【完結】その少年は硝子の魔術士

鏑木 うりこ

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19 パーティのその後

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「部屋を予約していたんだが、もう一部屋今すぐ借りたい。ああ、小さくていい」

 ギアナ様は俺と一緒に会場を出て、今借りた部屋に来た。

「入って」

 動きは早く、周囲を確認してから扉を閉める様子が不思議だった。
 素早く鍵を閉めて、窓をしきりに調べている。鍵がきちんとかかっているのを確認し、カーテンを閉めた。

「すまんが、ちょっと面倒な商談があって、少しこの部屋で休んでてくれないか?」

「分かりました」

「絶対に部屋から出ないで欲しい。もし、俺が開けてくれと言っても開けないで。俺は鍵を持っているから、自分できちんと入ってくる、良いね?」

 念を押された。え、何かやばいの?そりゃ俺が居たら危ないよな!大人しくしてる!

「わ、分かりました!」

 こくり、と頷くと頭をぐりぐりと撫でられた。寝てて良いぞと、言い残してギアナ様は鍵を閉め、きちんとしまっているのを確認していった。

 商人って意外と大変……?ギアナ様は自分のことを人攫いって言ってるからその関係なんだろうか?

 うーん?考えても分からない。ベッドに転がっていると、どんどん眠くなって寝てしまった。ふかふかベッドが悪いんだ!!


 元々借りていた部屋に人の気配がする。

「いねぇぞ!」「話が違う!」「誰だ!」「うっ?!」

 聞き耳を立て、部屋の様子を伺う。何者かが争う声。

「おーおー、人気者は辛いね」

 廊下で聞き耳を立てていた俺にジーレンがそっと話しかけた。

「このホテルならば、漏らすものもいないかと思ったが教育が行き届いていない者はやはりいるな」

 俺がこのスイートルームを借りたと、誰かが事前に漏らしたのだろう。

「中の声、賊同士の相討ちか?」

 ピクピクと大きな耳を動かしてフォルターが物音を聞いている。

「分かっててリト君を連れて来たのか?あの子、怪我してるだろ」

 そんな子連れて来るなよ!レックスに叱られた。うむ、レックスの言うことはものすごく正しい。

「仕方がないだろう。同伴者必須のパーティだし……リト以外隣に起きたくない」

「うわ」「引くわ」「重い!」

「……あと、見せびらかせようと……少し…思った……」

「うわ」「引くわ」「ガキか!」

 言い返す言葉もない。

「まあ、あの盗人くそウサギのことを忘れられたようで、それはよかった」

「なら、羽虫は早めに退治しとこうかね?」

「貸しだからな!」

 俺たち4人は笑う。

「ああ、よろしく頼むよ」

 俺たちを妬んで嫌がらせや脅しをしてくる奴らは星の数ほどいる。定期的に狩らないとどんどん増えてしまう。

「誰に手を出したか、しっかり覚えて貰わないとな」

 虎を怒らせると恐ろしいと言うことを忘れた者たちへ、しっかりと恐怖を身に刻んで貰わないとなぁ?



 とんとん!とんとん!とんとん!!焦ったノックの音がして聞こえた。

「んん……?誰かなぁ?」

 俺はベッドの上で目を覚ました。とんとん!とんとん!ノックの音は激しさを増してくる。

「はいはい、今開けますよー?」

 ベッドから降りて靴を履き、扉に近づこうとして、ふと足を止めた。

「あれ?ギアナ様と約束したんだった」

 扉は開けないで。

「あれえ?」

ノックの音はすでにドンドン!とノックの域から逸脱したものにになっていた。

……くそっ!ここだろ?!
……連れ……押さえれば!
……ガキ……が、……う、うわ!もう来やがった!

 どたん、バタン!激しい音がして、静かになった後、鍵がガチャリと開いてギアナ様が現れた。

「あ、おかえりなさい。どうしたんです?何か煩かったですね?」

 すっと瞳を細めて、俺は頭を撫でられた。何ですか??

「部屋を間違えた酔っ払いがいたんだ。連絡して警備員に連れていって貰ったんだよ」

「そうだったんだー!」

 酔っ払いならしょうがないかー!

「帰ろうか、リト」

「はい」

 夜が更ける前に、馬車に揺られてギアナ様の屋敷に着いた。着くとやっぱりほっとする。緊張していたみたいだった。




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