前ら仲良すぎかよ。……まあ、いいことだけどな」


 ◇


 その翌日、隔離ブースの中。

 リルは床に座りながら、呼吸を整えていた。
 ようやく翼は消えた。角もほんの少しずつ、根元から縮んでいるようだった。

 甲殻に覆われた顔の上半分がじりじりと熱を帯びる。
 まるで皮膚の下で、何かが剥がれようとしているかのように。

 微かに、だが確かに痛む。

(……今度こそ……)

 息を吸い、目を閉じる。
 そのままスッと立ち上がり、両手を軽く広げて体の内にある異質な力を押し込むように意識を傾けた。

 ──パキッ……

 乾いた音が、左耳の辺りで鳴る。

 次の瞬間、甲殻が薄くひび割れ、まるで仮面が砕けるようにパリンッと音を立てて崩れていく。

 黒く硬かった皮膚が剥がれ落ちると、その下から現れたのは。

 見慣れた、いつものリルの素顔。

 角も静かに崩れ、跡形も無く消えていく。
 瘴気の気配もいつの間にか途絶え、周囲にはもう、何の異変も残っていなかった。

「……はあ……」

 やっと解放されたかのような深い息。

 ブース内や観察モニターを見ていた職員たちが、一斉に声を上げる。
 驚き、安堵、そして拍手のような小さな歓声。
 セセラも息を吐き、深く椅子にもたれた。

「……よくやったな、リル……」

 リルはぼんやりした目で立ち上がり、よろめく足で一歩、また一歩とセセラたちの方へ歩く。
 その姿は、まるで長い夢から醒めたばかりのようだった。

 だが。

 ──足元で何かを踏んだ感触。
 視線を下ろして、リルは眉をひそめた。

 ズボンの裾が、ボロボロ。
 シャツもところどころ裂け、擦り切れている。特殊なマントだけは無事だったのが救い。

 準完全龍化の時間が長すぎて、衣類にも影響が及んでしまったようだ。

「…………」

 ガラス越しで見ていたセセラが、ぽつりと漏らす。

「……なんか、一気にみすぼらしくなったな……」

 マントで自らの体を隠すようにしたリルは、死んだ魚のような目でそのまま踵を返し、ブースの隅にそっと体育座りを始めた。

 絶対、誰にも近寄らせないという意志のこもった丸まり方。

「わ……わりい、お疲れ……あとでなんか服買ってやるよ」


 ◇


 翌日、社員食堂前。

 静かに開く扉。
 そこから、恐る恐る顔を出すリル。

「…………っ」

(……いや……もう普通に戻ったんだし……何も……何もおかしくは……)

 目を閉じて深呼吸していたところに、目の前を通りかかった職員とばっちり目が合う。

「あ、紅崎さん……っ」

「……あっ……ど、どうも、先日は──」

 せっかく挨拶したのに職員、3歩で逃げる。

「…………」

 リルの顔が死んだ。

(……オレそんなにこえぇのかよ……)

 その後、エレベーターでも同乗者は減り、休憩所では隅に座っただけで周囲がざわついた。

「いや、完全に人間だろ今!」

「いやでも、“残留龍気”があるって噂で……」

「実はまだ角が生えてるって本当かな」

「えっマジ? 萌えポイントかも(?)」

 完全復帰、とは言え。
 周囲の記憶は、まだ完全には消えていないらしい。

(……っ、何だよ、クソ……)

 リルは面白くなさそうにその場を後にした。


 ◇


 昼下がりの中庭。

 リルがベンチで小さくため息をついていると、背後から柔らかい声。

「……おかえり、リルくん」

「…………」

 振り返ると、そこにはラショウがいた。
 ほんの少し、照れくさそうに。

「……私、ちょっとだけ怖かったけど……今のリルくん、ちゃんとリルくんだって思ってるよ」

 リルは一瞬、何も言えずに硬直する。

 だが、そのまま小さく視線を逸らして、そっぽを向いたままぽつりと呟いた。

「……オレ、ちゃんと戻れてんの?」

 ラショウはニコッと笑って。

「うん、ばっちり」

「…………」

 誰にも見られていなければ、きっとリルの耳は真っ赤だったかもしれない。

 ──同じ頃、研究室では数枚の記録データが投影されていた。

 再現されたリルの変化段階。
 生体データ、心拍、脳波、瘴気濃度、全てが綿密に記録されている。

 シエリがその映像を無言で見つめながら、落ち着いた声で呟いた。

「……今回の件、確かに奇跡だった」

 セセラも同意するように頷く。

「準完全龍化、しかも自我を保ったまま。……実質、ほぼ初成功だ。上は喜ぶだろな」

 しかし、シエリの目は険しいまま。

「喜ぶのは結構。だが、私たちは“準完全龍化これをもう一度やらせた意味”を、本当に理解していないといけない」

「…………」

 セセラは一瞬無言になり、やがて煙草を指先でくるくると回しながら──。

「……あいつ、今回はギリギリだった。もうちょいズレてたら、マジで戻れなかったかもしれねえ」

「もし……があるとしたら──」

 ふたりの目に、再びリルのデータが重なっていく。



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