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29 秘密のメイク用品
しおりを挟む「お兄様、聖女ミオとお付き合いしてみるのはどうでしょう?」
焦った私がなんとなく呟いた言葉でエヴァンお兄様が倒れたので、ごめんなさいと謝っておいた。
「じ、冗談でも二度と言わないで欲しい、アリー」
「ご、ごめんなさい……」
これはゲームのストーリーと現実が離れてしてしまって焦った私がポロリと漏らしてしまったのだ。でもまさか心臓を押さえて倒れるとは思わなかった……本当に悪いことをしてしまったわ。
モブならいいのよ、モブなら。ゲームに出て来ない場所で生きていた人達だってたくさんいるのは当たり前なんだから。でもやっぱり攻略対象者と関わるのは良くないわ。
……クレス様もあっち行ってくれないかしら?骨がボールでも投げたら取りに行ってくれそうだけど。
もし、もしよ。私に聖女の役が回って来たらどうしよう?このゲームは色々緩くて、魔王が国を滅ぼします、とか千年に一度の大干魃がー!とかそういうのではない。
何百年に一度、聖女を召喚して国中を回って祈り、安定を約束するとかそう言う感じだったはず。
「いや、無理だわ。国中回るなんて。家から学園まで無事に着けない私が回れる訳がないわ……」
やはりミオには聖女として頑張って貰って、私は悪役令嬢を全うするの!
「明日からお化粧もバッチリの、巻き髪よ!」
「早起きして下さいませ」
「頑張るわ!」
そうやって気合いを入れて寝たのに……。次の日に私は手に包帯を巻いて学園に行く羽目になってしまった。
「アリー?!どうしたんだ!!」
「アリシア嬢!怪我か!!」
「アリシア?!」
「どうしたの?!スプーが重すぎて捻挫?!」
顔見知り全員から質問攻めにされてしまった……ち、違うのですわ……。
「カタリナ、お願い」
説明はカタリナにお願いしてしまう。
「実は市販のお化粧品の一つだったのですが、試しに手の甲に塗ったところ、全く体質に合わずに、赤くかぶれてしまいまして」
「なんと!」
「痒いらしく、露出しておくと掻きむしってしまうとの事でこのような処置を致しました」
私は猛烈な痒みと戦っているの!かいちゃだめ、かいちゃだめ!
「け、化粧品、そ、そうか」
お兄様とファルク様がほっと安堵の表情を浮かべた。ご心配をおかけして申し訳ないのですが、か、痒いのです。
「まっ!たかが化粧品と侮ってはいけませんのよ!女性にとっては大切なことですから!アリシアは市販の化粧品では駄目ですわ。なんとか良い物を開発しなくてはいけませんね」
「ブランシェ様……ありがとうございます」
やっぱりお化粧品のことは女性のブランシェ様は分かってくださった。せめて真っ赤な💄位は用意しなくては!こんな薄いピンクの唇なんて悪役令嬢には似合わないんですもの!
「そのままが一番だと思うんだけどなぁ」
「これだから殿方は分かってませんわ!!」
ブランシェ様がファルク様を叱って下さった!やっぱりブランシェ様は分かっていらっしゃるわ!嬉しい。
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