【完結】転生悪役っぽい令嬢、家族巻き込みざまぁ回避~ヒドインは酷いんです~

鏑木 うりこ

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20 チュートリアル

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「だって、私ちゃんと、ゲームで……あ……」

 私、

「ヒ、ヒロインが学園に入学して……カリンと会って、そして……」

 その先、頭の中で考えていたけれど……その先、作ってなくない?? 王子様を見かけて、カリンと友達になって、そして、そして、その続きは、作って……ない。作る前にこの世界に来ちゃってる?? どうして、どうして??

「ニーナ……ニーナちゃん!」

 私はその場で気を失ったみたいだった。そして声が聞こえて来た。

〈だから、簡単なものにしろとあれほどチュートリアルで言ったんだ。簡単な人生なら、最初にお前が作った人生のストーリーなら最後までクリアできたんだ。かっこいい男性と結婚して幸せに暮らす、そんな簡単でつまらないが約束された人生を歩めたのに〉
「チュートリアルの神様なの!? あのゲームを最後までちゃんと作らせてよ、私は王子様と幸せになりたいの!」
〈もう無理だな。あのゲーム機はあちらの世界に属すもの。お前はこれからこちらの世界で生きて行かねばならない〉
「い、嫌よ! だってどう考えても幸せじゃない! ね、ねえ! 最初に作った簡単な方で良いから、そっちでいい、そっちに行かせて!」
〈消したではないか。お前自ら自分の手で。お前の思い描いた幸せの人生を……リセットし、チリに変えてしまったではないか。あそこにあったお前の人生、お前の幸せはもう二度と戻ってはこない。お前の徳はここまでしか創り上げることができなかった、そういうことだ。お前はお前が中途半端に作ったこの世界で最後まで生きていかねばならない〉
「うそ……うそよ、嘘! いや、いやあああああ!!」


「ニーナちゃん! ニーナちゃん起きて!」
「どうして……どうしてなの……!」

 目を覚ますとのお母様がいた。違う、私はこの世界じゃなくて前の世界に帰りたいの!

「やめて、あんたなんてお母さんじゃない! なんで、なんでこの世界なの!? お母さん、お母さんどこ!? あのゲームをもう一度やらせてよ、お母さん、お母さんーー!」
「ニーナちゃん、お母様はここですよ! ああ、困ったわ、どうしたらいいの? ニーナちゃん、お金は持っているかしら? お母様お金なんて持っていなくて、今日どこに泊ったらいいのかしら? この家には私達しかいないのよ、どうしたらいいかしら? ニーナちゃん」
「知らないわよ! あんたが、ドレスとか買うからお父様に愛想をつかされたんだわ! あんたのせいよ!」
「何を言ってるの? ニーナちゃん。ニーナちゃんがお金を持って来てくれるんでしょう? だってニーナちゃんは王子様と結婚するんですものね」

 私はぞくりと寒気が走る。お母様が何かおかしい……。

「お、おかあ……さま?」
「ねえ、ニーナちゃん。ニーナちゃんはお母様を置いて行かないわよね? そうでしょう、ニーナちゃんのことを信じたお母様を放っておかないわよね? そうよね、ニーナちゃん?」

 目が正気じゃない……! 怖い、こんなのお母様じゃないっ!

「い、いや……いやあああ!」
「ニーナちゃん! 待って、お母様を置いて行かないでー!!」

 私は手を伸ばすお母様を振り切って家から飛び出した。どうして、どうしてこんなことになったの? 私は何も悪いことをしてないのに、どうして? こんな目に合わなきゃいけないの!?

〈他人のものをちょろまかすから悪いのさ。あのゲーム機はあの男のものだったんだから〉

 そう、ぼそりと呟いたチュートリアルの声は、もう私には聞こえなかった。


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