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20 私、被検体を捜す
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「良いか! これはお嬢様が考案した特別な調味料だ! この秘密を明かすのは、お前らが北の離れの料理人だからだ! 絶対に本邸の奴らには漏らすな!!」
「わかってますよ、南の料理長! チェレネ様とリエリル様の間柄だからこそなのも全部ね!」
「なら良い! ではマヨネーゼから!」
「うおーーー! 好きぃー! それ好きぃーー!」
「知ってる! 今日は更にケチャッピンをミックスしたオウローランソースを」
「うおおおおーーーー!」
料理人の雄叫びは私には聞こえなかったのだけれども。なんと驚いた事に、料理人達は私が横流ししたレシピを……。
「クラブ家マリエル様秘伝のレシピ。本邸すら流してはいけないもの!」
と、勘違いをして離れでしか使っていなかったの……。あまりに頑張りすぎて外に漏れてないのよ……外の人が知らないなんて、お金になるわけなかったのよ!!
これが軍資金が手に入らない理由だったの!! 嘘でしょーー! 誰か自慢するのが普通でしょーー?!
因みに石鹸も、シャンプーもリンスも全部それなの! 侍女ちゃんもメイドちゃんも「秘伝!絶対秘密!」って誰にも明かさないの!!
この事実に気づくのはもっともっとあとだったのよ……。
「ルルー! どこか怪我してない?」
「あかぎれくらいですわ」
「まあ! 見せて」
「ま、マリエル様のお手を煩わせる程の事では……ああ! ありがとうございます!」
「良いのよ。女の子ですもんね」
私の足はかなり良くなって今のヒール力じゃ治らなくなってきたの。もっともっとヒールを使いまくってレベルを上げてヒールをハイヒールに成長させるか、類似技能が増えるのを待つしか無くなったのよ。
なので……ヒールを使いまくる為に怪我してる人を探してうろうろする日々よ!
「あのマリエル様……」
「あ! チェレネ様! とう!」
「マリエル様……ありがとうございます!」
チェレネ様の頬に可愛くないニキビが一つ出ていたので即治したわ。でもまだまだ足りないのよね……!
「そうだ……庭に野良猫が入るとか聞いた! そいつよ、そいつを使うしかないんだわ」
治し過ぎて治す相手がいなくなったなどと言うそらおそろしい状態なのよ! 私は素早くお母様好みにバラがたくさん植えられてちょっとした迷路のようになっている庭に足を踏み出したのよ。
「いたわ! そこの薄汚くて、縄張り争いに負けてボロボロのにゃんこちゃん! こっちへいらっしゃい! そうよ~来るのよ~~良い物上げましょうね~~~~ヒイイイイイルゥウウウ!」
「ニャ……」
流石私ね、にゃんこちゃんだろうがわんこちゃんだろうが問題なく治せるわ! さあさあどんどんいくわよおお!
「さあ、怪我のお友達をもっともっと連れてくるのよ……そして私の実験動物としてフーハハハー!」
「にゃ……」
にゃんこちゃんが若干引いている気がするわ。でもそんなこと気にしない! 私は回復魔法の実験台が欲しいだけなんだから!
「……と、言うか体力を回復したり怪我を治したりするヒール以外にも必要そうね……。病気、なのかしら? あの子は耳が欠けているわ……欠損を治したり……? 極めたヒールならいけるのかしら……?」
ほっとくとすぐに逃げちゃう被検体A・B・Cにゃーに茹でたささみを与えつつ、あーでもないこーでもないとこねくり回しているとなんかもやっと閃きかけた……うーん……でも上手く表せない……。
「病気ね、病気……あれ? 病気と言えばだれかいたわね……あ!「ハート・クイーン」だわ!」
思い出した、「ハート・クイーン」ローゼリット・ハート。テオドールの妹でたしか私と同じ年の女の子よ。
「あいつの最初の病気は……あ……6歳じゃなかった!?」
ローゼリットは6歳の時酷いはやり病にかかる。その時にテオドール(推し)とローゼリットの産みの母親は亡くなってしまい、ローゼリットも生死の境を1か月以上も彷徨う事になるのだ。まあ、そこまではローゼリットになんの過失もない。ただ、その先がイカンのである。
母親も失い自分も生死の境をさまよったローゼリットは病弱の看板を背負う事になる。が、ローゼリットは回復するのだ。しかし、回復しても皆から向けられた「病弱なお嬢様」の看板を下ろしたくないのだ。そして最悪な病弱キャラを作り上げる。
胃腸がピンピンしているせいで、病弱だと言い張ってもいっぱいご飯は食べるし、病弱だから運動しない。すると可愛かったローゼリットはどんどん……どんどん体重が増加。ついでに性格も我が儘になり学園入学の15歳にはとんでもない「ハートの女王様」が完成するのだ。
ピンクゴールドの髪を高々と結い、体重は多分100キロは超えてるわね。そして可憐なテオドールの3倍はありそうな巨体を揺らして、
「お兄様は何でも私のいう事を聞いてくださるんですもの!」
がいつもの台詞だ。この妹のせいでテオドールたんがどんだけ割を食ったと思っているんだ! 確かに箱推しはしてる私だけれども、テオドールたんの幸せの為にはこのローゼリットを何とかしなきゃいけないんだわ!
「くっ! 被検体が足りないわ!!!」
ささみだけでABCをこの場に留めておくには無理があるのよ!!
「わかってますよ、南の料理長! チェレネ様とリエリル様の間柄だからこそなのも全部ね!」
「なら良い! ではマヨネーゼから!」
「うおーーー! 好きぃー! それ好きぃーー!」
「知ってる! 今日は更にケチャッピンをミックスしたオウローランソースを」
「うおおおおーーーー!」
料理人の雄叫びは私には聞こえなかったのだけれども。なんと驚いた事に、料理人達は私が横流ししたレシピを……。
「クラブ家マリエル様秘伝のレシピ。本邸すら流してはいけないもの!」
と、勘違いをして離れでしか使っていなかったの……。あまりに頑張りすぎて外に漏れてないのよ……外の人が知らないなんて、お金になるわけなかったのよ!!
これが軍資金が手に入らない理由だったの!! 嘘でしょーー! 誰か自慢するのが普通でしょーー?!
因みに石鹸も、シャンプーもリンスも全部それなの! 侍女ちゃんもメイドちゃんも「秘伝!絶対秘密!」って誰にも明かさないの!!
この事実に気づくのはもっともっとあとだったのよ……。
「ルルー! どこか怪我してない?」
「あかぎれくらいですわ」
「まあ! 見せて」
「ま、マリエル様のお手を煩わせる程の事では……ああ! ありがとうございます!」
「良いのよ。女の子ですもんね」
私の足はかなり良くなって今のヒール力じゃ治らなくなってきたの。もっともっとヒールを使いまくってレベルを上げてヒールをハイヒールに成長させるか、類似技能が増えるのを待つしか無くなったのよ。
なので……ヒールを使いまくる為に怪我してる人を探してうろうろする日々よ!
「あのマリエル様……」
「あ! チェレネ様! とう!」
「マリエル様……ありがとうございます!」
チェレネ様の頬に可愛くないニキビが一つ出ていたので即治したわ。でもまだまだ足りないのよね……!
「そうだ……庭に野良猫が入るとか聞いた! そいつよ、そいつを使うしかないんだわ」
治し過ぎて治す相手がいなくなったなどと言うそらおそろしい状態なのよ! 私は素早くお母様好みにバラがたくさん植えられてちょっとした迷路のようになっている庭に足を踏み出したのよ。
「いたわ! そこの薄汚くて、縄張り争いに負けてボロボロのにゃんこちゃん! こっちへいらっしゃい! そうよ~来るのよ~~良い物上げましょうね~~~~ヒイイイイイルゥウウウ!」
「ニャ……」
流石私ね、にゃんこちゃんだろうがわんこちゃんだろうが問題なく治せるわ! さあさあどんどんいくわよおお!
「さあ、怪我のお友達をもっともっと連れてくるのよ……そして私の実験動物としてフーハハハー!」
「にゃ……」
にゃんこちゃんが若干引いている気がするわ。でもそんなこと気にしない! 私は回復魔法の実験台が欲しいだけなんだから!
「……と、言うか体力を回復したり怪我を治したりするヒール以外にも必要そうね……。病気、なのかしら? あの子は耳が欠けているわ……欠損を治したり……? 極めたヒールならいけるのかしら……?」
ほっとくとすぐに逃げちゃう被検体A・B・Cにゃーに茹でたささみを与えつつ、あーでもないこーでもないとこねくり回しているとなんかもやっと閃きかけた……うーん……でも上手く表せない……。
「病気ね、病気……あれ? 病気と言えばだれかいたわね……あ!「ハート・クイーン」だわ!」
思い出した、「ハート・クイーン」ローゼリット・ハート。テオドールの妹でたしか私と同じ年の女の子よ。
「あいつの最初の病気は……あ……6歳じゃなかった!?」
ローゼリットは6歳の時酷いはやり病にかかる。その時にテオドール(推し)とローゼリットの産みの母親は亡くなってしまい、ローゼリットも生死の境を1か月以上も彷徨う事になるのだ。まあ、そこまではローゼリットになんの過失もない。ただ、その先がイカンのである。
母親も失い自分も生死の境をさまよったローゼリットは病弱の看板を背負う事になる。が、ローゼリットは回復するのだ。しかし、回復しても皆から向けられた「病弱なお嬢様」の看板を下ろしたくないのだ。そして最悪な病弱キャラを作り上げる。
胃腸がピンピンしているせいで、病弱だと言い張ってもいっぱいご飯は食べるし、病弱だから運動しない。すると可愛かったローゼリットはどんどん……どんどん体重が増加。ついでに性格も我が儘になり学園入学の15歳にはとんでもない「ハートの女王様」が完成するのだ。
ピンクゴールドの髪を高々と結い、体重は多分100キロは超えてるわね。そして可憐なテオドールの3倍はありそうな巨体を揺らして、
「お兄様は何でも私のいう事を聞いてくださるんですもの!」
がいつもの台詞だ。この妹のせいでテオドールたんがどんだけ割を食ったと思っているんだ! 確かに箱推しはしてる私だけれども、テオドールたんの幸せの為にはこのローゼリットを何とかしなきゃいけないんだわ!
「くっ! 被検体が足りないわ!!!」
ささみだけでABCをこの場に留めておくには無理があるのよ!!
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