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69 祝福の秘密の正体は
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「それにしても許せない。相手が国王だから我々では強く断罪もできないが、ヴィクターはそれなりの咎を受けさせたい」
ファルク様がいつもの柔和な笑顔が裸足で逃げ出した怒りの表情を見せている。本気で怒ったファルク様は初めて見たけれど、これは怖い……!
「ちょっと色々再起不能になってもらうしかないかしらね」
ブランシェ様も真顔で空恐ろしいことを呟いているし、ミオさんは何か分厚い本を捲りながら呟いている。
「確かこの神殿に伝わる禁書の中に神の怒りにより滅ぼす破滅系魔法があったはずで……」
やめてください、ミオさん。それは国家都市を滅亡させる系ではないでしょうか?
「お、闇討ち?俺、最近黒いマスクを新調したんだ!やるやる~!」
クレス様は何故か真っ黒なマスクを持って嬉しそうで、本当に困るけれど、心遣いがとても嬉しい。
「多分大丈夫ですよ。あの三人はこれから生きて行くのも苦しくなりますから」
「エ、エヴァンお兄様?それはどういうことですか」
生きるのが苦しいなんて……随分酷い話なのですけれど。そしてお兄様はあの時の妖精の祝福について皆に教えてくれた。
「妖精は今は見えたり感知できる人間が減っていて、寂しいんだ。だから少しでも見えたり聞こえたりできるフェンルースに良く遊びに来ている。今もたくさんいて、色々ないたずらをしている。アリーも知っているよね?歌を歌うと悪口が聞こえるって言ってたもの」
「ええ……小さな頃はとても嫌で怖くて……歌うのをやめていましたが、あれが妖精の声だったなんて」
「アリーは歌によって力が増幅されるタイプだったらしい。歌う事で妖精の声が聞こえ……聞こえると知った妖精達はアリーに飛びついた。暇だったんだよ、妖精も。そしてつい悪口を」
「ついですか」
「妖精の本分はある意味悪戯だからね……」
ちょっとこの辺りは許せないけれど、今回たくさん助けてもらったしもう酷いことは言わないと約束したので水に流してあげよう……。
「で、どうしてその祝福を受けると生きるのが苦しくなるんだい?」
ファルク様の質問にお兄様が頷いて続きを教えてくれた。
「祝福にはいろいろな種類があります。その中でも彼等には「年輪の祝福」が送られました。見たでしょう、額にある木の年輪のような丸い輪がいくつも重なったものを」
「わたくしは見ましたけれど、年輪というより矢を射る時の的のようでした」
「まさにその通りなのです。ブランシェ様」
お兄様はそこで一度話を切り、にこりと笑った。
「通常の人達が目に見えているのは額の一つだけなのですが、あの方たちは全身にあの年輪……いえ、的がある状態なのです。そしてあの的の目印がある人間は……妖精がいくら悪戯してもいい人間と認識された印なんです」
「ど、どういうことなんだ?エヴァン」
「ですから、全身の的に向かって妖精はいろいろな攻撃を仕掛けるでしょう。見えない石を投げるかもしれません、妖精の矢を射るかもしれません。魔法の的にするかもしれませんね。そしてどれも一撃で死に至らしめるほど強い攻撃はしないでしょう……妖精達も長く遊びたいですから」
「す、するとあの三人は常時妖精から攻撃を受け続けるのか?」
「ええ、見えない彼等にはなぜ痛むのか、なぜ不調になるのか……常時耳元で何かを囁かれる。人間の医者も妖精を見ることができれば分かるかもしれませんが……原因は見つけられないでしょうね」
あの泣き出したい耳を塞ぎたくなるような悪口を常時言われ続ける?考えただけで寒気がするような話だった。実際にファルク様とブランシェ様は顔を青くしてしまった。
「へん、いい気味よ」
「だな!」
全面合意してくれたのはミオさんとクレス様だけだったわ……。
ファルク様がいつもの柔和な笑顔が裸足で逃げ出した怒りの表情を見せている。本気で怒ったファルク様は初めて見たけれど、これは怖い……!
「ちょっと色々再起不能になってもらうしかないかしらね」
ブランシェ様も真顔で空恐ろしいことを呟いているし、ミオさんは何か分厚い本を捲りながら呟いている。
「確かこの神殿に伝わる禁書の中に神の怒りにより滅ぼす破滅系魔法があったはずで……」
やめてください、ミオさん。それは国家都市を滅亡させる系ではないでしょうか?
「お、闇討ち?俺、最近黒いマスクを新調したんだ!やるやる~!」
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「多分大丈夫ですよ。あの三人はこれから生きて行くのも苦しくなりますから」
「エ、エヴァンお兄様?それはどういうことですか」
生きるのが苦しいなんて……随分酷い話なのですけれど。そしてお兄様はあの時の妖精の祝福について皆に教えてくれた。
「妖精は今は見えたり感知できる人間が減っていて、寂しいんだ。だから少しでも見えたり聞こえたりできるフェンルースに良く遊びに来ている。今もたくさんいて、色々ないたずらをしている。アリーも知っているよね?歌を歌うと悪口が聞こえるって言ってたもの」
「ええ……小さな頃はとても嫌で怖くて……歌うのをやめていましたが、あれが妖精の声だったなんて」
「アリーは歌によって力が増幅されるタイプだったらしい。歌う事で妖精の声が聞こえ……聞こえると知った妖精達はアリーに飛びついた。暇だったんだよ、妖精も。そしてつい悪口を」
「ついですか」
「妖精の本分はある意味悪戯だからね……」
ちょっとこの辺りは許せないけれど、今回たくさん助けてもらったしもう酷いことは言わないと約束したので水に流してあげよう……。
「で、どうしてその祝福を受けると生きるのが苦しくなるんだい?」
ファルク様の質問にお兄様が頷いて続きを教えてくれた。
「祝福にはいろいろな種類があります。その中でも彼等には「年輪の祝福」が送られました。見たでしょう、額にある木の年輪のような丸い輪がいくつも重なったものを」
「わたくしは見ましたけれど、年輪というより矢を射る時の的のようでした」
「まさにその通りなのです。ブランシェ様」
お兄様はそこで一度話を切り、にこりと笑った。
「通常の人達が目に見えているのは額の一つだけなのですが、あの方たちは全身にあの年輪……いえ、的がある状態なのです。そしてあの的の目印がある人間は……妖精がいくら悪戯してもいい人間と認識された印なんです」
「ど、どういうことなんだ?エヴァン」
「ですから、全身の的に向かって妖精はいろいろな攻撃を仕掛けるでしょう。見えない石を投げるかもしれません、妖精の矢を射るかもしれません。魔法の的にするかもしれませんね。そしてどれも一撃で死に至らしめるほど強い攻撃はしないでしょう……妖精達も長く遊びたいですから」
「す、するとあの三人は常時妖精から攻撃を受け続けるのか?」
「ええ、見えない彼等にはなぜ痛むのか、なぜ不調になるのか……常時耳元で何かを囁かれる。人間の医者も妖精を見ることができれば分かるかもしれませんが……原因は見つけられないでしょうね」
あの泣き出したい耳を塞ぎたくなるような悪口を常時言われ続ける?考えただけで寒気がするような話だった。実際にファルク様とブランシェ様は顔を青くしてしまった。
「へん、いい気味よ」
「だな!」
全面合意してくれたのはミオさんとクレス様だけだったわ……。
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