【完結】その少年は硝子の魔術士

鏑木 うりこ

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打倒!元実家!

89 進級と新入生

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 春になりリトは進級し、カレンは無事合格を果たした。

「良かったねえ、合格おめでとう!」

「リト兄様ありがとう!良かったぁ!本当に良かったぁ!!」

 わんわん嬉し泣きをして、カレンは好きなものをたくさん食べ、学園の制服に身を包んだ。

「おにおにおにおにおにおにいさま」

「頑張って!新入生代表!」

「は!はひぃ!!!」

 テストはトップ合格で、新入生代表の挨拶に抜擢され、ガチガチに緊張し。真っ赤な顔で右手と右足が一緒に出るベタな事をやったりしていた。
 くすくすと笑い声も出たが、そう酷くもなく、「平民」より「リリー商会の娘」の方が強くなって、大体誰からも虐められなくなっていた。

 リリー商会を敵に回すととんでも無いことになる、ほぼ誰もが知っている事実だ。
 教室でも、特にいじめられもしていないらしいし、ロザリー様やレナさん、ハイジさんも気にかけてくれているらしい。

 二年生になった俺の隣はまたレナさんで

「偶然ですね!」

 と、2人で笑った。今度はハイジさんも同じクラスで偶然って凄いなーと改めて思った。学園の理事長が

「リト君、何か不便はないかね?」

 なんて聞いて来たけど、なかなか生徒想いの人なんだなぁと感心したりした。

「だいぶ積んだわね」

「絶対積んだわね?」

 レナさんとハイジさんがヒソヒソ話していたけれど、きっと女子同士のお話しなんだろうな!
 男の俺は入っちゃいけない奴だ。俺だって空気くらい読めるんだぞ!

 どこかの虎さんがくしゃみをしたのはきっと春先の冷たい風に当たったからだろう。

 入学式の日はクタクタに緊張し疲れたカレンを連れて早めに帰宅した。

 ロザリー様とレナさんとハイジさんは誰かと会うのだと言っていたので女性も忙しいんだろうな。

「レオール先輩から跡目を継いだウォルフです!よろしく頼む!」

「まあ、貴方がえーとボコり隊長ですか」

 ファンクラブと護衛隊の顔合わせに出席していた。

「今年はカレンさんの護衛もするんで!」

「あら!それはよろしくお願いしますね」

 今年も仲良くやって行けそうである。

「いろいろ浸透するまで不埒者が多く出ますので、情報を共有して行きましょう」

「あの!ロザリー・ルシリア!」

 護衛隊に呼ばれてロザリーは顔を上げる。

「何かしら?ウォルフ・ワイドナー」

「ご、護衛隊に入れば婚約者が出来るって本当か?!」

「はぁ?!」

 ロザリーはクラスが一緒のフォルフに呆れた!と声を上げた。

「そんな訳ないじゃない!」

「しかし……」

「ハイジとレオール先輩は特別よ!」

「やだー!ロザリーさまっ!」

 くねりっとハイジは恥ずかしそうに身を捩った。

「護衛隊だからとかじゃなく、二人の性格があったからよ!ばっかじゃない?!」

 ハイジも意外と上手い事やっていたし

「ロザリーお姉様ったら!」

「あら!ごめんなさいね、レナ」

 ロザリーも上手い事レナを捕獲していた。

「羨ましい!羨ましいッスー!!」

 その辺の机をガンガン殴りながら、ウォルフは男涙を流している。

「最近獣人の人気が女子の間で高いから、きっとなんとかなるわよ……」

 少しだけ哀れになって、声をかけるとウォルフは耳をぴーんと立てて破顔した。

「マジか!やったー!」

 ウォルフは狼なのだろうが、犬っぽい分かりやすい性格をしているようだ。

「大丈夫かしら……?」

 陽気なクラスメイトにロザリーはため息が溢れた。
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