無彩色なキミに恋をして。

氷萌

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好きになってしまいました。

6

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瞳を輝かせて前のめりに懇願されても
わたしに決定権はないし
“お詫びを兼ねて会いたい”だなんて
燈冴くんの性格じゃ恐らく
『仕事がありますので、お断りします』って言いそうだから約束を取り付ける事も出来ない。

「あの…そこまでは…。
 彼も忙しい人なので
 会う時間を作るのは難しいかと…。
 それに元宮さんも帰らないといけません…よね?」

それとなく拒否を濁して遠ざけようと試みるも、彼女は首を縦に振ろうとしない。
むしろ瞳のキラキラは増す一方。

「それなら心配いりません!
 私、こっちに引っ越してきましたので!」

「・・・ん?」

聞き間違いか捉え間違いか
瞬きが増えるわたしとは裏腹に
嬉しそうな満面の笑みをする元宮さん。


引っ越し理由はどうやら
就職先をこちらで探したいのがメインだとかなんとか…
まさか“燈冴くんを追いかけて来た”
…なんて事はないと思うけど
そこまではさすがに失礼だと思い聞けなかった。

燈冴くんがいなかったのが幸か不幸か
今日の再会は実現しなかったけれど
これは時間の問題。

不在だと伝えても
「じゃぁまた改めて来ますね」と勝手に約束を交わされて終わり。
完全に彼女のペースに持って行かれた結果だ。


頭を下げて応接室を出ていく彼女に会釈をし
複雑な心境でその後ろ姿を見送った。








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