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14 私、キレましたわ!
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「えっ……モブは私のためにいろいろしてくれるのが当然じゃん」
「呆れた」
なぜそう思ったのか全然わからないけれど、きっとこれもヒドインという生物だからなんだわ。流石の私ももうついていけない。
「あなたが私のことを友達からと呼ぶからそうなのかと思って付き合ってみたけれど、違うようね。リンデンドール家の力に擦り寄る汚い女だったのだわ」
汚い、まで言われてさすがのニーナもカッと来たらしい。
「な、何よ、何よ、カリンの癖に! そんな態度取ってると……良いの? バラすわよ、あんたの隠していること!」
「隠していること?」
私の隠し事なんて……あっ! お姉様とグウェイン様の結婚式用に白いヴェールをルシア様とお母様と私と3人で刺繍していること?! 私の所だけぐちゃぐちゃで汚いことかしら?! それは、恥ずかしいわ……!
私が止めてという前に得意顔でニーナは声を顰める。
「カリン、あんたが平民の生まれだってこと、皆にバラすわよ?」
「え?」
バラすも何も、皆知ってるけど……。私は呆気に取られて声が詰まった。だって、お姉様が6歳の時に一つ年下の私が湧いて出たのよ? そんなの訳ありの妹って誰だって気づくでしょう?
そこから、少しづつ少しづつ社交界にお姉様とルシア様の付き添いで顔を出し、平民出だけれども、しっかり勉強していることをアピールして、リンデンドール家に正式に認められていることを内外に知らせている。
学園の調書にだってしっかり記載したし、血筋が卑しいと何度も虐められたけれど
「勉強で見返すのよ。私も教えられることは教えるわ」
「うう……ぐすん、お姉様、ありがとうございます」
頭を撫でてくれながら、一生懸命そして一緒にいてくれたお姉様のお陰でこうして見下されることなく立っていられるようになったのに。
私はこのニーナという人間を心底軽蔑した。
「だから何? それがどうしたっていうの?」
「は? だってゲームではエイミアにそのネタでいつも虐められてたじゃん……?」
「お姉様はそんなことなさるはずがない!」
しかもお姉様まで侮辱するなんて! マックス様、すみません、私は限界です!!
「あなたにはもう付き合いきれません! 二度と話しかけて来ないで! エイミアお姉様にも、これ以上迷惑をかけないで頂戴! 訴えますよ!」
「カ、カリンの癖になによなによーー! 皆にチクってやるんだから!」
「どうぞご自由に! 皆様知っていることですわ!」
これがたまにお母様とルシア様が仰っていたブチギレるという現象なんだわ! 本当に本当に腹が立って仕方がない! 淑女らしくないけれど、物凄い足音を立てて廊下を歩いてしまったし、私の剣幕に何人もの人がギョッとした顔でこちらを見ていた。
でも、もう限界!
「良く言ってくださったわ! カリン様」
「スカッとしましたわ!」
「カリン様、頑張りましたね!」
私の友人達は皆笑顔で迎えてくれた。
「はしたない所をお見せしました……でもお姉様のことを言われると我慢できなくて……」
激情が去ると途端に恥ずかしくなったわ……ああ、これだから私は駄目なのよね……お姉様にうんと叱られてしまうわ……でもお姉様が私のために怒ってくれるのは実はちょっと嬉しい。
「カリンさまはエイミア様のこと大好きですもんね」
「エイミア様ってちょっと硬い雰囲気をお持ちですけれど、とても優しいですものね」
「ええ! 周りをよく見ていらっしゃって、私、風邪で熱があった時にエイミア様に救護室まで連れて行ってもらったことがありますのよ」
え、うそ
「「「羨ましい!」」」
わ、私なんて風邪で寝込んだ時にすりおろしたりんごを持ってきてもらったんですよっ!! う、羨ましくなんてうらやましー!!
「呆れた」
なぜそう思ったのか全然わからないけれど、きっとこれもヒドインという生物だからなんだわ。流石の私ももうついていけない。
「あなたが私のことを友達からと呼ぶからそうなのかと思って付き合ってみたけれど、違うようね。リンデンドール家の力に擦り寄る汚い女だったのだわ」
汚い、まで言われてさすがのニーナもカッと来たらしい。
「な、何よ、何よ、カリンの癖に! そんな態度取ってると……良いの? バラすわよ、あんたの隠していること!」
「隠していること?」
私の隠し事なんて……あっ! お姉様とグウェイン様の結婚式用に白いヴェールをルシア様とお母様と私と3人で刺繍していること?! 私の所だけぐちゃぐちゃで汚いことかしら?! それは、恥ずかしいわ……!
私が止めてという前に得意顔でニーナは声を顰める。
「カリン、あんたが平民の生まれだってこと、皆にバラすわよ?」
「え?」
バラすも何も、皆知ってるけど……。私は呆気に取られて声が詰まった。だって、お姉様が6歳の時に一つ年下の私が湧いて出たのよ? そんなの訳ありの妹って誰だって気づくでしょう?
そこから、少しづつ少しづつ社交界にお姉様とルシア様の付き添いで顔を出し、平民出だけれども、しっかり勉強していることをアピールして、リンデンドール家に正式に認められていることを内外に知らせている。
学園の調書にだってしっかり記載したし、血筋が卑しいと何度も虐められたけれど
「勉強で見返すのよ。私も教えられることは教えるわ」
「うう……ぐすん、お姉様、ありがとうございます」
頭を撫でてくれながら、一生懸命そして一緒にいてくれたお姉様のお陰でこうして見下されることなく立っていられるようになったのに。
私はこのニーナという人間を心底軽蔑した。
「だから何? それがどうしたっていうの?」
「は? だってゲームではエイミアにそのネタでいつも虐められてたじゃん……?」
「お姉様はそんなことなさるはずがない!」
しかもお姉様まで侮辱するなんて! マックス様、すみません、私は限界です!!
「あなたにはもう付き合いきれません! 二度と話しかけて来ないで! エイミアお姉様にも、これ以上迷惑をかけないで頂戴! 訴えますよ!」
「カ、カリンの癖になによなによーー! 皆にチクってやるんだから!」
「どうぞご自由に! 皆様知っていることですわ!」
これがたまにお母様とルシア様が仰っていたブチギレるという現象なんだわ! 本当に本当に腹が立って仕方がない! 淑女らしくないけれど、物凄い足音を立てて廊下を歩いてしまったし、私の剣幕に何人もの人がギョッとした顔でこちらを見ていた。
でも、もう限界!
「良く言ってくださったわ! カリン様」
「スカッとしましたわ!」
「カリン様、頑張りましたね!」
私の友人達は皆笑顔で迎えてくれた。
「はしたない所をお見せしました……でもお姉様のことを言われると我慢できなくて……」
激情が去ると途端に恥ずかしくなったわ……ああ、これだから私は駄目なのよね……お姉様にうんと叱られてしまうわ……でもお姉様が私のために怒ってくれるのは実はちょっと嬉しい。
「カリンさまはエイミア様のこと大好きですもんね」
「エイミア様ってちょっと硬い雰囲気をお持ちですけれど、とても優しいですものね」
「ええ! 周りをよく見ていらっしゃって、私、風邪で熱があった時にエイミア様に救護室まで連れて行ってもらったことがありますのよ」
え、うそ
「「「羨ましい!」」」
わ、私なんて風邪で寝込んだ時にすりおろしたりんごを持ってきてもらったんですよっ!! う、羨ましくなんてうらやましー!!
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