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33 私は大丈夫です
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「みてみて、馬鹿な娘がやって来るよ」
「母親も馬鹿なのさ。何せグラフの末の娘を虐めたんだ!」
「え……」
城下町に放り出されたミーアとマリーンは驚いた。なんと、飾りの鳥が喋ったのだ。
ミーアの火傷は命には別状なかったがおでこに大きな火傷の跡は残った。一生元に戻る事はないだろう。
「ほらみて、アレが馬鹿な娘だよ」
「身の程知らずな平民の娘!王子様に嫌われてる!」
「首を飛ばされる寸前にユーティア様に助けられた。慈悲深いユーティア様。自分を虐めた娘を助けたよ」
古いランプも、壁の飾りも、銅像も、道に埋められたレンガですら喋り出す。
「この街でグラフの娘を虐めた、酷い娘!」
「な、なに?!何なの……!」
「だ、黙りなさい!誰がそんなデタラメを!」
ミーアとマリーンは騒ぎ立てるが、人々は遠巻きにヒソヒソと噂し合う。
「まあ、恐ろしい!近づいてはだめよ。グラフの街でグラフの末の娘を虐めたんですって!」
「馬鹿だとかそう言う問題じゃないな。疫病神だ!近寄るな!グラフの加護を失うぞ!」
ミーアとマリーンはそのままどこかへ消えて行った。どこへ行っても噂をばら撒かれ、最低限の生活ですら送れたか定かではない。
「私は可愛いの!」
「その火傷と……でかい吹き出物がなきゃましかもしれんが、それじゃちゃっとなぁ」
「なんで!毎日できるのよぉ!この吹き出物ぉー!」
生き延びならばその娘は今もそう叫んでいるだろう。
何とか帰り着いたチャールズも、兄達や王家から叱責と責任を取らされ爵位は剥奪、家も財産も領地も全て没収される。
兄達に頼ろうにも、潤っていた兄達の家も事業は失敗し、あっという間に没落していった。
ユーティアの婚約者だったアレクシスは「病」になり、遠い保養地で「養生」。第二王子のイセルバードが王太子として立ったが、野獣被害が増えたり、疫病が流行ったり、イナゴの被害に合い厳しい政治を余儀なくされている。
「これがグラフの指輪が無くなったと言う事なのか……」
頭を抱えても現状は良くならず、国はどんどん衰えていった。
「ユーティア!孫にも衣装だ!」
「馬子ですよ、シュー。あとそれ褒め言葉ではありませんよ、どちらかと言うと馬鹿にしている言葉です」
シューは青い顔。折角男前に整えたのに大汗をかきながら自分の失言に右往左往だ。
「ぐわー!折角少しは勉強している所をユーティアに見せて褒めて貰おうと思ったのに!やっぱり俺は庭師の方が良いー!」
「ふふ、私はそれでも構いませんよ」
意外だったのか、シューは目を丸くしてから笑い
「王太子の婚約者でなくて良いんだ?」
「ええ、リリアス家の庭でも二人で整えて暮らしましょうか?」
「悪くない!」
それでも差し出されたシューの手に手を重ねる。
「俺は極力喋らないから!頼むね、婚約者様」
「ええ、お任せください。王太子殿下」
私達は顔を見合わせて、笑いあってから王太子とその婚約者の顔になる。
豪華な扉を開けるために控えていた侍従もにこやかに微笑み、私が一つ頷くと恭しく扉を開けてくれた。
「王太子殿下、シューレウス・グスタフ・マラガラム様と「グラフの末の娘」ユーティア・リリアス嬢、お付きでございます」
二人揃っての初めての公式の場。お互いの瞳の色を差し色に使った揃いの服に、フィル兄様が用立てて下さった魔法が込められた大きな宝石が煌びやか。
私は今、素晴らしい家族がいるのです。そして私を見て大切にしてくれる婚約者も、努力を認めてくれる人も。
お母様、ユーティアは「グラフの末の娘」でも大丈夫です、幸せになれます。
素晴らしい未来へ足を踏み出したのでした。
終わり
「母親も馬鹿なのさ。何せグラフの末の娘を虐めたんだ!」
「え……」
城下町に放り出されたミーアとマリーンは驚いた。なんと、飾りの鳥が喋ったのだ。
ミーアの火傷は命には別状なかったがおでこに大きな火傷の跡は残った。一生元に戻る事はないだろう。
「ほらみて、アレが馬鹿な娘だよ」
「身の程知らずな平民の娘!王子様に嫌われてる!」
「首を飛ばされる寸前にユーティア様に助けられた。慈悲深いユーティア様。自分を虐めた娘を助けたよ」
古いランプも、壁の飾りも、銅像も、道に埋められたレンガですら喋り出す。
「この街でグラフの娘を虐めた、酷い娘!」
「な、なに?!何なの……!」
「だ、黙りなさい!誰がそんなデタラメを!」
ミーアとマリーンは騒ぎ立てるが、人々は遠巻きにヒソヒソと噂し合う。
「まあ、恐ろしい!近づいてはだめよ。グラフの街でグラフの末の娘を虐めたんですって!」
「馬鹿だとかそう言う問題じゃないな。疫病神だ!近寄るな!グラフの加護を失うぞ!」
ミーアとマリーンはそのままどこかへ消えて行った。どこへ行っても噂をばら撒かれ、最低限の生活ですら送れたか定かではない。
「私は可愛いの!」
「その火傷と……でかい吹き出物がなきゃましかもしれんが、それじゃちゃっとなぁ」
「なんで!毎日できるのよぉ!この吹き出物ぉー!」
生き延びならばその娘は今もそう叫んでいるだろう。
何とか帰り着いたチャールズも、兄達や王家から叱責と責任を取らされ爵位は剥奪、家も財産も領地も全て没収される。
兄達に頼ろうにも、潤っていた兄達の家も事業は失敗し、あっという間に没落していった。
ユーティアの婚約者だったアレクシスは「病」になり、遠い保養地で「養生」。第二王子のイセルバードが王太子として立ったが、野獣被害が増えたり、疫病が流行ったり、イナゴの被害に合い厳しい政治を余儀なくされている。
「これがグラフの指輪が無くなったと言う事なのか……」
頭を抱えても現状は良くならず、国はどんどん衰えていった。
「ユーティア!孫にも衣装だ!」
「馬子ですよ、シュー。あとそれ褒め言葉ではありませんよ、どちらかと言うと馬鹿にしている言葉です」
シューは青い顔。折角男前に整えたのに大汗をかきながら自分の失言に右往左往だ。
「ぐわー!折角少しは勉強している所をユーティアに見せて褒めて貰おうと思ったのに!やっぱり俺は庭師の方が良いー!」
「ふふ、私はそれでも構いませんよ」
意外だったのか、シューは目を丸くしてから笑い
「王太子の婚約者でなくて良いんだ?」
「ええ、リリアス家の庭でも二人で整えて暮らしましょうか?」
「悪くない!」
それでも差し出されたシューの手に手を重ねる。
「俺は極力喋らないから!頼むね、婚約者様」
「ええ、お任せください。王太子殿下」
私達は顔を見合わせて、笑いあってから王太子とその婚約者の顔になる。
豪華な扉を開けるために控えていた侍従もにこやかに微笑み、私が一つ頷くと恭しく扉を開けてくれた。
「王太子殿下、シューレウス・グスタフ・マラガラム様と「グラフの末の娘」ユーティア・リリアス嬢、お付きでございます」
二人揃っての初めての公式の場。お互いの瞳の色を差し色に使った揃いの服に、フィル兄様が用立てて下さった魔法が込められた大きな宝石が煌びやか。
私は今、素晴らしい家族がいるのです。そして私を見て大切にしてくれる婚約者も、努力を認めてくれる人も。
お母様、ユーティアは「グラフの末の娘」でも大丈夫です、幸せになれます。
素晴らしい未来へ足を踏み出したのでした。
終わり
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