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01 聖樹の浄化 聖女ユラリ目線
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聖女として召喚されたあの日、わたしは何も知らなかった。異世界に連れてこられ、王族と司祭に囲まれ、ただ「救世の聖女だ」と告げられた。涙を流し、故郷の家族に会いたいと願ったわたしに、司祭は慈愛をたたえた笑みを浮かべた。
王子はわたしの前に跪き手に口づけをすると、
「この国を救って下さい。わたくしと共に」と頭を下げた。
その夜、夢で女神に会った。
「異国の乙女よ。あなたにしか頼れないのです」
「わたしは帰りたい。この国のことは女神様が救えばいいのです」
「わたくしは女神。そう女神ですが介入が出来ないのです」
「救えば帰れますか?」
「それは・・・どうでしょうか?点数をためて下さい」
「点数?」
「そう、七本の聖樹一本につき一点。七本浄化すれば三点加算で十点。王子と結婚して四点。跡継ぎを生めば六点。あなたの血筋は次の聖女を生み出します。だから召喚せずに済みます。二十点で帰れます。途中で使いたいときもあるでしょう。その時は教会へ来てください」
わたしは迷わなかった。両親のもとに帰るため、弟や妹に再び会うために、聖樹の浄化をすることにした。
一本目の聖樹。根元は瘴気で覆われ、近づくだけで視界が暗転した。吐き気と頭痛に耐え、両手を押しつけ、夜明けまで祈り続けた。指は血に濡れ、声は嗄れた。それでも朝日が差し込むと、腐った大地が少しずつ蘇り、枝に緑が戻った。人々は歓声をあげた。
二本目の浄化が済むと王子は呼び出されて王宮に帰っていった。護衛や侍女にしっかり聖女に仕えるようにと言い置いて。
だが、彼らは目に見えて雑になった。
わたしは夢で女神に点数の加算を求めたが、女神が渋った。
わたしは次の聖樹の浄化をする時、聖樹から手を離して浄化する振りをした。
その夜、女神があわてた感じで夢に出てきた。わたしは挨拶もせずこう言った。
「いやだ。悪夢。目を覚まさないと!」
「ごめんなさい・・・ごめんなさい浄化が終わったら十二点にする」
「・・・」
「十二点にさせて下さい。お願いします。これ以上は出来ないんです」
「点数で出来ることをすべて教えなさい」
「それは・・・」
「いやなのね。もちろん拒否権はあるわよね」
「は・・・はい。どうぞ」
それから王子が戻ってきた。
「ただいま、王宮の用事は済ませた。最後まで一緒に頑張ろう」
護衛や侍女の態度がおかしいほど丁寧になった。
王子は本当に優しかった。熱で苦しむわたしにずっと付き添ってくれた。
小説に出てくるような王子様がわたしに特別優しいのだ。騙されてはいけない。これは策略だと思いながらもわたしは王子に恋した。
やがて浄化を終え、王城に戻ったわたしは、王子から正式に結婚を申し込まれた。
「ユラリ。国を救った聖女よ。どうか私と結婚して、この国の未来を共に築いて欲しい」
わたしは、この言葉にうなずいた。『これで十六点』 でも点数なんてどうでもいい。ここで幸せになる。そう思った。
式の日、鐘の音に包まれた。国民は歓喜の声を上げ、祝福が降り注いだ。わたしは涙をこらえ、花冠をかぶった。
でも、王宮の生活はすぐに色あせたものになった。
王子は幼なじみの令嬢に心を残している。わたしは一番ではない。聖女と結婚する役割をきちんと果たしている。でもそれでいいと思った。
わたしはまた点数のことを考えるようになった。
それにしても居心地が悪い。侍女はどことなく冷たく、他人行儀だ。
そして、使用人を使う生活に慣れていないわたしは使用人がわずらわしかった。
王子はわたしの前に跪き手に口づけをすると、
「この国を救って下さい。わたくしと共に」と頭を下げた。
その夜、夢で女神に会った。
「異国の乙女よ。あなたにしか頼れないのです」
「わたしは帰りたい。この国のことは女神様が救えばいいのです」
「わたくしは女神。そう女神ですが介入が出来ないのです」
「救えば帰れますか?」
「それは・・・どうでしょうか?点数をためて下さい」
「点数?」
「そう、七本の聖樹一本につき一点。七本浄化すれば三点加算で十点。王子と結婚して四点。跡継ぎを生めば六点。あなたの血筋は次の聖女を生み出します。だから召喚せずに済みます。二十点で帰れます。途中で使いたいときもあるでしょう。その時は教会へ来てください」
わたしは迷わなかった。両親のもとに帰るため、弟や妹に再び会うために、聖樹の浄化をすることにした。
一本目の聖樹。根元は瘴気で覆われ、近づくだけで視界が暗転した。吐き気と頭痛に耐え、両手を押しつけ、夜明けまで祈り続けた。指は血に濡れ、声は嗄れた。それでも朝日が差し込むと、腐った大地が少しずつ蘇り、枝に緑が戻った。人々は歓声をあげた。
二本目の浄化が済むと王子は呼び出されて王宮に帰っていった。護衛や侍女にしっかり聖女に仕えるようにと言い置いて。
だが、彼らは目に見えて雑になった。
わたしは夢で女神に点数の加算を求めたが、女神が渋った。
わたしは次の聖樹の浄化をする時、聖樹から手を離して浄化する振りをした。
その夜、女神があわてた感じで夢に出てきた。わたしは挨拶もせずこう言った。
「いやだ。悪夢。目を覚まさないと!」
「ごめんなさい・・・ごめんなさい浄化が終わったら十二点にする」
「・・・」
「十二点にさせて下さい。お願いします。これ以上は出来ないんです」
「点数で出来ることをすべて教えなさい」
「それは・・・」
「いやなのね。もちろん拒否権はあるわよね」
「は・・・はい。どうぞ」
それから王子が戻ってきた。
「ただいま、王宮の用事は済ませた。最後まで一緒に頑張ろう」
護衛や侍女の態度がおかしいほど丁寧になった。
王子は本当に優しかった。熱で苦しむわたしにずっと付き添ってくれた。
小説に出てくるような王子様がわたしに特別優しいのだ。騙されてはいけない。これは策略だと思いながらもわたしは王子に恋した。
やがて浄化を終え、王城に戻ったわたしは、王子から正式に結婚を申し込まれた。
「ユラリ。国を救った聖女よ。どうか私と結婚して、この国の未来を共に築いて欲しい」
わたしは、この言葉にうなずいた。『これで十六点』 でも点数なんてどうでもいい。ここで幸せになる。そう思った。
式の日、鐘の音に包まれた。国民は歓喜の声を上げ、祝福が降り注いだ。わたしは涙をこらえ、花冠をかぶった。
でも、王宮の生活はすぐに色あせたものになった。
王子は幼なじみの令嬢に心を残している。わたしは一番ではない。聖女と結婚する役割をきちんと果たしている。でもそれでいいと思った。
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