【完結】その少年は硝子の魔術士

鏑木 うりこ

文字の大きさ
8 / 117

8 悪役令嬢だったって?

しおりを挟む
「こ、婚約指輪ではないですか!」

「付けちゃった」

「エイム様あっーーっ!」

 騎士さんは頭を抱え、母さんは卒倒しかける。

「え、エイム様!しかし!」

「すぐでなくて良いのだ。いずれで。それに血統は悪くないのだ、なあ?アマリリー様?」

 とうとう母さんは倒れた。こらーっ!いくらエイム様でも許さんぞ!


 下の4人は騎士様が遊んで下さっている。狭い我が家に母さんとカレンと俺、そして前回も来たネリスさんとエイム様が座っていた。

「いつから……ご存知でしたか?」

「最初から。貴女が冤罪で家を追われて、お供の騎士とここに流れ着いた時からずっと記録がありました」

「そう……ですか」

 ぎゅっと母さんは薄い布団を握りしめた。

「……どういうことか聞いていい?母さんは木こりの妻じゃなかったの?」

「話して良いか?」

 エイム様が母さんに尋ね、母さんはコクリと頷いた。

「リト、カレン。お前たちのお母様はアマリリー・ディライトと言うディライト公爵家の次女であり、元私の叔父上の婚約者であった」

 ひょっ?!母さんが?!

「15年前、魅了使いの毒婦にやられた叔父上に断罪され、身分を剥奪。市井どころか都を追われた」

 なんて非道!

「アマリリー様に付き従ったのは騎士が1人だけだったが、この地に流れ着き、2人は結ばれ、子供が産まれた。それが君達だ」

「か、母さん、ホントか?」

 俺もカレンも話が大きすぎてピンとこない。

「本当よ……でも母さんと父さんは本当に愛し合っていたのよ!」

「「知ってる」」

 俺とカレンの声は重なった。そうじゃなきゃ6人も子供いないよね?

「ディライト家も皆謝りたい、帰ってきて欲しいと言っている。勿論私の父もだ。おかしいと思いながら止められなかったと、後々悔やんでいた」

 どうやら母さんが追放され、王太子の婚約者になった魅了使いの女は、当然の事ながらメッキがどんどん剥げて行ったそうだ。
 頭は悪い、仕事は出来ない、マナーはなってないし、何より家柄も疑問が残った。
 城で暮らし始めると、彼女と接触が減った貴族の子息から、どんどん魅了の力が薄まって行ったそうだ。
 常にかけ直して行かないと、解けて行くらしい。

 何故、あの令嬢に従うのだ?
 あの令嬢は王太子の婚約者なのに、何故我々が愛しく思うのだ?それは不敬ではないか?

 そんな矛盾が広がり……異性にしか効かない魅了持ちだったのもあり

「この娘はおかしい!」

 と、牢へ繋がれた。令嬢と離れ、時間が経つごとに王太子も正気に戻って行ったそうだが、アマリリーにした仕打ちの責任を取り、王太子の座を退いたそうだ。

 王位は第二王子が継ぎ、その人がエイム様の父親と言う事だ……。

「だからリトやカレンはディライト公爵令嬢とルシリア伯爵令息の子供なのだよ」

 父さんも身分の高い人でしたか!

「……最初からルシリア様にはよくして頂きました。なにも知らない私達がこうして生き抜いてこられたのはすべて伯爵様のお陰なのです」

 母さんはぽつりとこぼす。……父さんを思い出しているんだね?

「リト、カレン。毎年冬に大きなお爺ちゃまが遊びに来るでしょう?あの方がルシリア伯爵様よ。父さんのお父様、本当の貴方達のおじいさまなのよ」

「えっ!あのいっぱい物くれる人!」

 俺の記憶の中でサンタクロースみたいな爺ちゃまがふぉっふぉっふぉ!と笑う。毎年冬にたくさんの食べ物や毛布を持ってきてくれて、狭い我が家でくっついて寝るみんなが大好きな爺ちゃまだ。

「爺ちゃまがお爺様!カレン、凄く嬉しい!早く冬がこないかしら!」

 うん、そう聞くと俺も早く爺ちゃまに会いたくなった!冬が待ち遠しいな!
しおりを挟む
感想 50

あなたにおすすめの小説

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新! Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!

めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈ 社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。 もらった能力は“全言語理解”と“回復力”! ……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈ キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん! 出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。 最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈ 攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉ -------------------- ※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!

妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。

藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。 妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、 彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。 だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、 なぜかアラン本人に興味を持ち始める。 「君は、なぜそこまで必死なんだ?」 「妹のためです!」 ……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。 妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。 ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。 そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。 断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。 誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。

身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される

秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました! 最終17位でした!応援ありがとうございます! あらすじ 魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。 ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。 死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――? 傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。

過労死転生した公務員、魔力がないだけで辺境に追放されたので、忠犬騎士と知識チートでざまぁしながら領地経営はじめます

水凪しおん
BL
過労死した元公務員の俺が転生したのは、魔法と剣が存在する異世界の、どうしようもない貧乏貴族の三男だった。 家族からは能無しと蔑まれ、与えられたのは「ゴミ捨て場」と揶揄される荒れ果てた辺境の領地。これは、事実上の追放だ。 絶望的な状況の中、俺に付き従ったのは、無口で無骨だが、その瞳に確かな忠誠を宿す一人の護衛騎士だけだった。 「大丈夫だ。俺がいる」 彼の言葉を胸に、俺は決意する。公務員として培った知識と経験、そして持ち前のしぶとさで、この最悪な領地を最高の楽園に変えてみせると。 これは、不遇な貴族と忠実な騎士が織りなす、絶望の淵から始まる領地改革ファンタジー。そして、固い絆で結ばれた二人が、やがて王国を揺るがす運命に立ち向かう物語。 無能と罵った家族に、見て見ぬふりをした者たちに、最高の「ざまぁ」をお見舞いしてやろうじゃないか!

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。 ----------------------------------------- 0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新

処理中です...