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プロローグ
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「危ない!」
「きゃ~!」
階段の上にいた私は誰かに背中を押され、真っ逆さまに落下している最中だ。
「ミランダ・ノルバスク! お前との婚約を破棄する!」
ん? なんだこの記憶は? 頭の中に映像が流れ込んできた。
「理由をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「理由? それは自分が1番わかっているであろう。この可愛いキャロラインを虐め、殺害未遂までした。そんな悪女とは結婚するつもりはない」
「私は何もしておりませんわ。証拠はあるのですか」
「証拠? このキャロラインがそう申しておる」
「それだけですか?」
「それだけとはどういうことだ。キャロラインが嘘を申すと言うのか!」
「証拠が証言だけとは。きちんとお調べ下さいませ!」
「ええい、うるさい! この悪女め! 私はミランダ・ノルバスクと婚約を破棄し、このキャロラインと結婚する。お前は貴族籍を剥奪し、国外追放とする! 連れて行け!」
あぁそうだ。これは忘れていた前世の記憶だ。私は冤罪で婚約者だった王太子から婚約を破棄され、国外追放になった。
騎士達に捕えられ縄をかけられた。そしてそのまま家に戻されることもなく馬車に乗せられたのだ。
「こんなことが許されるとお思いですの!」
「悪女の癖に何を言う。お前のせいでキャロライン様がどんなに苦しんだか。お前など本来は死罪なのだ。それなのに優しいキャロライン様はお前などに温情をかけられて国外追放となった。キャロライン様に感謝するんだな」
騎士はそう言うと馬車のドアを力任せに閉めた。
こいつもキャロラインの信者か。何を言っても無駄だろう。
キャロラインが現れるまでは平和だった。
幼い頃から婚約者だった殿下とも一緒に良い国にしていこうと語り合い、仲良くしていた。
それなのに、キャロラインが現れてから殿下や側近達がキャロラインに傾倒していった。
いつの間にか私は愛し合うふたりの邪魔をする悪女と呼ばれるようになった。
私は何もしていない。これは全てキャロラインの自作自演だ。
なのに馬鹿な男達にはそれがわからない。そしてこんなことになった。
何が優しいキャロライン様だ。悪女はどっちだ。本当に腹立たしい。
あんな女に騙されるやつが次期国王だなんてこの国はきっと滅びるだろう。私がいくら頑張っても所詮馬鹿は馬鹿なのだ。
キィーッ
馬車が止まった。どうしたのだろう?
私は窓から外を見た。
え? 崖?
なぜ崖? 国境は崖ではないはず。
そう思っていると、急に馬車が猛スピードで動き出した。
振り返ると御者の姿が見える。
ちょっと待って、この馬車だれが操作しているの?
あぁ、そういうことね。国外追放はあくまで表向きの沙汰ということね。
「王太子もキャロラインも許さないわ。ふたりとも呪われればいい。側近達も許さない。みんな呪われろ。こんな国滅びてしまえ。人を貶めて幸せになどなれるものか。私は絶対に許さない! お父様、お母様、お義兄様、もう一度お会いしとうございました。不本意ではございますが私はこれまでのようです」
ドーン!
激しい音がして馬車ごと宙に舞ったようだ。
私は目の前が真っ暗になった。
「きゃ~!」
階段の上にいた私は誰かに背中を押され、真っ逆さまに落下している最中だ。
「ミランダ・ノルバスク! お前との婚約を破棄する!」
ん? なんだこの記憶は? 頭の中に映像が流れ込んできた。
「理由をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「理由? それは自分が1番わかっているであろう。この可愛いキャロラインを虐め、殺害未遂までした。そんな悪女とは結婚するつもりはない」
「私は何もしておりませんわ。証拠はあるのですか」
「証拠? このキャロラインがそう申しておる」
「それだけですか?」
「それだけとはどういうことだ。キャロラインが嘘を申すと言うのか!」
「証拠が証言だけとは。きちんとお調べ下さいませ!」
「ええい、うるさい! この悪女め! 私はミランダ・ノルバスクと婚約を破棄し、このキャロラインと結婚する。お前は貴族籍を剥奪し、国外追放とする! 連れて行け!」
あぁそうだ。これは忘れていた前世の記憶だ。私は冤罪で婚約者だった王太子から婚約を破棄され、国外追放になった。
騎士達に捕えられ縄をかけられた。そしてそのまま家に戻されることもなく馬車に乗せられたのだ。
「こんなことが許されるとお思いですの!」
「悪女の癖に何を言う。お前のせいでキャロライン様がどんなに苦しんだか。お前など本来は死罪なのだ。それなのに優しいキャロライン様はお前などに温情をかけられて国外追放となった。キャロライン様に感謝するんだな」
騎士はそう言うと馬車のドアを力任せに閉めた。
こいつもキャロラインの信者か。何を言っても無駄だろう。
キャロラインが現れるまでは平和だった。
幼い頃から婚約者だった殿下とも一緒に良い国にしていこうと語り合い、仲良くしていた。
それなのに、キャロラインが現れてから殿下や側近達がキャロラインに傾倒していった。
いつの間にか私は愛し合うふたりの邪魔をする悪女と呼ばれるようになった。
私は何もしていない。これは全てキャロラインの自作自演だ。
なのに馬鹿な男達にはそれがわからない。そしてこんなことになった。
何が優しいキャロライン様だ。悪女はどっちだ。本当に腹立たしい。
あんな女に騙されるやつが次期国王だなんてこの国はきっと滅びるだろう。私がいくら頑張っても所詮馬鹿は馬鹿なのだ。
キィーッ
馬車が止まった。どうしたのだろう?
私は窓から外を見た。
え? 崖?
なぜ崖? 国境は崖ではないはず。
そう思っていると、急に馬車が猛スピードで動き出した。
振り返ると御者の姿が見える。
ちょっと待って、この馬車だれが操作しているの?
あぁ、そういうことね。国外追放はあくまで表向きの沙汰ということね。
「王太子もキャロラインも許さないわ。ふたりとも呪われればいい。側近達も許さない。みんな呪われろ。こんな国滅びてしまえ。人を貶めて幸せになどなれるものか。私は絶対に許さない! お父様、お母様、お義兄様、もう一度お会いしとうございました。不本意ではございますが私はこれまでのようです」
ドーン!
激しい音がして馬車ごと宙に舞ったようだ。
私は目の前が真っ暗になった。
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