102 / 117
それからの俺たち
100 受け入れるべき変化
しおりを挟む
俺たちは変わりなく過ごした。シェルブールのお爺様とお婆様は王都を満喫してから領地に戻って行った。領地には腕利きの商人をつけてやったので、上手く回してくれるだろうと言う事だ。
「継ぐのはまだ誰か決めていませんが、大丈夫、任せてください」
「ああ、頼もしいな、私達の息子は」
そうお爺様は言い、お婆様は
「また来ても良いわよね!」
「もちろんですとも」
お母様と微笑み合い、家族全員と抱き合って帰って行った。
「いつか遊びに行きたいね」
「もちろん行くさ。向こうの店の視察もしなきゃならんしな!」
流石です!
主人が変わったディライト領は物の行き来は滞りなくなったが、一度壊れた物はなかなか戻らない。
「ある程度の家は壊してしまう。思い出や、戻って来たい者には申し訳ないがね」
街を整えて、道路を引く。公爵領は広い。もし、戦争になったら弱いだろうが、道はまっすぐ作った。
「商人の街になるからな」
戦争になった時用に逃げる所を用意する予定だそうだ。
「何せ俺がしばらくは領主だからね」
ギアナ様はギアナ・ディライト公爵になっていた。
「貴方のせいで!シュマリエ様は学園を追われ、片田舎で寂しく暮らさねばならなくなったのよ!」
俺は三年生と一年生の女子三人、計四人の女子に校舎の裏で囲まれていた。
「何か言ったらどうなの?!平民のくせに!」
一年生の女子が俺に平手を打って来る。バチン!大きな音がしたし、痛みもあるが、大したものではない。
一方女子は手が痛かったのか、自分の手をさすっている。
久しぶりに聞いたな、平民の癖にって。
冷静に考えていた。どの女子も名前と顔は一致している。高い爵位にあればある程、貴族の顔は覚えておかなければならない。特産物は何なのか、どんな人柄なのか、横の繋がりは、とか。
家族でウンウン唸りながら必死で覚えたっけな。
四人とも旧ディライト家の子飼いの子爵家と男爵家の令嬢だ。ギアナ様が、リリー商会が潰した旧ディライト家。ギアナ様のディライト家になり、上手く擦り寄れなかった出来の悪い家の子供達だ。
前の俺なら、謝ってこの場を収めただろう。でも、もうそれは違うって知っているんだ。ギアナ様と一緒にいるために、俺も変わったんだ。
「先に拳を振り上げたのはあちらだ。これでもかなり譲歩したのに。あなた方に殴られる理由が分からないな」
言い返されてカッとしたのか、もう一度、手を振り上げた。
「このっ!平民が!」
俺はその腕を掴む。元々木こりの息子の俺は、貴族の女子に負ける運動神経も筋力も持ち合わせていない。最初の一発は殴られたという実績作りだ。
「では、シュマリエ嬢を山の中に追い立てましょう。そして何時間も傭兵に追わせるんです。最後には追いついて肩から胸までばっさり斬ります。そして、左手は、こう、斬り落とします」
空いていた左手を目の前に突きつける。黒い手袋をずっとはめているが、欠けている事は一目瞭然だ。
「それから川に捨てます。それからなら、恨み言も聞きましょう。さあ、シュマリエ嬢を連れてきてください。それともあなた方が代わりになりますか?」
「ひっ!」
「義憤にかられたのでしょう?シュマリエ嬢が受けた仕打ちは不当だと。ですから、不当なく公正で行きましょう。やられた事をやり返す。分かりやすいじゃないですか」
その時、少し離れた所からロザリー様が走って来る。
「人が!」
「ルシリア様だわ!」
「まずいわ、逃げましょう」
逃げ腰になるので、手を離してやるが
「カミル男爵令嬢、コルサル子爵令嬢、キシュール子爵令嬢、セアラシル子爵令嬢。少し貴族としての嗜みにかけるようですね。平民の私でもやらない事をしていては、家名に泥を塗りますよ」
「あ、貴方……知っていて」
「知らない方が不思議ですが?」
彼女達は逃げて行き、入れ違いにロザリー様が到着する。
「リト!頬が!」
「大丈夫です。わざと叩かれたんです。こうすべきなんでしょ?」
にっこり笑うと、ロザリー様も厳しい表情を崩した。
「そうね、それで良いわ。あなた達はただの平民で居られなくなってしまったものね。良く頑張ったわ。さあ、冷やしながら帰りましょう。顔が腫れていてはギアナが何て問い詰めるか怖すぎるわ」
「あはは、怖いですね。きっと大丈夫じゃないだろうなーあの子達の家」
「仕方がないわ。公爵家の人間を殴ったんですもの。だから切られるのに、何故こんな事をするか分からないわね」
ロザリー様はハンカチをくれた。
「済まない!遅れた!うおっ!リト殴られちまったか!避けろよ!いてーだろ!」
次に走ってきたのはウォルフさん。最近知ったんだけど、俺の平和な学園生活は、このウォルフさんとレナさんやロザリー様のおかげで成り立っていたんだって。
そしてその事を俺は気づいていないフリをしないと行けないんだ。
「ふふ、大丈夫ですよ!俺、元々木こりの息子なんですから!」
「そうだったな!」
「あらやだ!リトったら、私、でしょ?」
「あっ、しまった」
親しくしている人の間ではつい素が出てしまう!俺もまだまだなんだ!
「継ぐのはまだ誰か決めていませんが、大丈夫、任せてください」
「ああ、頼もしいな、私達の息子は」
そうお爺様は言い、お婆様は
「また来ても良いわよね!」
「もちろんですとも」
お母様と微笑み合い、家族全員と抱き合って帰って行った。
「いつか遊びに行きたいね」
「もちろん行くさ。向こうの店の視察もしなきゃならんしな!」
流石です!
主人が変わったディライト領は物の行き来は滞りなくなったが、一度壊れた物はなかなか戻らない。
「ある程度の家は壊してしまう。思い出や、戻って来たい者には申し訳ないがね」
街を整えて、道路を引く。公爵領は広い。もし、戦争になったら弱いだろうが、道はまっすぐ作った。
「商人の街になるからな」
戦争になった時用に逃げる所を用意する予定だそうだ。
「何せ俺がしばらくは領主だからね」
ギアナ様はギアナ・ディライト公爵になっていた。
「貴方のせいで!シュマリエ様は学園を追われ、片田舎で寂しく暮らさねばならなくなったのよ!」
俺は三年生と一年生の女子三人、計四人の女子に校舎の裏で囲まれていた。
「何か言ったらどうなの?!平民のくせに!」
一年生の女子が俺に平手を打って来る。バチン!大きな音がしたし、痛みもあるが、大したものではない。
一方女子は手が痛かったのか、自分の手をさすっている。
久しぶりに聞いたな、平民の癖にって。
冷静に考えていた。どの女子も名前と顔は一致している。高い爵位にあればある程、貴族の顔は覚えておかなければならない。特産物は何なのか、どんな人柄なのか、横の繋がりは、とか。
家族でウンウン唸りながら必死で覚えたっけな。
四人とも旧ディライト家の子飼いの子爵家と男爵家の令嬢だ。ギアナ様が、リリー商会が潰した旧ディライト家。ギアナ様のディライト家になり、上手く擦り寄れなかった出来の悪い家の子供達だ。
前の俺なら、謝ってこの場を収めただろう。でも、もうそれは違うって知っているんだ。ギアナ様と一緒にいるために、俺も変わったんだ。
「先に拳を振り上げたのはあちらだ。これでもかなり譲歩したのに。あなた方に殴られる理由が分からないな」
言い返されてカッとしたのか、もう一度、手を振り上げた。
「このっ!平民が!」
俺はその腕を掴む。元々木こりの息子の俺は、貴族の女子に負ける運動神経も筋力も持ち合わせていない。最初の一発は殴られたという実績作りだ。
「では、シュマリエ嬢を山の中に追い立てましょう。そして何時間も傭兵に追わせるんです。最後には追いついて肩から胸までばっさり斬ります。そして、左手は、こう、斬り落とします」
空いていた左手を目の前に突きつける。黒い手袋をずっとはめているが、欠けている事は一目瞭然だ。
「それから川に捨てます。それからなら、恨み言も聞きましょう。さあ、シュマリエ嬢を連れてきてください。それともあなた方が代わりになりますか?」
「ひっ!」
「義憤にかられたのでしょう?シュマリエ嬢が受けた仕打ちは不当だと。ですから、不当なく公正で行きましょう。やられた事をやり返す。分かりやすいじゃないですか」
その時、少し離れた所からロザリー様が走って来る。
「人が!」
「ルシリア様だわ!」
「まずいわ、逃げましょう」
逃げ腰になるので、手を離してやるが
「カミル男爵令嬢、コルサル子爵令嬢、キシュール子爵令嬢、セアラシル子爵令嬢。少し貴族としての嗜みにかけるようですね。平民の私でもやらない事をしていては、家名に泥を塗りますよ」
「あ、貴方……知っていて」
「知らない方が不思議ですが?」
彼女達は逃げて行き、入れ違いにロザリー様が到着する。
「リト!頬が!」
「大丈夫です。わざと叩かれたんです。こうすべきなんでしょ?」
にっこり笑うと、ロザリー様も厳しい表情を崩した。
「そうね、それで良いわ。あなた達はただの平民で居られなくなってしまったものね。良く頑張ったわ。さあ、冷やしながら帰りましょう。顔が腫れていてはギアナが何て問い詰めるか怖すぎるわ」
「あはは、怖いですね。きっと大丈夫じゃないだろうなーあの子達の家」
「仕方がないわ。公爵家の人間を殴ったんですもの。だから切られるのに、何故こんな事をするか分からないわね」
ロザリー様はハンカチをくれた。
「済まない!遅れた!うおっ!リト殴られちまったか!避けろよ!いてーだろ!」
次に走ってきたのはウォルフさん。最近知ったんだけど、俺の平和な学園生活は、このウォルフさんとレナさんやロザリー様のおかげで成り立っていたんだって。
そしてその事を俺は気づいていないフリをしないと行けないんだ。
「ふふ、大丈夫ですよ!俺、元々木こりの息子なんですから!」
「そうだったな!」
「あらやだ!リトったら、私、でしょ?」
「あっ、しまった」
親しくしている人の間ではつい素が出てしまう!俺もまだまだなんだ!
52
あなたにおすすめの小説
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新!
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!
めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈
社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。
もらった能力は“全言語理解”と“回復力”!
……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈
キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん!
出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。
最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈
攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉
--------------------
※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!
妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。
藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。
妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、
彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。
だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、
なぜかアラン本人に興味を持ち始める。
「君は、なぜそこまで必死なんだ?」
「妹のためです!」
……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。
妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。
ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。
そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。
断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。
誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
過労死転生した公務員、魔力がないだけで辺境に追放されたので、忠犬騎士と知識チートでざまぁしながら領地経営はじめます
水凪しおん
BL
過労死した元公務員の俺が転生したのは、魔法と剣が存在する異世界の、どうしようもない貧乏貴族の三男だった。
家族からは能無しと蔑まれ、与えられたのは「ゴミ捨て場」と揶揄される荒れ果てた辺境の領地。これは、事実上の追放だ。
絶望的な状況の中、俺に付き従ったのは、無口で無骨だが、その瞳に確かな忠誠を宿す一人の護衛騎士だけだった。
「大丈夫だ。俺がいる」
彼の言葉を胸に、俺は決意する。公務員として培った知識と経験、そして持ち前のしぶとさで、この最悪な領地を最高の楽園に変えてみせると。
これは、不遇な貴族と忠実な騎士が織りなす、絶望の淵から始まる領地改革ファンタジー。そして、固い絆で結ばれた二人が、やがて王国を揺るがす運命に立ち向かう物語。
無能と罵った家族に、見て見ぬふりをした者たちに、最高の「ざまぁ」をお見舞いしてやろうじゃないか!
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
-----------------------------------------
0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる