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3話 生まれ変わってしまった
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どういうこと? 死ぬ間際に聞いたあの声あれは神様だったのかしら?
私は生き返らせろと言ったのよ。生まれ変わらせろとは言ってないわ。しかも、アーベルの娘? 勘弁して欲しいわ。
「ローザ、ありがとう。元気で可愛い姫を産んでくれて本当にありがとう」
アーベルはローザリアの手を握っている。
「アーベル様、この子はやっぱりエデルお義姉様の生まれ変わりよ。ほら、髪の色も眼の色もお義姉様と同じ。顔も似ているわ」
ローザリア、こう言ってはなんですが、アーベルも同じ髪色で同じ眼の色、顔も姉と弟だから似てるのよ。つまり私はアーベルに似てるのであってエデルガルトに似ているわけじゃないの。
ほら、アーベル! なんとか言え。私はアーベルの顔を見た。アーベルも私の顔をじって見ている。
「ローザ、この子は私に似ているんだよ。この髪色と眼の色はバウムガルテンの王家の色だ。姉上も私も父上もそうだよ。君が姉上を慕っていたのはよく知っている。でもこの子は私達の娘で姉上ではないんだ」
「わかっているわ、そんなこと。この子は私達の娘でお義姉様じゃない。でもお義姉様の生まれ変わりなのよ」
はぁ~。私はため息をついた。ローザリアは一本気で頑固者だ。言い出したら聞かない。
まぁ、生まれ変わりなのは確かなんだから仕方ないか。
それより、あれからこの国はどうなっているのだろう?
あの時はまだ婚姻前でローザリアは懐妊していなかったはず、あの後すぐ婚姻するはずだったが、私が死んだせいで、延期になっただろう。多分、喪が明けるまで待って、それから婚姻し、妊娠したということはあれから3年は経っているということか。
みんな部屋から出ていき、ローザリアとふたりっきりになった。ローザリアは私を抱きしめる。
「エデルお義姉様なんでしょ? やっぱりアーベル様じゃ心配で生まれ変わってきてくれたのですね……。んなわけないわね。小説の世界じゃあるまいし、生まれ変わりなんてあるわけないわよね。でもね、赤ちゃん、あなたにはお義姉様の生まれ変わりってことにしてもらうわよ。でないと我が国はだめなのよ~」
ローザリアは私を抱きしめ泣き出した。私が死んでから生まれ変わるまでの間に一体何があったんだ。ローザリアはハンカチで涙を拭き話を続けた。
「あの事件のあと捕まったミアは、自白剤でペラペラ喋ったの。ミアの後ろにいたのは、クラッセン王国だったの。それを聞いてブチ切れたライムント様は移動魔法でクラッセン王国に飛んで、国王やら、側近やらを皆殺しにしちゃったのよ」
はぁ~? ライムント、何やってるのよ。私はこの国とアーベルと頼むと言ったはずよ。
「そして、お義姉様の遺体の前に移動魔法で戻ってきて自害したの。殉死したい気持ちはわかるけど、関係者みんな殺して自分も死んじゃったら、なぜクラッセン王国がミアを使ってお義姉様を殺したのか理由がわからないでしょう? 全く単細胞だわ。お義姉様の最後の願いはこの国とアーベルを頼むでしょう。敵を討ってくれなんて言ってないのに」
ローザリアはため息をついた。
馬鹿ライムント。何やってるんだ。敵を討つのはまぁいいとして、死んでどうするんだ。アーベルは頼りない。ローザリアだけで支えるのは無理がある。だからライムントに頼んだのに。全く私もため息をつきたいよ。
ローザリアは私のほっぺたを突っついた。
「あなたがお義姉様の生まれ変わりだって民に発表したら、民も安心するわ。アーベルや私がいくら頑張ってもお義姉様にはかなわない。民はお義姉様を慕っているの。あなたをお義姉様の生まれ変わりだと言って民によろこんでほしいの。あなたに旗印になってほしいのよ。私達はお義姉様には敵わないけど地道にコツコツやっていくわ。だからごめんなさいね。恨むなら私を恨んでね」
ローザリアは辛そうだ。アーベルを支えるのに疲れてしまっているのだろう。
しかし、後始末はどうしたのだろう? ライムントがやったということでクラウベルク王国がやってくれたのかな? その辺りも気になる。
―コンコン
「私だよ。入るよ」
アーベルか。
「ローザ、その子の名前なんだけどね」
「エデルガルトよ。この子はエデルガルト・バウムガルテン」
「何馬鹿なことを言っているんだ。いい加減に姉上のことは忘れるんだ」
アーベルは思ったより普通だな。常識人でよかった。
「アーベルはなんでわからないの? お義姉様よ。ほらそっくりでしょう?」
ローザリアの言葉にアーベルは目を伏せた。
きっとローザリアの気がふれたとでも思っているのだろう。
アーベルは私の目をじっと見る。
「君は姉上なのか?」
さて、どうしたものか?
「姉上……」
ん? なんでわかった。
アーベルはローザリアに聞こえないような小さな声でつぶやく。
「仕方ない」
えっ? 何それ?
「わかった。お前がそこまで言うならこの子は姉上の生まれ変わりなんだろう。私も信じるよ」
アーベルめ。ローザリアに押し切られた振りをして責任逃れだな。
どうやら私はまたエデルガルト・バウムガルテンとしてもう一度初めから生き直すことになった。
しかも前世の記憶を持ったまま。弟夫婦の娘として。
私の新しい人生はどうなるんだろう? それにしてもまた同じ名前って、そのまんまじゃないの!
違う名前にしろと訴えてみたが全く届いてないようだ。
こうして私のエデルガルト・バウムガルテンとしての二度目の人生がはじまった。
私は生き返らせろと言ったのよ。生まれ変わらせろとは言ってないわ。しかも、アーベルの娘? 勘弁して欲しいわ。
「ローザ、ありがとう。元気で可愛い姫を産んでくれて本当にありがとう」
アーベルはローザリアの手を握っている。
「アーベル様、この子はやっぱりエデルお義姉様の生まれ変わりよ。ほら、髪の色も眼の色もお義姉様と同じ。顔も似ているわ」
ローザリア、こう言ってはなんですが、アーベルも同じ髪色で同じ眼の色、顔も姉と弟だから似てるのよ。つまり私はアーベルに似てるのであってエデルガルトに似ているわけじゃないの。
ほら、アーベル! なんとか言え。私はアーベルの顔を見た。アーベルも私の顔をじって見ている。
「ローザ、この子は私に似ているんだよ。この髪色と眼の色はバウムガルテンの王家の色だ。姉上も私も父上もそうだよ。君が姉上を慕っていたのはよく知っている。でもこの子は私達の娘で姉上ではないんだ」
「わかっているわ、そんなこと。この子は私達の娘でお義姉様じゃない。でもお義姉様の生まれ変わりなのよ」
はぁ~。私はため息をついた。ローザリアは一本気で頑固者だ。言い出したら聞かない。
まぁ、生まれ変わりなのは確かなんだから仕方ないか。
それより、あれからこの国はどうなっているのだろう?
あの時はまだ婚姻前でローザリアは懐妊していなかったはず、あの後すぐ婚姻するはずだったが、私が死んだせいで、延期になっただろう。多分、喪が明けるまで待って、それから婚姻し、妊娠したということはあれから3年は経っているということか。
みんな部屋から出ていき、ローザリアとふたりっきりになった。ローザリアは私を抱きしめる。
「エデルお義姉様なんでしょ? やっぱりアーベル様じゃ心配で生まれ変わってきてくれたのですね……。んなわけないわね。小説の世界じゃあるまいし、生まれ変わりなんてあるわけないわよね。でもね、赤ちゃん、あなたにはお義姉様の生まれ変わりってことにしてもらうわよ。でないと我が国はだめなのよ~」
ローザリアは私を抱きしめ泣き出した。私が死んでから生まれ変わるまでの間に一体何があったんだ。ローザリアはハンカチで涙を拭き話を続けた。
「あの事件のあと捕まったミアは、自白剤でペラペラ喋ったの。ミアの後ろにいたのは、クラッセン王国だったの。それを聞いてブチ切れたライムント様は移動魔法でクラッセン王国に飛んで、国王やら、側近やらを皆殺しにしちゃったのよ」
はぁ~? ライムント、何やってるのよ。私はこの国とアーベルと頼むと言ったはずよ。
「そして、お義姉様の遺体の前に移動魔法で戻ってきて自害したの。殉死したい気持ちはわかるけど、関係者みんな殺して自分も死んじゃったら、なぜクラッセン王国がミアを使ってお義姉様を殺したのか理由がわからないでしょう? 全く単細胞だわ。お義姉様の最後の願いはこの国とアーベルを頼むでしょう。敵を討ってくれなんて言ってないのに」
ローザリアはため息をついた。
馬鹿ライムント。何やってるんだ。敵を討つのはまぁいいとして、死んでどうするんだ。アーベルは頼りない。ローザリアだけで支えるのは無理がある。だからライムントに頼んだのに。全く私もため息をつきたいよ。
ローザリアは私のほっぺたを突っついた。
「あなたがお義姉様の生まれ変わりだって民に発表したら、民も安心するわ。アーベルや私がいくら頑張ってもお義姉様にはかなわない。民はお義姉様を慕っているの。あなたをお義姉様の生まれ変わりだと言って民によろこんでほしいの。あなたに旗印になってほしいのよ。私達はお義姉様には敵わないけど地道にコツコツやっていくわ。だからごめんなさいね。恨むなら私を恨んでね」
ローザリアは辛そうだ。アーベルを支えるのに疲れてしまっているのだろう。
しかし、後始末はどうしたのだろう? ライムントがやったということでクラウベルク王国がやってくれたのかな? その辺りも気になる。
―コンコン
「私だよ。入るよ」
アーベルか。
「ローザ、その子の名前なんだけどね」
「エデルガルトよ。この子はエデルガルト・バウムガルテン」
「何馬鹿なことを言っているんだ。いい加減に姉上のことは忘れるんだ」
アーベルは思ったより普通だな。常識人でよかった。
「アーベルはなんでわからないの? お義姉様よ。ほらそっくりでしょう?」
ローザリアの言葉にアーベルは目を伏せた。
きっとローザリアの気がふれたとでも思っているのだろう。
アーベルは私の目をじっと見る。
「君は姉上なのか?」
さて、どうしたものか?
「姉上……」
ん? なんでわかった。
アーベルはローザリアに聞こえないような小さな声でつぶやく。
「仕方ない」
えっ? 何それ?
「わかった。お前がそこまで言うならこの子は姉上の生まれ変わりなんだろう。私も信じるよ」
アーベルめ。ローザリアに押し切られた振りをして責任逃れだな。
どうやら私はまたエデルガルト・バウムガルテンとしてもう一度初めから生き直すことになった。
しかも前世の記憶を持ったまま。弟夫婦の娘として。
私の新しい人生はどうなるんだろう? それにしてもまた同じ名前って、そのまんまじゃないの!
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こうして私のエデルガルト・バウムガルテンとしての二度目の人生がはじまった。
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