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打倒!元実家!
91 ディライト家の没落5
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「そ、そうじゃ!王に!王に口添えをしていただこう!」
ディライト翁はただ混乱するばかりの息子を奮い立たせる。
「ディライト家は古くからの家!王も無碍には出来まいて!」
なんとか馬車を用立て、城へ向かう。すれ違う貴族達の内緒話はうるさかったが、それどころではない。
久しぶりに足を運んだ王城は輝きを増していた。
己の保身に躍起なディライト家の二人はあまり見ていなかったが、キラキラと光を反射する物が多いのだ。
その光に目もくれず、指定された執務室へ向かう。手紙で約束は取り付けてあったので、王は公式ではない場であるが、面会はしてくれた。
隣に宰相も立っていたが。
「息災か、ディライトよ」
「王よ!我が家をお救いくだされ!」
息子であるディライト公爵が返す前に、引退済みのディライト翁が縋り付くような声を上げた。
王は宰相と一度顔を見合わせてたが
「立ち話も何ですから、お座り下さい」
宰相にソファを勧められて、腰を下ろした。2人の前にお茶が出され……4枚の羽を広げた美しい神鳥が、サラサラと不思議な手触りで施されているティーカップと、ソーサー。そしてスプーンまでもガラス製の逸品であった。
「これは……素晴らしいですな……」
見たこともない技法に、あり得ないほど細かい作業。羽根の一枚一枚がわかるくらい彫りが細かい。
「わしのお気に入りの器じゃ。相当毟り取られたがな」
ははは!と王は笑う。いくらですか?とは聞けなかった。
「して、火急の用とは?わしにもどうする事も出来ぬ事もあるが、聞くだけは聞こう」
「それなのですが!!」
2人は切々と、ディライトの窮状を訴えた。
「ふむ」
王はその一言のみ。代わりに宰相が口を開いた。
「それで何をお望みなのですか?」
冷たい物言いに、たじろぎながらも何とかしてほしい!そう口にする。
「何とかとは?ディライト領から人が出て行ったのは、周りに暮らしやすい、目新しい物が出来たからでしょう?ディライト領にも作れば良いのでは?」
「それが出来たら苦労しません!リリー商会は我が領には作らんというのです!」
「商会は他にもあるでしょう?」
「どこも受けぬと言うのです!」
「はて?提示金額が足りぬのでは?」
「相場以上です!!」
「相場以上でもなんでも、もっと金を積めば、儲かると判れば商人は動くものです。儲からぬ何かがあるのでは?商人との交渉に失敗したのを王家に何とかしろとは……流石にどうしようもありませぬな」
ぐっとディライト翁は言い返せなくなってしまう。出来ないと言われて、怒鳴り追い返した。そんな事を繰り返したから、どんな商人も寄り付かなくなっていた。
「ディライトよ、アマリリーとは和解したか?以前にお主は言っておったな?あの時は悪かった、アマリリーに赦しを乞いたいと」
王は静かに尋ねる。確かにディライト翁は言っていたし、現ディライト公爵ジュディウスも同意した。
……その言葉をエイムド王子はあの時、信じたのだったが。
「和解は……致しました。しかしアマリリーは出てゆきました。ルシリア殿の世話になると」
「そうか。和解してこれか……」
ため息はつかずに窓の外に視線を移した。空は青く雲が一つ二つ浮かんでいる。
「お主らが商人との交渉に失敗した責任を私に何とかしろと言うのは、どうもおかしい話ではないか?」
ディライト家の2人はすごすごと帰るしかなかった。帰り際、王宮のサロンを見上げると、とても大きくて豪華なシャンデリアが取り付けられている途中だった。
キラキラと光を反射するガラス達は透明度が高く本当に美しい。
「気をつけろ!その飾り一個だけでもいくらすると思ってんだー?1000ギルだぞー」
「具体的ッスねー!」
「その方が分かりやすいだろ?」
指示をする男と目があってジュディウスは飛びかかった。
「きさま!貴様さえいなければ!!!」
「うおっと?」
ひょいっと軽く避けると、ジュディウスは設置前のシャンデリアに突っ込む。
ガラスの破砕音が辺りに響き、衛兵が駆けつける。
「な、何事ですか!」
「貴様が!貴様があーーー!」
「はぁ?なんだっつーの?」
必死で飛びかかるジュディウスに、耳をほじりながら、片手をポケットに入れたままでだるそうに避けまくる獣人。
「ぎ、ギアナ殿!これは一体?!」
戸惑う衛兵にギアナはだるそうに答える。
「知らないよ、この人が勝手にコレに突っ込んでこーんなにして、それで俺に飛びかかって来るんだもん。何とかしてよ」
貴様さえいなければ!と喚くジュディウスは衛兵に押さえつけられる。汗ひとつもかいていないギアナは、割れたシャンデリアの飾り達をみてがっかりしている。
「あーあ。今週中に完成しないぞ、これ。俺のせいじゃないからな」
「な!なんだとっ!!!」
押さえつけられながら、ジュディウスは叫ぶが、駆けつけた宰相の顔は真っ青だ。
「これは……一体!?ギアナ殿!」
「だいぶ壊されちまった。見た目は良くても傷があると輝きが落ちる。研磨済みの物ばかりだったからな……あと20日は延長だろうな」
「週末の夜会は……」
「小さくなるが、おかしくない程度に急拵えしよう。別途手数料は貰うけどな」
宰相はとりあえず胸を撫で下ろし、現状把握に努める。聞かずとも明白なのだが。
「宰相さん、俺は行って良いな?こっちも徹夜でやらんと間に合わない案件だ」
「お願いします」
シャンデリアを組んでいた職人達を全員集め、壊れた物も一つ残らず回収して、ギアナは工房に急ぐ。
「誰か先に行ってガラス職人とリトを呼んでくれ!お前らしばらく家に帰れないけど、ボーナスやるから踏ん張ってくれよー!」
「わかりやしたー!」
次々と指示を出しながら振り返らずにギアナは行ってしまう。
「ジュディウス・ディライト。流石にかばい立ては出来ませんよ」
「しかし!しかし!あいつが!あいつのせいで我々は!」
宰相の目は冷たかった。
「彼が、ギアナ殿が何をしたのです?証拠はおありか?そして私怨で一方的に襲いかかり、城の美術品を壊す。許される事ではありませんぞ!」
2人はしばらく城に留め置かれることとなった。
ディライト翁はただ混乱するばかりの息子を奮い立たせる。
「ディライト家は古くからの家!王も無碍には出来まいて!」
なんとか馬車を用立て、城へ向かう。すれ違う貴族達の内緒話はうるさかったが、それどころではない。
久しぶりに足を運んだ王城は輝きを増していた。
己の保身に躍起なディライト家の二人はあまり見ていなかったが、キラキラと光を反射する物が多いのだ。
その光に目もくれず、指定された執務室へ向かう。手紙で約束は取り付けてあったので、王は公式ではない場であるが、面会はしてくれた。
隣に宰相も立っていたが。
「息災か、ディライトよ」
「王よ!我が家をお救いくだされ!」
息子であるディライト公爵が返す前に、引退済みのディライト翁が縋り付くような声を上げた。
王は宰相と一度顔を見合わせてたが
「立ち話も何ですから、お座り下さい」
宰相にソファを勧められて、腰を下ろした。2人の前にお茶が出され……4枚の羽を広げた美しい神鳥が、サラサラと不思議な手触りで施されているティーカップと、ソーサー。そしてスプーンまでもガラス製の逸品であった。
「これは……素晴らしいですな……」
見たこともない技法に、あり得ないほど細かい作業。羽根の一枚一枚がわかるくらい彫りが細かい。
「わしのお気に入りの器じゃ。相当毟り取られたがな」
ははは!と王は笑う。いくらですか?とは聞けなかった。
「して、火急の用とは?わしにもどうする事も出来ぬ事もあるが、聞くだけは聞こう」
「それなのですが!!」
2人は切々と、ディライトの窮状を訴えた。
「ふむ」
王はその一言のみ。代わりに宰相が口を開いた。
「それで何をお望みなのですか?」
冷たい物言いに、たじろぎながらも何とかしてほしい!そう口にする。
「何とかとは?ディライト領から人が出て行ったのは、周りに暮らしやすい、目新しい物が出来たからでしょう?ディライト領にも作れば良いのでは?」
「それが出来たら苦労しません!リリー商会は我が領には作らんというのです!」
「商会は他にもあるでしょう?」
「どこも受けぬと言うのです!」
「はて?提示金額が足りぬのでは?」
「相場以上です!!」
「相場以上でもなんでも、もっと金を積めば、儲かると判れば商人は動くものです。儲からぬ何かがあるのでは?商人との交渉に失敗したのを王家に何とかしろとは……流石にどうしようもありませぬな」
ぐっとディライト翁は言い返せなくなってしまう。出来ないと言われて、怒鳴り追い返した。そんな事を繰り返したから、どんな商人も寄り付かなくなっていた。
「ディライトよ、アマリリーとは和解したか?以前にお主は言っておったな?あの時は悪かった、アマリリーに赦しを乞いたいと」
王は静かに尋ねる。確かにディライト翁は言っていたし、現ディライト公爵ジュディウスも同意した。
……その言葉をエイムド王子はあの時、信じたのだったが。
「和解は……致しました。しかしアマリリーは出てゆきました。ルシリア殿の世話になると」
「そうか。和解してこれか……」
ため息はつかずに窓の外に視線を移した。空は青く雲が一つ二つ浮かんでいる。
「お主らが商人との交渉に失敗した責任を私に何とかしろと言うのは、どうもおかしい話ではないか?」
ディライト家の2人はすごすごと帰るしかなかった。帰り際、王宮のサロンを見上げると、とても大きくて豪華なシャンデリアが取り付けられている途中だった。
キラキラと光を反射するガラス達は透明度が高く本当に美しい。
「気をつけろ!その飾り一個だけでもいくらすると思ってんだー?1000ギルだぞー」
「具体的ッスねー!」
「その方が分かりやすいだろ?」
指示をする男と目があってジュディウスは飛びかかった。
「きさま!貴様さえいなければ!!!」
「うおっと?」
ひょいっと軽く避けると、ジュディウスは設置前のシャンデリアに突っ込む。
ガラスの破砕音が辺りに響き、衛兵が駆けつける。
「な、何事ですか!」
「貴様が!貴様があーーー!」
「はぁ?なんだっつーの?」
必死で飛びかかるジュディウスに、耳をほじりながら、片手をポケットに入れたままでだるそうに避けまくる獣人。
「ぎ、ギアナ殿!これは一体?!」
戸惑う衛兵にギアナはだるそうに答える。
「知らないよ、この人が勝手にコレに突っ込んでこーんなにして、それで俺に飛びかかって来るんだもん。何とかしてよ」
貴様さえいなければ!と喚くジュディウスは衛兵に押さえつけられる。汗ひとつもかいていないギアナは、割れたシャンデリアの飾り達をみてがっかりしている。
「あーあ。今週中に完成しないぞ、これ。俺のせいじゃないからな」
「な!なんだとっ!!!」
押さえつけられながら、ジュディウスは叫ぶが、駆けつけた宰相の顔は真っ青だ。
「これは……一体!?ギアナ殿!」
「だいぶ壊されちまった。見た目は良くても傷があると輝きが落ちる。研磨済みの物ばかりだったからな……あと20日は延長だろうな」
「週末の夜会は……」
「小さくなるが、おかしくない程度に急拵えしよう。別途手数料は貰うけどな」
宰相はとりあえず胸を撫で下ろし、現状把握に努める。聞かずとも明白なのだが。
「宰相さん、俺は行って良いな?こっちも徹夜でやらんと間に合わない案件だ」
「お願いします」
シャンデリアを組んでいた職人達を全員集め、壊れた物も一つ残らず回収して、ギアナは工房に急ぐ。
「誰か先に行ってガラス職人とリトを呼んでくれ!お前らしばらく家に帰れないけど、ボーナスやるから踏ん張ってくれよー!」
「わかりやしたー!」
次々と指示を出しながら振り返らずにギアナは行ってしまう。
「ジュディウス・ディライト。流石にかばい立ては出来ませんよ」
「しかし!しかし!あいつが!あいつのせいで我々は!」
宰相の目は冷たかった。
「彼が、ギアナ殿が何をしたのです?証拠はおありか?そして私怨で一方的に襲いかかり、城の美術品を壊す。許される事ではありませんぞ!」
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