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5 私が「頑張れない」とでも?
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「それでね、それでね!私、レオール様の事が大好きなんだけど、やっぱり私みたいな半分平民じゃ全然駄目でしょう?私、ダンスは得意だけどお勉強苦手だし……」
「お勉強はこれから頑張ればいいのよ。カレッタ意外と飲み込み早いじゃない」
「そ、そうかな!?えへ……えへへ……それでね、私、レオール様の為なら頑張れるなって……昨日はね、王国歴を覚えたんだけど……」
「…… ……」
「殿下」
「……静かに」
「しかし、盗み聞きは……いや、カレッタ嬢ですしね……」
「聞くつもりはなかったんだ……」
カレッタは学園のお昼休みに少しだけ人気の少ないベンチでジャネットと数人の友達とお弁当を食べていた。そして盛り上がるのはやはりカレッタの決意。そこへ当のレオールが通りかかってもカレッタは気が付かずおしゃべりを続けていた。
一緒に会話をしていたジャネットやそのほかの友人は気づいていたようだが、どうもやめさせる気配はなかった。
「カレッタ嬢が……私の事を、好き、だと」
「そうですね」
「しかし、私にはエリーゼが……」
「そうですね」
茂みの中にずるずると埋まりながらレオールはストレートな愛情が乗った言葉に顔を赤くしている。隣で相槌を打つのはレオールの側近として卒業後も仕える事が決まっているライオット・リン伯爵令息だ。
「カレッタ嬢のレオール様好き好きは今に始まった事じゃありませんけれど、あの様子だとエリーゼ様の耳にも入っているでしょうね、カレッタ嬢が本気を出す事は」
「……しかし、私とエリーゼは小さな頃からの婚約者で……」
小声でつぶやきあうレオールとライオットの耳に聞くつもりのない情報がポンポンと入ってくる。
「それでね、内緒の話なんだけど、エリーゼお姉様はなんと辺境伯子息ルーシェ様が気になるようなの。なんでもね、5歳の頃辺境に遊びに行って、ヤマネコに襲われかけたお姉様を身を挺して庇われたのがルーシェ様で、ルーシェ様の左腕にはその時引っかかれた大きな傷跡が……」
「まあ!怖い」「まあ!素敵」
レオールとライオットは背が高く、剣の腕が立つルーシェの事を思い出す。確かに彼の左腕には大きな傷跡が残っていて
「……これはお姫様を守った名誉の証なんだ」
と、とてもいとおしそうに撫でているのを知っていた。
「もしかして、ルーシェもエリーゼの事を憎からず思っているのか……?」
「可能性は否定できませんね」
レオールはエリーゼが嫌いではない。しかし優秀なエリーゼの隣に立つといつの頃からか彼女と見比べられる事が多くなった。エリーゼは何でも先に覚える。いつしか卑屈な思いが芽生え始めているのを自覚していた。
「レオール様だーいすき!だってこんな私にも優しいの。「カレッタおはよう」って言われただけでもう一日嬉しくて!」
「そうねえ、一日踊ってるものね」
「うん!」
無邪気に笑うカレッタ。カレッタの明るさが暗い思いをいつも消し去ってくれていたのだ。
「……カレッタ嬢を王子妃にするならば……レオール様のすべきことは多いですよ?何せ、カレッタ嬢は「お馬鹿」ですから」
「……ライオット。カレッタ嬢が「頑張れる」のに私が「頑張れない」とでも思ったのかい?」
ライオットは主君である未来の王をはっと見た。昨今類を見ない真剣な顔に思わず笑みがこぼれた。
「いいえ。レオール様はやればできる方ですから」
二人はカレッタには気づかれないようにそっとその場を離れる。レオールの本気は一味違った。
「お勉強はこれから頑張ればいいのよ。カレッタ意外と飲み込み早いじゃない」
「そ、そうかな!?えへ……えへへ……それでね、私、レオール様の為なら頑張れるなって……昨日はね、王国歴を覚えたんだけど……」
「…… ……」
「殿下」
「……静かに」
「しかし、盗み聞きは……いや、カレッタ嬢ですしね……」
「聞くつもりはなかったんだ……」
カレッタは学園のお昼休みに少しだけ人気の少ないベンチでジャネットと数人の友達とお弁当を食べていた。そして盛り上がるのはやはりカレッタの決意。そこへ当のレオールが通りかかってもカレッタは気が付かずおしゃべりを続けていた。
一緒に会話をしていたジャネットやそのほかの友人は気づいていたようだが、どうもやめさせる気配はなかった。
「カレッタ嬢が……私の事を、好き、だと」
「そうですね」
「しかし、私にはエリーゼが……」
「そうですね」
茂みの中にずるずると埋まりながらレオールはストレートな愛情が乗った言葉に顔を赤くしている。隣で相槌を打つのはレオールの側近として卒業後も仕える事が決まっているライオット・リン伯爵令息だ。
「カレッタ嬢のレオール様好き好きは今に始まった事じゃありませんけれど、あの様子だとエリーゼ様の耳にも入っているでしょうね、カレッタ嬢が本気を出す事は」
「……しかし、私とエリーゼは小さな頃からの婚約者で……」
小声でつぶやきあうレオールとライオットの耳に聞くつもりのない情報がポンポンと入ってくる。
「それでね、内緒の話なんだけど、エリーゼお姉様はなんと辺境伯子息ルーシェ様が気になるようなの。なんでもね、5歳の頃辺境に遊びに行って、ヤマネコに襲われかけたお姉様を身を挺して庇われたのがルーシェ様で、ルーシェ様の左腕にはその時引っかかれた大きな傷跡が……」
「まあ!怖い」「まあ!素敵」
レオールとライオットは背が高く、剣の腕が立つルーシェの事を思い出す。確かに彼の左腕には大きな傷跡が残っていて
「……これはお姫様を守った名誉の証なんだ」
と、とてもいとおしそうに撫でているのを知っていた。
「もしかして、ルーシェもエリーゼの事を憎からず思っているのか……?」
「可能性は否定できませんね」
レオールはエリーゼが嫌いではない。しかし優秀なエリーゼの隣に立つといつの頃からか彼女と見比べられる事が多くなった。エリーゼは何でも先に覚える。いつしか卑屈な思いが芽生え始めているのを自覚していた。
「レオール様だーいすき!だってこんな私にも優しいの。「カレッタおはよう」って言われただけでもう一日嬉しくて!」
「そうねえ、一日踊ってるものね」
「うん!」
無邪気に笑うカレッタ。カレッタの明るさが暗い思いをいつも消し去ってくれていたのだ。
「……カレッタ嬢を王子妃にするならば……レオール様のすべきことは多いですよ?何せ、カレッタ嬢は「お馬鹿」ですから」
「……ライオット。カレッタ嬢が「頑張れる」のに私が「頑張れない」とでも思ったのかい?」
ライオットは主君である未来の王をはっと見た。昨今類を見ない真剣な顔に思わず笑みがこぼれた。
「いいえ。レオール様はやればできる方ですから」
二人はカレッタには気づかれないようにそっとその場を離れる。レオールの本気は一味違った。
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