【完結】冤罪で殺された王太子の婚約者は100年後に生まれ変わりました。今世では愛し愛される相手を見つけたいと思っています。

金峯蓮華

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【閑話】母と娘の会話

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 私は学園から屋敷に戻ると、母に薬のことを聞いてみた。

「魅了の魔法をかけられているようになる薬なのです。ご存知ありませんか? 殿下やリーン様は、ものすごく不快な匂いがするので、きっと薬を砕き、水に混ぜ、香水のように使っているのでは無いかと仰るのです」

「魅了の魔法にかかったようになる薬ね? ちょっと待って。探してみるわ」

 母はマジックボックスから分厚い事典のような本を取り出した。

「アロマかもしれないわね。またはハーブチンキみたいなものかしらね。不快な匂いってどんな感じ? ミオは匂ったの?」

「それが、近くにいても私は全く感じないのです。男性にだけ匂うのかしら?」

「う~ん、難しいわね。お母様に伝書バードで聞いてみようかしら?」

母は祖母に伝書バードで手紙を送った。

「ディアナに薬と薬草を調べて欲しいと頼んでいるのだけれど、どちらが早いかしら」

「あら、暗部のお出ましなの? ちょうどあなたが階段から落ちてモーバー卿と学園から帰ってきた日の次の日にお父様が陛下に呼ばれたのは、ガランタミン国の件だったのだけど、それ以来。お父様も毎日のようにお城に上がっているし、なんだか大変なことになっているみたいね」

 あの次の日に父が陛下に会うと言っていたのはその事だったのか。

「それにしても100年前の他国で起きた事件の当事者達が生まれ変わってまた事件が起きそうだなんて嘘みたいな話ね。ねぇ、100年前ってどんな感じだったの?」

 母は興味津々のようだ。

「私の記憶では、今とそんなに変わらないですわ。ただ魔法は使えませんでした」

「う~ん、レミニールは100年前も魔法は使えたわよ。うちの先祖魔導士だもの。リスミー家の方じゃなく、アローゼン家の方ね」

 母の実家は代々、医師や薬師だと聞いていたが魔導士だったのか?

「医師や薬師ではないのですか?」

「医師も薬師も魔法が使えなきゃダメでしょ? だから私も遺伝であなたも回復魔法が使えるのよ」

「お母様、私も練習すれば魅了の魔法を使えるようになるのでしょうか?」

 母は目を丸くした。

「誰かに使いたいの?」

「いえ、なんとなく」

「ふぅ~ん、使えるわよ。回復魔法は精神にも作用するでしょう。魅了の魔法は精神拘束魔法だもの。でも、長く使われると精神がボロボロになってしまうし、政治的に使われてしまったり、邪な人が使ったりしたから、それこそ100年くらい前に禁忌になったはずよ。今では文献も残ってないし使える人はいないはずだわ。文献を見つけられればできるわよ」

 母はふふふと笑いながら事典を広げて薬を探している。

「ねぇ、ミオ、魅了の魔法なんか邪道よ。好きな人の心を魅了したいなら、自分を磨きなさい。好きになった人のことは自分の本当の魅力で魅了しなければ意味はないわ」

 確かにそうだ。好きになった人か~。

 私は誰が好きなんだろう?

 前世ではヘンドリック殿下の婚約者だったけど、好きだったのかどうかわからない。

 前世の私の好きな人? 誰だったのだろう?

 
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