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執事と婚約者からの囁き。
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しおりを挟むいつものように夕飯を普通食べていたはずだったのに、燈冴くんにはお見通しだったみたいで下手に嘘なんてつけない。
「気にしてるのも少しあるけれど最近、鮎沢社長さんも会社に来る事が多いからお父さんの方も心配してる……」
「……そうですね。ヤケに行き来しているので、私の方も彼の動向は警戒していますね」
腕を組んで深刻そうな表情から緊張感が伝わってくる。燈冴くんは秘書として今後の会社の情勢を気にしているんだと思う。
わたしも何か手伝えれば……
「ですが緋奈星さま……聞き捨てならないことが」
真顔で考え事をしていたかと思えば、急にわたしの方に目を移してジッと見つめながら中途半端に話を振ってくるから、頭の中に”?”がついて疑問を抱いた。
「”あの男の事が少し気になる”と、今そう仰いましたよね?」
「え・・・」
「それってまさかあの息子の事が気になっていると? つまりそれはどういう意味で?」
そこ……掘り下げるんだ……燈冴くん。
ジリジリと詰め寄る言い方と突き刺さるように痛い視線に、こっちの顔が強張ってしまう。
「あのいけ好かない男には警戒して頂きたい。いつどこで貴女に何するかわかりませんから」
「あー……あはは……」
その瞬間、あの事を思い出してしまった。
鮎沢さんからキスをされそうになった時の……
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