31 / 33
31 それはお菓子よ
しおりを挟む
「ミ、ミーアは可愛いわ!ねえ!そうでしょう!第一王子様!ミーアを選んでくれたんでしょう?!間違ってユーティアを連れて来たんでしょう!」
シューに向かってそう叫ぶミーア。
「え?もしかして俺に行っているか?!」
シューの驚きも当然です。だってミーアは「第一王子」に話しかけているんですものね。シューは第二皇子ですし、自分の事とは思っていなかったのでしょう。
「……娘、その「第一王子」とやらの名前を言うてみよ」
冷たい、冷たい皇妃様の声。第一皇子はファルク様と言うのですけど、ミーアでも一般常識の帝国皇子の名前くらいは覚えているはず。
「え、えっと……しゅー……しゅー……シュークリーム!」
「ユーティア、ユーティア!俺、今、噴き出すの滅茶苦茶堪えた。凄くねえ?!」
ブルブル震えながら、私の隣でシューが興奮気味に小声で話しかけて来ました。
「ええ、素晴らしいです。私も驚きのあまり思考が飛びました」
「シュ、シュークリーム、シューっぶ、ぶふっ!しかも「第一王子」う、ぶふっ」
フィル兄様は耐え切れずその場に膝をつきました。衛兵達は皆、口をぽかんと開けています。
「王よ、私はどうやら酷い侮辱を受けたようですわね」
「そうだな、皇妃よ。娘、そこにいる私の息子の王太子は第二皇子にして名はシューレウスと言う。お前は帝国皇帝の前で偽りしか語らぬ愚か者。ユーティアの姉妹として一刻でも過ごしたと聞いておったがユーティアの苦労が手に取るように分かった。首を刎ねよ」
「ひっ?!な、なんで、何で!助けて!第一王子様!」
この後に及んでもシューに向かって第一王子様、助けてと叫ぶミーア。あの子はこんなにも人の話がわからない子だったのですね。
「お、お待ち、お待ちください王よ」
まだお腹を抱えて笑っていたフィル兄様が立ち上がりました。
「そこの阿呆は首を落とす価値もない。それにユーティアの書類上の家族であった時もあったのです、ねえユーティア。アレらの首、欲しいですか?」
私は首を横に振りました。憎く思った事もありました。どうして、何で、と。しかし、命まで取りたいと思った事はありません。首、もっと要りません。貰ったとしても始終ずるいずるいと文句と小言だけ垂れ流しそうじゃないですか……。
「その者達を殺めてしまえば、心優しいユーティアの事です。負担に思いましょう。これ以上その馬鹿どもの事でユーティアを煩わせたくないのです、どうでしょう?ローザンヌ様」
「そうね、ユーティアの心をこれ以上波立たせるのは本意ではないわ。優しいユーティアに感謝する事ね、お前たちの首が胴から離れなかったのはユーティアのお陰よ」
「え……ユ、ユーティア……の?」
信じられないと目を瞬かせるミーアの絶望に満ちた顔。それを見ても私は優越感などは感じずただ哀れに思うだけでした。
シューに向かってそう叫ぶミーア。
「え?もしかして俺に行っているか?!」
シューの驚きも当然です。だってミーアは「第一王子」に話しかけているんですものね。シューは第二皇子ですし、自分の事とは思っていなかったのでしょう。
「……娘、その「第一王子」とやらの名前を言うてみよ」
冷たい、冷たい皇妃様の声。第一皇子はファルク様と言うのですけど、ミーアでも一般常識の帝国皇子の名前くらいは覚えているはず。
「え、えっと……しゅー……しゅー……シュークリーム!」
「ユーティア、ユーティア!俺、今、噴き出すの滅茶苦茶堪えた。凄くねえ?!」
ブルブル震えながら、私の隣でシューが興奮気味に小声で話しかけて来ました。
「ええ、素晴らしいです。私も驚きのあまり思考が飛びました」
「シュ、シュークリーム、シューっぶ、ぶふっ!しかも「第一王子」う、ぶふっ」
フィル兄様は耐え切れずその場に膝をつきました。衛兵達は皆、口をぽかんと開けています。
「王よ、私はどうやら酷い侮辱を受けたようですわね」
「そうだな、皇妃よ。娘、そこにいる私の息子の王太子は第二皇子にして名はシューレウスと言う。お前は帝国皇帝の前で偽りしか語らぬ愚か者。ユーティアの姉妹として一刻でも過ごしたと聞いておったがユーティアの苦労が手に取るように分かった。首を刎ねよ」
「ひっ?!な、なんで、何で!助けて!第一王子様!」
この後に及んでもシューに向かって第一王子様、助けてと叫ぶミーア。あの子はこんなにも人の話がわからない子だったのですね。
「お、お待ち、お待ちください王よ」
まだお腹を抱えて笑っていたフィル兄様が立ち上がりました。
「そこの阿呆は首を落とす価値もない。それにユーティアの書類上の家族であった時もあったのです、ねえユーティア。アレらの首、欲しいですか?」
私は首を横に振りました。憎く思った事もありました。どうして、何で、と。しかし、命まで取りたいと思った事はありません。首、もっと要りません。貰ったとしても始終ずるいずるいと文句と小言だけ垂れ流しそうじゃないですか……。
「その者達を殺めてしまえば、心優しいユーティアの事です。負担に思いましょう。これ以上その馬鹿どもの事でユーティアを煩わせたくないのです、どうでしょう?ローザンヌ様」
「そうね、ユーティアの心をこれ以上波立たせるのは本意ではないわ。優しいユーティアに感謝する事ね、お前たちの首が胴から離れなかったのはユーティアのお陰よ」
「え……ユ、ユーティア……の?」
信じられないと目を瞬かせるミーアの絶望に満ちた顔。それを見ても私は優越感などは感じずただ哀れに思うだけでした。
197
あなたにおすすめの小説
【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。
138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」
お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。
賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。
誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。
そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。
諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。
乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!
ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。
相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。
結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。
現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう…
その時に前世の記憶を取り戻すのだった…
「悪役令嬢の兄の婚約者って…」
なんとも微妙なポジション。
しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。
善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です
しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。
妹のために犠牲になることを姉だから仕方ないで片付けないでください。
木山楽斗
恋愛
妹のリオーラは、幼い頃は病弱であった。両親はそんな妹を心配して、いつも甘やかしていた。
それはリオーラが健康体になってからも、続いていた。お医者様の言葉も聞かず、リオーラは病弱であると思い込んでいるのだ。
リオーラは、姉である私のことを侮っていた。
彼女は両親にわがままを言い、犠牲になるのはいつも私だった。妹はいつしか、私を苦しめることに重きを置くようになっていたのだ。
ある時私は、妹のわがままによって舞踏会に無理な日程で参加することになった。
そこで私は、クロード殿下と出会う。彼との出会いは、私の現状を変えていくことになるのだった。
えっ「可愛いだけの無能な妹」って私のことですか?~自業自得で追放されたお姉様が戻ってきました。この人ぜんぜん反省してないんですけど~
村咲
恋愛
ずっと、国のために尽くしてきた。聖女として、王太子の婚約者として、ただ一人でこの国にはびこる瘴気を浄化してきた。
だけど国の人々も婚約者も、私ではなく妹を選んだ。瘴気を浄化する力もない、可愛いだけの無能な妹を。
私がいなくなればこの国は瘴気に覆いつくされ、荒れ果てた不毛の地となるとも知らず。
……と思い込む、国外追放されたお姉様が戻ってきた。
しかも、なにを血迷ったか隣国の皇子なんてものまで引き連れて。
えっ、私が王太子殿下や国の人たちを誘惑した? 嘘でお姉様の悪評を立てた?
いやいや、悪評が立ったのも追放されたのも、全部あなたの自業自得ですからね?
【完結】猫を被ってる妹に悪役令嬢を押し付けられたお陰で人生180度変わりました。
本田ゆき
恋愛
「お姉様、可愛い妹のお願いです。」
そう妹のユーリに乗せられ、私はまんまと悪役令嬢として世に名前を覚えられ、終いには屋敷を追放されてしまった。
しかし、自由の身になった私に怖いものなんて何もない!
もともと好きでもない男と結婚なんてしたくなかったし堅苦しい屋敷も好きでなかった私にとってそれは幸運なことだった!?
※小説家になろうとカクヨムでも掲載しています。
3月20日
HOTランキング8位!?
何だか沢山の人に見て頂いたみたいでありがとうございます!!
感想あんまり返せてないですがちゃんと読んでます!
ありがとうございます!
3月21日
HOTランキング5位人気ランキング4位……
イッタイ ナニガ オコッテンダ……
ありがとうございます!!
甘やかされた欲しがり妹は~私の婚約者を奪おうとした妹が思わぬ展開に!
柚屋志宇
恋愛
「お姉様の婚約者ちょうだい!」欲しがり妹ルビーは、ついにサフィールの婚約者を欲しがった。
サフィールはコランダム子爵家の跡継ぎだったが、妹ルビーを溺愛する両親は、婚約者も跡継ぎの座もサフィールから奪いルビーに与えると言い出した。
サフィールは絶望したが、婚約者アルマンディンの助けでこの問題は国王に奏上され、サフィールとルビーの立場は大きく変わる。
※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
★2025/11/22:HOTランキング1位ありがとうございます。
婚約者を譲れと姉に「お願い」されました。代わりに軍人侯爵との結婚を押し付けられましたが、私は形だけの妻のようです。
ナナカ
恋愛
メリオス伯爵の次女エレナは、幼い頃から姉アルチーナに振り回されてきた。そんな姉に婚約者ロエルを譲れと言われる。さらに自分の代わりに結婚しろとまで言い出した。結婚相手は貴族たちが成り上がりと侮蔑する軍人侯爵。伯爵家との縁組が目的だからか、エレナに入れ替わった結婚も承諾する。
こうして、ほとんど顔を合わせることない別居生活が始まった。冷め切った関係になるかと思われたが、年の離れた侯爵はエレナに丁寧に接してくれるし、意外に優しい人。エレナも数少ない会話の機会が楽しみになっていく。
(本編、番外編、完結しました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる