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コヨタ

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第3話 仲直りの報告

第3話・4 やっぱり仲直りしたい

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「…………ッ!!」

 跳ね飛ばされた咄嗟に手を伸ばし、崖の岩肌を掴むリル。
 だが足元が崩れかけ、もうひと押しで転落しかねない──。

「リルッ!!」

 遠くからレイラの声が響き渡った。
 どこまでも霧の中を切り裂くような、少女の叫び。

 リルの姿が、今にも崖下へと落ちようとしている。

 血で濡れた地面に、龍化した赤い爪を宿した指先が辛うじて引っかかっているだけだった。

「!? ちょっと……なんで……!」

 脚が、自然と動いていた。
 迷っている時間なんてなかった。

 霧と瘴気の間を駆け抜けながら、レイラの心は激しく揺れている。

(あれだけ血を流して……それでも、誰にも頼らずひとりで突っ込んで……)

(……私が足手まといだったから……!!)

 喉の奥がきゅっと締まった。
 やがて、視界に映るリルの姿がはっきりとしてくる。

「クソッ、……ふざけやがって……!!」

 リルは崩れかけた足場を気にしながら、自分の足で立ち上がろうとしていた。

 崖の岩肌に爪を立てるが、引き裂けた腹部から再び血が滴る。

「!! ……いたッ…………」

「……リル……!」

(こんなになるまで……!)

 レイラの思考が──爆ぜた。

「ふ……ふざけんな……ッ!!」

 その声が、怒気と悔しさで震える。

「勝手にひとりで突っ込んで、勝手に傷だらけになって、何様のつもりなんだよッ!!」

 疾風のように跳び上がるレイラ。

 霧を蹴り、足元の岩を連続で蹴って駆ける。
 自分でも驚くほど高く、軽く、体が動いた。

(私には異能なんて無い。龍化もしない。再生能力も無い……)

(けど──!)

「今、動かなきゃって……! それくらいは、わかるからッ!!」

 リルの目の前に到着した瞬間、レイラはリルの腕をガシッと掴んだ。そのまま引き上げようと、力を込める。

「……ッ、レイラ……!?」

「落ちないで! まだやることあるんでしょ!!」

「……ッ」

 その声に、リルは一瞬だけ瞳を見開いた。

 驚きと、なにか遠い感情が混ざったような表情──。

「ったく……ガキのくせに……!!」

「うるさい!」

 レイラは叫ぶ。

「独りで勝手に突っ走って、独りだけで全部抱えようとしないでよ!!」

「…………!」

「私と組まされたのって、そういうことなんじゃないの!?」

 その言葉に、リルの唇が僅かに揺れた。

「…………」

 そして一瞬だけ、目を伏せると──。

「……ああ……そうかもな」

 グッと力を込めて、跳ねると同時に足場が崩れた。

 間一髪で一気に立ち上がり地上へと戻ったリルは、マントを引き直して再び巨大な爪を構える。

「なら……一緒に潰すぞ、レイラ」

「うん……!!」

 “今度はふたりで”──向き合うために。
 両者の影が、再び並んだ。

 霧の中から、異形の怪物が再び迫る。
 獣のような脚で地面を抉りながら跳躍し、瘴気を纏った尾が弧を描いてふたりを薙ぎ払おうと襲いかかった。

「っ、来るッ!」

 身をひねって避けるレイラ。その横を、リルが駆け抜けるように走っていった。

「オレが正面から行く」

「じゃあ、私は側面から……!」

 言葉が噛み合ったわけじゃない。
 だけど、今はそれでよかった。

 すると、怪物の剥き出しの核が一瞬、外気に晒された。

「……!」

(ここしかねえ──!)

 リルが、爪を振りかぶる。

「グ、ォ゙オ゙オ゙ォオッ……ッ……!!」

 その声はリルの喉から上げられた。
 人間の声とは思えない、まるで龍の咆哮のような雄叫びと共に全身の力を右腕に集中させる。

 ──ズバッ!!!

 敵の大量の血がまたひと筋、空を切りリルを汚すが構わない。牙を剥いて唸りながら全力で裂き続ける。

「グル゙ル゙ル゙ル゙ッ……!!」

 ──ギィ゙イ゙イ゙イ゙ッッッ……!!!

 耐え切れず、異形の装甲が音を立てて砕けた。

「──今!!」

 レイラも飛び込む。
 細身の体が回転し、地面を蹴って跳ぶ。

 正確に、狙い澄ました一撃。

 レイラが持つ武器──解析用ブレードの刃が、異形の中心に突き立った。

 ──ドスッ!!

「ぐうう……ッ!!」

 異形の怪物がうねる。

 ──ギィ゙イ゙イイッ……ィ゙ィ゙ィ゙……ッ……!!

 骨と瘴気が悲鳴のように軋みながら、ついに──その巨体が崩れ落ちた。

「…………!」

 しばしの沈黙。

 立ち上る灰。漂う瘴気がゆっくりと消えていく。

 そして──静寂。

「……やった……?」

 肩で息をしながら問うレイラ。
 リルは、尚も周りを見渡して状況を確認すると──。

「…………ああ」

 そう言って、右手の龍化を解くと膝をついた。

 再生中の傷がまだ完全には塞がっていないが、それでも、リルは息を吐いて呟く。

「……終わった」

 レイラもその隣にへたりこみ、地面に手をついた。

「……はあ……っ……」

 体が、重い。

 けれど、どこか不思議な安堵があった。

 ──初めての共闘。
 噛み合わなくても、やり遂げた共通の勝利……。

「ふふっ……」

「……何だよ」

「なんでもない。……あなた、思ったより根性あるんだなって」

「……うるせえ……」

 ぎこちなくも、確かに並んだ影。

 両者に装着された無線に、安堵したようなセセラの声が同時に届く。

『──ふたりとも、お疲れ。帰ってきな』

 昇った日が、霧の向こうに射し込んできていた。


 ◇


 龍調査機関・医療棟・中央医療区画。

「──紫苑レイラ、軽度の打撲と擦過傷。処置完了です」

 そう聞かされた瞬間、レイラにどっと疲れが押し寄せてきた。

 ベッドに腰掛けたまま、ぼんやりと両手を見つめる。

(終わった……ちゃんと、帰ってこれた……)

 それだけで、ほっとするはずだった。

 しかし、気持ちのどこか、引っかかっているものがある。

「レイラちゃん、はい、包帯巻き終わり~。あとは今日はもう、安静にしてね?」

 医療班の女性職員の言葉に小さく頷くと、ふとカーテンの隙間から隣の処置ベッドが見えた。

 そこにいたのは──リル。

(……さっきまで、あんなに血を流してたのに)

 白衣姿の医療班と話すリルは、どこも痛めた様子が無かった。

 傷口を縫う様子も、包帯を巻く姿も無い。

 まるで──最初から

(……本当に、あの体は……)

 思考が止まる。

 理解が追いつかない。

 あの戦いで、レイラは確かに見た。

 血が噴き出すように流れ、倒れかけて、それでも、立ち上がって──何事もなかったかのように戦った背中を。

(私には、あんなの……)

 言葉にはできない。
 けれど、レイラは確かに知ってしまった。

 リルという存在が、普通の人間ではないこと。

 それが、怖いのか。
 それとも──。

「……紫苑さん?」

「っ、は、はい!」

 顔を上げると、医療班所属の医師が記録用紙を差し出していた。

「サインだけお願いしますね。今日の処置記録です」

「……あ、はい……」

 ペンを受け取りながら、ちらりと横を見たが──もうリルの姿は見えなかった。


 ◇


 観測区画・応接室。

 処置を終えたレイラは、案内された一室の扉をそっと開けた。

 そこにいたのは──。

「お疲れさま、レイラ」

 柔らかな声と共に、ふわりとピンクの瞳がレイラを捉えた。

 ローツインテール、黒いワンピース姿の小さな少女──。この龍調査機関の所長、シエリ。
 その隣には、椅子に長い脚を投げ出すように座ったセセラの姿もあった。

「……よぉ。無事に帰ってきたな」

「……うん。ただいま」

 返事をしてから、レイラは少しだけ唇を引き結ぶ。言葉を選んでいるのが、ふたりにもすぐにわかった。

「……シエリ先生」

「ん?」

「……あの、リルの……その、能力っていうのか、さっきの任務で、初めて見たんだけど……」

 言葉が詰まる。

 言い切ってしまっていいのか、自分でもわからない。
 でも、見てしまったあの現実を、ひとりで抱えることもできなかった。

「……お腹、貫かれてたのに……。普通に歩いてて、血……あんなに出てたのに、まるで……何でもなかったみたいで……」

 静かに話すレイラの声は、どこか震えていた。

 シエリはただ黙って、その特徴的な瞳でじっとレイラを見つめている。

 数秒の沈黙のあと、ぽつりと。

「──レイラ。あれが、リルの“龍の影響”だよ」

「……!」

「あの子の中には、非常に再生力の高い個体の龍が……それも、強制的に封じ込められている。それが無理矢理、彼を生かし続けているのだ」

「生かし続けてる……」

 するとセセラが缶コーヒーを開けながら補足する。

「だからあいつ、ぶっちゃけちょっとやそっとじゃ死なねえ。体の再生速度も桁違いだ。……ただし、無理矢理動かしてんのは自分じゃなくて龍の方だ」

「……じゃあ……リルは、痛みとかは……?」

「あるよ」

 その問いには、シエリが静かに答えた。

「痛いし、苦しい。体力も削れるし、再生だって万能じゃない。傷が戻っても、体が覚えてる痛みは、消えないよ」

「…………!!」

 レイラは、驚嘆して息を呑む。

(……そんなの……)

「……でも、あの子はそれでも前に進んでいる。誰にも言わないけれど、ずっとずっと、痛みを抱えたまま……ね」

「……なんで……そんなの……!」

「それが、“龍に憑かれた”ということなのだよ」

「……ッ……!」

 静かに、だけどはっきりと。

 小さな所長のその言葉が、レイラの胸を貫いた。知らされてしまったリルの現実にまだ心が追いついていない。

 再生能力。
 無理矢理封じられた龍。
 人間であるはずのリルが、という重さ。

「……私、さっき、思ったの」

 重たい沈黙を破ったのは、レイラの掠れた声だった。

 シエリは目を細め、セセラは無言のまま耳を傾ける。

「……私は、今まで大きな怪我をしたことがない。任務も、そんなにキツいものは回ってこなかった。だけど今日のは……初めて、本当に強いって感じた敵だった」

 レイラの視線が、シエリに向けられた。

「……強い敵は、リル。弱い敵は、私。そうやって、んじゃないの?」

 言葉の先が震えた。

「……リルは……機関に、利用されてるの?」

 空気が凍ったように感じた。

 だが、答えたのはシエリではなく。

「──そうだよ」

 セセラだった。 

「……!!」

 レイラの視線が、弾かれたようにセセラの方へと向く。
 その声は淡々と、あまりにも冷静。

「……あいつは“再生する龍”を宿してる。そしてそれを制御できる人間の個体は、今のところリルだけだ」

 セセラは立ち上がり、背を向けて窓辺に向かった。

「だから与えたんだよ。『道』を。どう使われるかもわからねえ“生物兵器”になるより、“人間として生きるルート”を──。機関の中で、な」

「……兵器……」

 レイラの胸が苦しくなる。

「言っちゃ悪いが、機関ウチはリルもとして見てる。本人の意思なんか関係ねえ。貴重で危険で、使える。それが、現場判断の優先順位だ」

「……!!」

 言葉を紡ぐセセラの窓に向けられた視線は冷たく、鋭い。

「龍そのものを研究しているが、『龍憑りゅうつき』のことも同時に調べてんだよ」

「……そんな……」

 レイラは、否定の言葉が出てこなかった。

 シエリは何も言わなかった。
 ただ、小さな体を椅子に収めたまま、静かにそのやり取りを見守っている。

 セセラはふと、レイラの方へと振り返る。

「……レイラ」

 その声が、妙に冷たく響いた。

「それは、お前も同じだ」

「……え?」

「お前も、龍に憑かれた人間として機関ここに預けられてる。その意識も、力も、危険かもしれない要素として、ずっと管理されてんだよ」

「…………!!」

 言葉が、喉に引っかかる。

 レイラは初めて、あの眼帯の奥にある宿命を、誰かに管理されているという視点で突きつけられた気がした。

「……だ……だったら」

 掠れるように口を開く。

「私も……ただの道具……?」

 その問いには、セセラもシエリも、すぐには答えなかった。
 その沈黙が、何よりも重く、深く、レイラの胸に突き刺さる。

「…………」

 返ってくるはずの言葉は、誰からも無い。

 胸の奥が、ずっと前から疼いていた場所が──痛んだ。

「……そりゃ、リルの方が強いよ。再生できて、龍の力も使えて、……ぜんぜん人間じゃないみたいで──」

 レイラの声が更に掠れていく。

「でも、それでも……私だって……」

 ──“普通の女の子になりたかったのに”。

 その言葉は、喉の奥でかき消えた。
 胸の奥で、小さな叫びが暴れている。

 俯いたまま、声が震える。

「私は……私は、ただ、に過ごしたかっただけなのに……っ」

 床を見つめる目に、微かに滲むものがあった。

 それをシエリは静かに見ていた。

「…………」

 そして、ようやく口を開く。

「──レイラ」

 その声は、小さく、けれど確かだった。

「私は、龍に選ばれた子に、普通を強制したことなんて……一度も無いよ」

 顔を上げるレイラ。シエリはそれでも淡々と続けた。

「キミが調査の対象であるのは事実。でもね、それと、人として大切に思ってることは、別」

「……でも、薊野さんは……」

「うん。セセラは冷たいよ。でも……それは現場の真実を、隠さないだけ」

 シエリのピンク色の瞳が、まっすぐレイラを射抜く。

「それをどう受け取るかは、レイラ……キミが選べるよ。道具だからどうでもいいと思うか、道具でも、私は私だって思うかは──」

「……っ」

 ぐっと唇を結ぶレイラ。

 その手は、まだ小さく震えていたけれど、心の奥では何かが静かに灯り始めていた。

「…………」

 それは温かいけれど、消えそうな灯。
 まだ足元はぐらついている。でも、立ち上がろうとする気配だけは確かにある。

 そんな沈黙の中、セセラが白衣のポケットから小さな銀色のケースを取り出した。

 ──パチン……ッ

 そして、唇に咥えられた煙草に火がつき、淡く煙が広がる。

「……ショックだろ」

 煙越しの声は、思いのほか静かだった。

 レイラが目だけでセセラを見やると、彼はレイラをぼんやり見つめたまま続ける。

「だから、あいつとお前を接触させたくなかったってのも、機関としてはあった」

「…………」
 
 レイラの胸がきゅっと締めつけられる。

 セセラは窓辺へと視線を移すと──。

「ただでさえリルはメンタルが不安定なのに、お前まで揺れちまったら……使しな」

 それはあまりにも、冷たい言葉。

「…………っ……」

 レイラの呼吸が止まりそうになる。
 だが、セセラから発せられたその言葉は、どこか苦さを含んでいた。

「……思ったことがあるなら、言いな」

 一拍のを置き、セセラは煙を吐きながら続ける。

「意見は聞くぜ」

 それは、慰めでも、励ましでも無かった。

 ただ、“道具”としてではなく、“人間”としての一言だった。

 レイラは、拳をぎゅっと握る。
 まだ迷っている。まだ震えている。

 でも。

(それでも──)

 自分の感じたことは、確かにここにあった。

「……私」

 掠れた声で、レイラは口を開く。

「……あんなの、ひとりで背負わせるなんて、間違ってる」

「…………」

「使えるからって理由だけで、傷ついてもいいなんて……それって、人間じゃないって言ってるのと同じじゃん……!」

 声が震えていた。
 でも、はっきりと、そこにレイラの意思が宿っていた。

 シエリはその言葉に──。

「……ね?」

 ニコッと微笑む。

「ちゃんと、“レイラ”でいられるだろう?」

「…………!」

 レイラは一度だけ、小さく頷いた。

 揺れている。けれど、立っている。

 それが、この少女の強さだった。


 ◇


 レイラは応接室を出たあと、白く磨かれた廊下をゆっくりと歩いていた。

 胸の奥は、まだざわついている。

 でも、歩みだけは止まらない。

 ──“誰かのために怒った自分”が、少しだけ誇らしかった。

 その気持ちが、小さく、でも確かに支えになっていた。

 そして、廊下の突き当たり。

 ふと通りすがると、端末の前で会話をしている職員たちの声が聞こえた。

「……え? 今のって、再検知じゃないですか?」

「さっきの峡谷帯、終息したはずじゃ……」

「いや……これは、別の反応だ。波長が……さっきのより深い。……目覚めたんじゃなくて、……?」

 ごく自然な会話。
 だが、レイラの背筋にひやりと冷たいものが走った。

(……『呼ばれた』って、何……?)

 誰かが、何かを目覚めさせたのか。

 それとも、ずっと奥で眠っていた何かが──応えてしまったのか。

 職員たちの足音が、やけに重く響いた。




 第3話 完









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